202話 帰り道に……
帰りは比較的魔物が少なく、順調に進んでいる。
夕日が落ちて薄暗くなってきたが、夕食の前には着きそうだ。
「ご飯! ご飯! 夕食は何かな~!」
みんな夕食が待ち遠しいみたいです。
休憩しないでハイペースだが、時間も余裕があるから急がなくても……。
その瞬間、禍々しい膨大の魔力が後ろから来る……。
ちょっと待て……覚えがある魔力だぞ……ドセグノ――あのおかしな邪石と同じ……。
しかも空から――。
「――――キエェェェェェ!」
うるさっ!?
まだ距離があるが遠くまで届くのか……。
そいつの声を聞いたら小人たち、ウィロウさんとグラシアさんが急に倒れていく。
「みんな、大丈夫か!?」
みんなの様子は――良かった……息はある。
気を失っているだけだ。
『今の奇声……ティーナたちの加護がないと防げなかったかも……』
そんなに強力なのか……。
でも加護を受けてないのは約1名いるが。
「セイクリッドは加護持ちではないぞ?」
『う~ん、セイクリッド、リフィリアから加護もらった?』
「もらったぞ! 故郷を守るってくれると加護を付与をしてくれた!」
じゃあ、大精霊の加護でも防げることか。
マズいな……村に来られたら厄介だ。
戦闘は避けられない。
そいつは近づいて来た。
空を見上げると――全長20mはある赤いコウモリで腹には大きなドス黒い邪石を付けている。
「なんだ……あの魔物……見たこともないぞ……それに……魔石を付けているだと……」
ソウタが知らない魔物ならあの方向からだとズイールの魔物か?
なぜ、魔物に魔石を付けるのだ?
何かしら実験をしているのか?
俺たちに気づいても攻撃はしてこない。
「タ……たスけテクレ……クルしイ……いシをハズしてクレ……」
苦しそうに俺たちに訴えかけている。
もしかして――。
「しゃべったぞ……知性があるのか……」
「いや、違う……アイツは魔物ではないぞ……人だ……」
「人なのか!? どうして魔物に……」
確信はないがドセグノみたいに怪物なった感じだ。
『レイ……アイツ……物凄く苦しんでいる……』
このままだと危ない、邪石を壊して、アイツも楽にしてやる。
「話はあとだ! あの邪石を破壊する! みんなを守ってくれ!」
攻撃はしてこないが、襲ってくる可能性もある。
念は入れておく。
「わかった!」
「アタシもやる!」
ルチルは怒って魔力を出している。
「悪いが、ルチル、石を破壊するだけだからみんなの傍に――」
「じゃあ、ご主人のお手伝いする! あのコウモリ許さない!」
聞いても無駄か、ルチルの意思を尊重しよう。
「わかった、手伝いよろしく」
「うん!」
俺とルチルは前に出て邪石を狙う――。
「「――クリスタルバレット!」」
「タスけ……てグレ!」
魔法で結晶の弾を放ったが、見事に躱された。
邪石が光った瞬間、魔力の脈が頭に流れ込み、躱されたが、邪石に洗脳されているのか?
おとなしくしないのなら遠距離での破壊は無理だな、近距離だ――。
「――――ウインドフライ!」
風魔法で身体を浮かせて、近づこうとすると――。
「――――キエェェェェェ!」
再び奇声を上げる。
マズい!? 俺たちは五月蠅いだけで済むが、ほかのみんなは近距離だと身体に何が起こるかわからない!?
「――――ウインドフィールド!」
周囲に心地良い風がなびき、みんなに風の領域で守られる。
リフィリアがいいとこに来た。
『リフィリアを呼んで正解だったね!』
やっぱりエフィナが言ってくれたのか。
「間に合ったみたいね。マスター、私が守ってあげるから早く石を破壊してね」
「ありがとう、助かるよ」
「タス……げテ!」
また邪石が光、俺の方に突進してくる。
ちょうどいい、少々手荒だがおとなしくさせる――。
「――――エア・プレッシャー!」
「――――ガハァ!」
風の圧で地面に叩き込んで抑えるが、更に邪石の光が増し、立ち上がり抵抗をする。
少し強めに魔力を使ったが、大丈夫なのか……。
「――――クリスタルチェーン!」
「グゥ!」
ルチルは魔法で4本の結晶の鎖を翼と脚に巻き付けて身動きを取れなくした。
「ご主人! 今がチャンス!」
「ありがとう」
俺は地面に降りて結晶の魔剣を出して左手に持つ。
俺が近づくと邪石は点滅して鎖を外そうともがいている。
「やめろ」と言っているのか。
だが遅い、俺はそんな慈悲はない――。
「――――極晶・一閃!」
邪石を真っ二つにし、地面に落ちると、灰になって風で消し飛ぶ。
ドセグノのときと同じだ。
「助かった……」
コウモリの姿から人の姿に変わり――30代くらいで赤髪の男だ。
さて、ここからが問題だ。
次の更新は26日昼過ぎです。




