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192話 守り神


 住宅から離れ、周りは木々がある場所へ――すぐ目の前には大きくて立派な赤い鳥居があり、真っ直ぐと広々と整備されていて、遠くでもはっきりと見える大きな社殿がある。

 ここは参道ってことか。 

 しかし、ここまで作り上げるとは器用すぎだ……。


 みんなは鳥居前で一礼をして、真ん中の道を通らないで端の方を歩く。

 真ん中は神様が通る「正中」のことを知っているのか。

 俺が思う以上に旅人の影響が大きい。

 小人たちの行動にソウタは戸惑う。

 あっ、神社のマナーは知らないみたいだ。


「レイさん! 春になったら絶対に来てほしい! ここの周りの木は桜と言って、花が咲くとキレイだよ! 一緒に花見でもしよう!」


 唐突に村長が言う。

 花見? まさか全部桜の木なのか……前シエルが桜の木があるとは言っていたけど、ここに植えていたのか。

 そうすると半年後になるが、魔物の大量発生は落ち着いているかわからない。

 まあ、前から予定を組めばザインさんも大目に見てくれるから大丈夫か。


「いいですよ。花見楽しみにしています」


「やった~絶対に約束だよ!」


 みんな嬉しいのか飛び跳ねています……。

 特に――。


「わ~い、花見だ~早く咲かないかな!」

「わ~い! レイさんと花見ができる!」  

 

 ルチルとミツキさんが大喜びでした……。

 まだ先なので我慢してください……。


 二つ目の鳥居をくぐり、社内は社殿に見合った広さで地面には小石が散りばめている。

 ふと思ったのが、両脇に置かれている狐の石像だ。

 狛犬ではない、狐だと稲荷と同じように作ったのか。

 微かだが、周りに魔力反応がある。

 特定ができないが守り神の魔力か?

 【隠密】のスキルを使っていると思うが、今の俺でも特定ができないのはかなりの手練れの者だ。

 

 みんなは手水舎でひしゃくを取って手と口を清める。

 手順もしっかりしている。

 この様子だと旅人は神社に行き慣れている感じだな。


 俺も手と口を清めるが、ミツキさんが驚いていた。

 あっ、ついやってしまった……。


「レイさん、神社の作法を知っているのですか!?」


「アイシスに教わりました……神社があるなら覚えるようにと……」 


「そうなのですね! さすがアイシスさん! 物知りですね!」 


 アイシスは頷いてた。

 なんとかごまかせた……アイシスさん、いつも助かります。

 初めての人は小人に手順を教わるが、ソウタもわからないみたいだ。

 あまり神社とか行ってない人は無理もないか。


 みんな社殿の方に向かうのだが賽銭箱まで置いてある……。

 再現しすぎです……この場合は参拝してから蕎麦と天ぷらを献上する感じだ。


 当然だが、小人のみんなは賽銭箱にはお金を入れないで二礼二拍手一礼して参拝をする。

 さすがによそから来て賽銭箱にお金を入れないのは失礼だから、気持ち程度に銀貨一枚は入れよう。

 前世では高い値段だが、日頃の感謝を込めてこれくらいが妥当だ。

 俺はアイシスたちに銀貨一枚を渡して用意ができた。

 まさかソウタと精霊たちも銀貨一枚入れるのか……。

 お気持ち程度でいいのに……。


 賽銭箱にお金を入れて二礼二拍手一礼をして参拝をした。

 さすがに守り神は現れてくれない。

 まあ、すぐには無理だから重ねて神社を参拝すれば現れるだろう。


『ほう、礼儀が様になっているな』


 その声と同時に社殿の横に膨大な魔力反応が……振り向くと――。


 毛並みは黒よりの紫で全長10mはある大型の狐だ…………ちょっと待て、思いっきり狐だぞ!?

 ミツキさんの話では旅人に「いぬっころ」と言われていたけど、どう見ても狐だぞ!

 確かに狐はイヌ科だが、冗談で言っていたのか……。

 しかも魔力がセイクリッドと同等……相手にしたくないのは本音だ。


『この子……魔物じゃなくて神獣だね……だから小人に加護を付与できるのか……』


 神獣なのかよ!?

 旅人は途中まで神獣と旅していたのか……。

 恐ろしいな……。


「守り神様! 食事を持って来たよ!」


『友よ! 久しぶりなのじゃ!』


『そうかそうか、シエルも久しいな、気になる者がおる……まあ、いい、食事を食べてからにするか。礼儀がある者よ、しばし待ってくれ』


 そう言って蕎麦と天ぷらを尻尾を振って食べる。

 意外に強面と思ったが可愛いな。

 神獣でなかったら危なくモフルとこだった。

 

「初めて見た……」

「初めて見ましたわ……」


 ウィロウさんとグラシアさんは初めて見るのか。

 守り神は礼儀が良いとか言ったな、もしかして会ってくれる対象は礼儀正しければいいのか……。

 じゃあ、シエルは……来たとき礼儀正しかったのか?

 まあ、別だろうな。 


『ごちそうさま。さて、そこの黒髪2人に用がある。できればこの子たちがいない場所でお願いしたい』


 俺とソウタに用?

 ああ、察しはついた。旅人と同じ黒髪だったからか。

 断る理由はない。


「俺はいいが、ソウタは?」


「俺も大丈夫だよ」


『すまない、お前たちは絶対に聞いてはいけないぞ』


「「「は~い!」」」


 好奇心がある小人にしては気になるところだが、守り神の言うことはしっかり聞くのは相当慕われている証拠だな。

 ただ例外として――。 


「アタシも一緒に行く!」


「ダメです! 大人しく待つのです!」


「ブ~!」


 ルチルは気になって一緒に行きたいみたいです……。

 アイシスに両脇しっかり抑えられて止められています。

 大事な話だから我慢してくれ……。


 俺とソウタは守り神の後についていき、社殿の裏に着いた。


『ここなら大丈夫だろう……さっそくだが、変な質問するが、お主らは日本と言う国を知っているか?』


 やっぱりそうきたか。

 これは正直に言えばいいな。

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