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181話 提案


 ――夕食の時間。


「ハハハハハ! 皆で食卓を囲むのは楽しいな! アイシスの料理はウマい!」


 セイクリッドは器用に箸を持ってガツガツとご飯を食べている……いろいろとおかしいだろう!?

 兜を被ったまま食べているぞ!? 魔力も回復している……それに味覚まであるのか……。


『アハハハハ! 普通に食べている! おもしろい!』


 エフィナはかなりウケています。

 

「食事できるのか……」


「基本はしないが、ウマいのがあったら食べるぞ!」


 じゃあ、精霊と同じみたいなものか。

 ガタイがいいのかよく食べる……。


「どうやって食べてるの……中身が気になる――抜けない!」


 ルチルは気になったのか箸を止めて、無理やり兜を引っ張る。


「ハハハ! 我の一部だから外せないぞ!」


 鎧が自分の身体だから外せないのか。

 逆に外れたら怖いけどな……。


「ところでセイクリッドはどうする? シエルと違って街で暮らせるかわからないぞ?」


 やっぱりソウタもそう思うのか、さすがに元ダンジョンマスターの魔物だから心の広いミランドさんも断られる可能性はある。

 だけど、セイクリッドにとってちょうどいい場所がある。


「そのことなんだが、セイクリッドをリフィリアの故郷に住ませようと思う。周りの魔物退治をお願いしようと思っている」


「なるほど、人を避けられて問題ないな」


「リフィリア、俺の提案なんだがいいか?」


「大賛成だよ。周りも豊かになって魔物が住み着いて厄介だからね。明日「ゲート」を使って送るよ」


「えっ? かなり遠いが大丈夫なのか?」


「うん、以前より魔力も増えているから大丈夫よ。多分ここからだと、2人だけなら10往復はできるかもしれない」


 問題ありませんでした……。  

 俺もあり得ないほど魔力も増えたから行けるかもしれない。でも10往復はさすがに無理だが。


「悪いがセイクリッド、明日から守ってほしい場所があるけどいいか?」


「どこだか知らぬが我に任してくれ! 絶対に守ってみせる!」


 なんだかんだ乗り気みたいだ。

 これで問題なく解決はした。

 あと、ルチルの問題か……ルチルは……まあ、問題ないか。

 

 みんなに賢者の弟子と言えば問題は解決する。

 心配と言えばミツキさん――小人たちが受け入れてくれるかだ。

 仲良くなればいいが……。


 

 ――――◇―◇―◇――――



 ――翌日。


 朝食を食べ終えて――。


 セイクリッドは準備ができた。

 

「よろしく頼むよ」


「うむ、では行ってくる!」


「それじゃあ、行くよ――――ゲート!」


 リフィリアは空間魔法を発動して、セイクリッドと共に移動した。

 リフィリアが来るまで待機だ。


 ――30分経過してリフィリアが戻って来た。


「お疲れ。セイクリッドは大丈夫そうか?」


「とても喜んでいたよ。私の故郷を気に入ったみたいで、さっそく張り切って周りを警備していたよ」


 気合いが違うな。

 これでリフィリアの故郷も魔物の心配しなくて平気だ。

 あとで食事を持って行かないとな。


 さて、王都で行ってオルリールさんに報告だ。

 途中まで「ゲート」を使って向かうか。


 みんなに言うと、シエルが泣き始めた……。


「うぅ……妾が最初から最後まで乗せたいのじゃ……」


 やめておくか……まあ、魔力消費しなくて助かるけどね。


 変わらずシエルに乗って王都に向かう――。


 ――1時間が経過した。


 そろそろ王都に着く。

 前回より周りの魔物の数が減っていて順調のようだ。

 もう少しで王都も落ち着くかもしれない。


 王都が見えて来た――シエルに門前に指示をする。

 騎士団たちが俺たちに気づいたのか次々と集まり、歓声が上がる。


 地上に降りると騎士団は敬礼をし、団長――ファイスさんが前に出てきて――。


「我ら恩人に感謝を!」


「「「――――お助けいただき、ありがとうございました!」」」


 うん……こういうのはいつもむず痒くて慣れない……。


「皆さん、お疲れ様です! ところでダンジョンはどうだった?」


「なんとか攻略しました。この通り――」


 無限収納からダンジョンコア出すとファイスさんは驚く。


「おお! すごい……やはりレイ殿たちは攻略できると信じていた!」


「これからギルドに報告しに行きますので中に入らせてもらえないですか?」


「もちろん! だけど、ブルーワイバーンは民衆の前にいるとかなり目立つ、保護する意味で我々も同行する形となるがよろしいか?」


 ファイスさんがついてくるのか……まあ、仕方ない。


「わかりました。お願いします」


「ご理解感謝する! では行くとしよう」


 騎士団たちは俺たちを囲んで中に入り、ギルドに向かう。

 それを見た周りの人は何があったのか集まり、俺たちを見る。

 逆に目立つな……。


 ギルドの中に入ると――エミーニャが気づいてこっちに来る。

 

「お疲れ様だにゃ! ボスが待っているにゃ! にゃ? もう1人小さいのがいるけど誰にゃ?」


 エミーニャがルチルをジッと見る。

 この場合は――。

 

「強力な助っ人として私が呼びました。後ほど説明しますので案内をお願いします」


 アイシスが先に対応をしてくれた。

 いつも助かる。


「強力な助っ人? もしかして小人族かにゃ!? 納得がいくにゃ!? こっちに来るにゃ!」


 エミーニャは納得してくれた。

 理解が早くて助かる。


 エミーニャの案内で7階に上がり、ギルドマスター室に入る。


「ボス! レイたちが戻って来た…………にゃ!? ボス、気分が悪いのかにゃ!?」

 

 オルリールさんは冷や汗をかいて青ざめている。 

 どうしたのだ?


