201話 久々の海
ミツキさんは全員分の作れる特大サイズ鍋を出して、煮込みうどんを作る。
鍋に大量の水、切り分けた人参、白菜、椎茸、鶏肉に手打ちのうどんを入れて煮込む。
みんな手際がいい、いつも作っているみたいだ。
大勢で遠出した時には手軽に作れるからいいか。
うどんが芯まで煮込めたら味噌を入れて具材に味を染み込ませて完成した。
「「「おいしい!」」」
手間はかけていないが、しっかり味も染み込んでいて美味しい。
大満足です。
「よ~し、釣るぞ~!」
「「「おお~!」」」
昼食を食べ終わると早速、岩場に向かい釣りをする。
「大きいアナゴ釣るぞ~!」
この世界にもアナゴがいるのですか……。
期待して待っています。
釣りをしない組みは海水の採取を手伝う。
ミツキさんは特大の木製のたらいを数十個出した。
やっぱり量を考えると桁違いですね。
みんなバケツで海水を汲み、たらいにひたすら入れるが、風魔法を使える人は海水を風に浮かせて入れる。
魔法を使うのは少々ズルいが、みんなの負担と時間短縮だから多めに見てほしいところだ。
「わ~い! 早く終わりそうだ! 釣りができる!」
まあ、ミツキさんは早く終わって釣りがしたいみたいだから、気にはしないか。
――1時間が経過し、たらい全部に海水を入れ終わり、自由時間となった。
数十人ほどの小人は全裸になって海に泳ぎに行った。
水着を着る概念はないのか……。
まあ、この場所は俺たち以外いないから大丈夫だけど。
ルチルはアイシスに近づいて――。
「アイシス! 水着はある?」
意外な発言だな、ルチルも泳ぎたいのか。
ルチルも躊躇いなく全裸になって泳ぐと思ったが、そこはしっかり守るのだな。
しかし急だから、いくらアイシスでも――。
「試しにスクール水着作りましたので着ますか?」
「うん、着る!」
あるのかよ!?
なぜスクール水着なのだ……。
いろいろとツッコミたいけど、キリがないからやめておく……。
アイシスは無限収納からルチルに水着を渡して着替えると――サイズもちょうどいいです。
「いっぱい、泳ぐぞ~!」
勢いよく海へと入り、クロールしながら奥まで進む――。
もう姿が見えないほどの距離まで泳いでいる……。
『あまり遠くに行かないように』
『わかった!』
とりあえず念話で送ったから遠くまで行かないだろう。
いつも思うのが――。
「ハハハ! 海は楽しいな!」
普通にセイクリッドが泳いでいることだ。
しかも器用に背泳ぎ、クロール、バタフライと……。
重い鎧でも泳げるのが不思議です……。
それは置いといて、俺とアイシスは周りの探索して食材を探す。
あるとしたらやっぱり岩場の方だな、釣りの邪魔にならないに奥の方に行って探そう。
岩場に着くと……すごいことになっていました……。
綺麗なピンク色の鯛? みたいな魚をドンドン釣り上げて山盛りに置いている……。
入れ食い状態です……。
1時間で大漁ですね。
鯛っぽいがミツキさんに聞いてみるか。
「この魚はなんですか?」
「鯛です! ピンクフィッシュとも呼ばれていますね! 刺身すると甘くておいしいですよ!」
鯛でした……じゃあ今後は鯛料理が楽しめますね。
「全然アナゴが釣れない!」
みんな鯛だけでは納得いかない様子だ。
アナゴは釣りづらいのかな?
その場を後にして奥へと進むと――。
先客としてナゴミたちがいた。
波打っているところの岩肌にくっついている魔力がある何か採っている。
近くに行くと、見覚えのあるフォルムが――。
「貝を採っているの?」
「そうだよ! 牡蠣を採っているの! 生で食べられておいしいよ! わたしは蒸して食べるのが好き!」
牡蠣もいるのですね……。
しかもいっぱいいます……。
まあ、誰もここに来るわけではないから宝の山ですね。
じゃあ、俺も採ろうとすると――。
魔力を帯びた牡蠣は岩肌から剝がすと、魔力を失った。
もしかして死んだのか?
試しに無限収納に入れると、中に入りました。
ああ、常に岩に付着していないとダメみたいだ。
前世とは大違いで早く食べないとダメですね。
こちらとしては無限収納に入れられるから嬉しいが。
大量にあるならありがたく採取します。
アイシスと手分けして採り、自分たちで食べる量は確保した。
まだ時間もあるし、みんなの分も採ろう。
すると、釣りをしている岩場から魔力反応が出た。
「わ~い! 大物だ~!」
釣り糸がピンと引っ張られ、竿も折れないようにしなりをきかせている。
周りは引っ張れないように手伝い――。
「「「せ~の!」」」
海面から姿を現した――でかいアナゴだ。
まさかの特大サイズですね……。
「Cランクの魔物、シースネークですわ!? 歯が鋭いに気をつけてください!」
アナゴもこの世界だと蛇の部類なのか……。
「やった~! アナゴだ~みんなかかれ~!」
釣り上げたアナゴは小人たちに首や頭などを蹴られてプカプカ浮いて倒れた。
Cランクの魔物だと瞬殺ですね。
「よ~し、あともう一匹釣ればたくさん食べれるぞ~!」
もう一匹釣るのか……予定では後、1時間くらいで帰るが間に合うか……。
「わ~い! いいもの獲ったよ!」
ルチルが喜びながら戻ってきた。
いいもの? まさか海中で戦闘でもしたのか……。
ルチルは無限収納から先程釣った同じアナゴを5匹出した。
はい、予想通りでした……。
よく海中で戦えましたね。
「「「スゴ~イ! いいな~!」」」
「アタシたちの分は2匹で3匹はみんなで食べよう!」
「「「やった~! ありがとう~!」」」
みんな嬉しさのあまりルチルを胴上げした。
優しいですね。
『ルチルがいい子に育って……お姉ちゃん、泣いちゃう!』
『ん? エフィナの言っていることはわかんない!』
『な……理解に苦しむ……』
エフィナは冗談で言っているつもりが、軽く返されましたね。
ルチルは冗談が通じないから、言わない方がいいのでは?
逆に自分を苦しめる。
ルチルがアナゴを獲ったことで、お開きになり、村へ帰る。




