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198話 村の事情


 食べている最中に昼前周りを探索していたソウタに何かあったか聞くと――。


「大型の魔物が徘徊していたが、不思議なことに村に向かってくる様子はなかった。けど、ハニーベアーやボア系といったすぐに対処できる魔物は村の中に入るが」


 ん? そんなことがあり得るのか?

 大型の魔物は小人に恐れているのか?

 その場合逆で、ハニーベアーとボア系が恐れるのだが。

 そんな都合がいいことは……あり得るな……。


「もしかして……」


「ああ、俺もなんとなくわかった……」


 ソウタも察して、俺たちは同じ方向――尻尾を振って美味しそうに食べている守り神の方に振り向く。


「食事中悪いが、村に大型の魔物が来させない結界とか張っているのか?」

 

「結界? 儂は陰陽師などではないぞ。だが、儂が大きい魔物を来させないのは確かだが」


 まさか結界=陰陽師なのか……。

 妖怪(あやかし)ジョークと捉えていいかな……。

 やっぱり守り神がやっていました。


「そうなのか……でもどうやって来させないようにしているのだ?」


「儂は雷を使うことができる。大型の魔物には嫌な電磁波を村の周囲に張っておる。心配せんでいいぞ」


 雷使えるのかよ!?

 その証拠として守り神は自分の身体にバチバチと電気が走る。

 本当でした……。


「なんで大型の魔物だけなのだ?」


「小型ですぐ倒せる――肉になる魔物は村から大歓迎だ。遠くにいなくても手間が省ける。来させないのはもったいない」

 

 だから昨日はハニーベアーが村に入って来たのか……。

 魔物を選別して電磁波を起こすとか器用なことしますな……。

 さすが守り神と言ったところか。 


 昼食を終えて食器の後片付けをする。

 料理もそうだけど、毎日全員分食器を洗うのは大変だ。

 リフィリアが一緒に手伝ってくれて時間短縮になるけど。


 洗い終わると、調理場のみんなは大喜びだった。

 これで休憩を――。


「時間があるからおやつを作るぞ~!」


「「「お~!」」」


 休まずにサツマイモを使って大学芋を作ります……。

 時間があるときはおやつ作るのか。

 これだと調理担当している人は丸1日休みがない、疲れないのか?


 調理担当をしているユナに聞いてみると――。


「みんな好きでやっているから大丈夫だよ!」


 物凄い笑顔で返してくれました。

 平気みたいです。


 ほかにも聞いたところ。

 調理、加工、農業の作業は交代制ではなくて自分の好きなタイミングでやる自由制みたいだ。

 自分が休みたいときに自由で休んでいいらしい。

 完全にホワイトだ。

 自由制だから休みが重なって人手が足りなくなる場合があるか聞くが、みんな積極的に協力しているから少ないときがないらしい。


 それで村が回っているなら問題ないな……。

 こんなに楽しい生活をしているのなら俺も年を取ったらここで隠居したい。

 あとで村長に相談でもしよう。


 大学芋ができあがる頃に近くの鐘が鳴り響く。

 窓をから見ると――勢いよくみんな走ってくるのですが……鐘はおやつを作ったお知らせの合図ですな。


 おやつの場合はみんな一緒に食べるのではなく、来た人から並んで配って食べる形式だ。

 一緒に食べると夕食が間に合わなくなるから調理担当の配慮かもしれない。  

 

 ある程度落ち着いて俺も食べるが、外はカリッと中はホクホクとしてタレもよく絡んで美味しいです。

 食器を片付け、夕食のナポリタンを作る。


「アタシもやる!」


 やることがなくなったのか、ルチルも加わった。

 

 切りものと生地を作る担当に分かれる。

 アイシスに切りもの指示を任せて、俺とルチルはパスタ生地を作る。


「生地はこうやって作る!」


「「「わかった!」」」 


 ルチルが生地の作り方を教えている。

 しかも丁寧に……。

 ルチルが調理をするのは初めて見たが上手ですね……。

 俺の記憶と【大器用】のおかげかもしれない……。

 まあ、俺からしたら大助かりだけど。

 

 テーブルに自動式製麺機を無限収納から出してみんなで作った生地を入れる。

 自動でローラーで薄くし、その後に刃を通してスパゲッティの完成だ。

 やっぱり自動には敵いません。予定の分量がすぐにできました。

 本当にフランカには感謝しかない。


 みんな初めての製麺機を見て大喜びだった。

 この世界に自動で動くのはないですからね。


 あとは麺を茹でて、具材と一緒に炒めて、調味料――ケチャップを入れて完成した。


 卵と野菜のスープも作って夕食を食べると――。


「「「おいしい!」」」


 みんなに好評で喜んで食べてくれます。

 しかし、蕎麦やうどんを食べ慣れているのかみんな音を立ててズルズルとすすって食べる。

 別にマナー的には問題ないからいいか。


「トマトと麺がこんなに合うのは初めてだ……もっと早く食べたかった……」


 昼食と同じように村長が泣いています……。

 明日もトマト系の料理を頼まれました……。

 ピザやトマトラーメンでも作るか。


 食器を片付けして温泉に向かう。


 やっぱり調理組はこの時間でないと入れないみたいだ。

 みんなでゆっくりお湯に浸ろうと思ったが、そうはいきませんでした……。

 昨日と同じで俺の特等席を交代しながら座っています……。


 1日だけでいいからゆっくりと入りたいです……。

 そう思っている内に滞在2日目が終わってしまった。   

次の更新は18日昼過ぎです。

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