「この……小さい子は……誰だ……?」


 震えながらルチルを指す。

 まさか本能的に危険だと思ったのか……。


「私が説明します。賢者の弟子のルチルです。ダンジョンの扉があまりにも硬かったので助っ人として呼びました」


「なるほど……賢者の弟子か……賢者はとんでもない子を弟子にしたな……絶対に勝てる気がしない……」


 やっぱり強いとわかったか。

 確かに魔剣の中では1番強いと思うけど。


「ボスが弱気になるのは珍しいにゃ……。まあ、小人族だからしょうがないにゃ」


「小人なのか!? 小人族は魔法を使えないはずでは……魔法を使えなくとも賢者の弟子になれるのか……?」


 あっ、忘れていた……。

 基本小人は魔法を使えない……言い訳しないと……。


「アタシ、魔法使えるよ!」


 そう言ってルチルは手のひらに魔法で結晶を創り、上に投げて結晶が破裂してキラキラと周りを輝かす。


「キレイだにゃ……」


「本当に使えるのか……しかもユニーク魔法か……恐ろしい……」


「ルチルは小人族でありながら小さい頃から魔法を使えます。賢者様はルチルに魔法を教えたところ、自然とユニーク魔法も覚えました」


「そうなのか……小人でユニーク魔法も使える……絶対に敵に回したくはない……」


「ご理解できると幸いです」


「ああ……わかった……気を取り直して――本当に助かった。今回の報酬だ、受け取ってくれ」


 問題なくごまかせました……。

 アイシスさん……俺を見てドヤ顔しないでください。

 オルリールさんから白金貨1枚を受け取り、ソウタに半分の金額を渡した。


「それでダンジョンはどうなった?」


「これを見てください――」


 真っ二つになったダンジョンコアを出すとオルリールさん、エミーニャが驚いた。

 報告のため、ダンジョンマスターがデスナイトだったことも話すと――。


「デスナイトと戦ったのかよ!? いや、小人の嬢ちゃんがいれば大丈夫か……」


 あまり深入りしなくて納得している。

 こちらとしてはいろいろと説明しなくて助かる。もうルチル様々です。  


「しかし……とんでもない助っ人を呼んだな……用が済んだから小人の嬢ちゃんは故郷に帰るのか?」


 助っ人と言う設定だからそう思うのか……。

 ここはアイシスに任せようか。


「アタシは最近成人したから故郷のみんなに旅の許可が下りたの! だから賢者の息子――ご主人と一緒にいる!」


 まさかのルチルから言うとは意外だ……。

 しかも最近成人した設定なのか……。


「そうなのか……帰らないのだったらギルドカード、いや、ヴィクトリアに言って特別にミスリルカードを渡そうか?」


「わ~い! アタシ、ギルドカードもらえる!」


 ルチルも特例でミスリルカード渡されるのか……。

 協会に入ったヴィクトリアさんならすぐ渡せられる。

 うん、コネですね……。

 だけど、ヴィクトリアさんの場合、嫌な予感が――。


 すると、噂をすれば馴染みのある魔力――2人がこっちに来る。


「夫よ! 今日は早く終わったから帰って来たぞ! おお! みんな帰って来たのか!」


「父ちゃん……また母ちゃんに負けた……」


 ヴィクトリアさんとフェンリが堂々とドアを開ける。

 どうやら魔物討伐が終わったみたいだな。


「ちょうどいいな、ヴィクトリア頼みが――」


 突然ヴィクトリアさんとフェンリはルチルを見ると、耳をピンと立ち、尻尾を振って興奮している。

 あっ、マズいな……。


「なんだ、この小さくて強い子は!? 是非とも勝負したい!」


「母ちゃんズルいぞ! オレが先だ!」


「オイラが先だ! フェンリが勝てる相手ではないからな!」


 そう言ってヴィクトリアさんはフェンリに渡さないようにルチルを高く持ち上げた。

 父親は避けているのに母娘は好戦的です……。

 戦闘狂……恐ろしい……。 


「わ~い! 高くて楽しい!」


 なぜかルチルは高く振り回されているのに喜んでいる……。


「全く……相変わらずだな……2人とも、落ち着いてくれ!?」


 オルリールさんは2人を説得して、ルチルの紹介をする。


「なるほど! あのデスナイトを倒したのか、すごいな!」


「だからミスリルのカードを渡してくれか?」


「いいだろう! だが、その前にオイラと勝負してからだ!」


 結局そうなりますよね……。 

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