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178話 硬度な鎧


 あの鎧、アダマンタイト製だろう……。

 じゃないとクリスタルソードも刃こぼれしない。

 もっと魔力を込めないと切り込みなんて入らない……。


「我はそう簡単には倒せぬぞ! ――ッハ!」


「――――わぁ!?」


 デスナイトは大剣を弾いて、ルチルは吹っ飛んでいった。

 

「ルチル、大丈夫か!?」


「大丈夫! 平気だよ!」


 ルチルは受け身を取って、体制を整える。

 傷もついていなくて無事だ。


「我の番だ! ――――覇閃斬!」


 デスナイトは魔力を込めて上から振り下ろすと、斬撃がルチルを狙う。

 魔法を使う余裕がない、俺はルチルの前に出て、2刀構えて防ぐ――。


 重い斬撃だ……足を踏ん張り、2刀振り下ろして防ぎきった。

 その瞬間、クリスタルソード2本同時に粉々に砕けた……。


 硬度のある剣が砕けるとかあり得ないだろう……。


「むぅ、よくもやってくれたな! ――――レインボークリスタル!」


 ルチルは混合魔法を使い――敵の目の前に虹色に輝く結晶を落とし、光が増す。

 さすがのデスナイトもこの魔法は一溜まりもないはず。


「ぬぬぬ……身体がだるいが効かぬわ!」


 ゆっくりとデスナイトは「レインボークリスタル」に近づいて――。


「――――覇王・一閃!」


 硬度のある結晶をいとも簡単に真っ二つにする。 

 強力な混合魔法でも通用しないのか……。

 しかも俺が傷をつけた箇所が元通りになっている……。 


『もしかしてあのデスナイトは【剣聖】と【再生】のスキルを持っているのかもしれない』


 ちょっと待て、チートすぎだろう!?

 【剣聖】ってユニークスキルなはず……だからあのデカい大剣を軽々と振れるのか……。

 【再生】スキルもあるのは生半可な攻撃は無意味だな……。

 しかもアイツは俺とルチルと同じくらいの魔力がある……。

 魔力を消耗して仕留めるのは無理に等しい。


「我の頭に声が響くのは誰だ?」


『ボクだよ!』


 デスナイトに念話送っているのかよ!?

 

「まあ、いい……如何にも我は【剣聖】と【再生】のスキルを持っている。見知らぬ者よ、なかなか面白いな」


『そうでしょう! ボクたちが勝ったら仲間においでよ! いろいろとおもしろいよ!』


 諦めていなかったのかよ!?

 それは絶対に無理な話――。


「フフフ……ハハハハハ! 我を仲間にだと! 面白い! 考えてやる! 我も本気で行こうではないか!」


 デスナイトはさらに魔力が増す……逆に刺激してどうする……。

 

『やったね! レイとルチルは頑張ってね!』


「うん!」


「待て待て!? 俺はいいとは言っていないぞ!?」


『えぇ~、いいじゃん! デスナイトが仲間になったらおもしろいじゃん!』


 なぜ、駄々をこねる!?

 かなり危険だぞ!?

 仲間は別として……流れ的に撤退は無理になった……もう倒す手段しかない。

 いつもながらエフィナの無茶ぶりが多い……。


「ルチル、魔剣を使うぞ!」


「わかった! アタシも本気でやる!」


 お互いに結晶の魔剣を出して右手に持つ。


「ご主人! アタシは()()()だから左手でも良く切れるよ!」


 両利きなのか、魔剣を左手に持つと――魔力も通しやすく、輝きも同じだ。

 この子、本当にすごいな……。


「ルチル、次にやることはわかっているよな?」


「うん、もちろん!」


 お互いに結晶魔法を使う――。



「「――――ダイヤモンドソード!」」 



 半透明で煌めく金剛石の剣を創り、片方の手に持つ。

 魔力はかなり消費したが、結晶の魔剣と負けなくらいの硬度と切れ味にはなる。


「良い剣を持っているではないか! さあ、我を楽しませてくれ!」


 デスナイトは猛スピードで向かってくる。

 あの重い鎧であの速さは異常だな。


 だが、その速さを遅くして見せる。

 再び結晶の魔法を使う――。



「――――クリスタルフィールド!」



「なんだと!? 我の戦場が結晶だらけに!?」



 フロア全域に結晶が次々と床から出てくる。

 ここはもう()()()()()()となった。


 デスナイトの速さもある程度遅くなり、効果覿面だ。

 無理もない、ここを出ない限り浄化効果で苦しむだけだ。


 悪いが早く蹴りをつける――。


 俺とルチルはデスナイトに近づいて剣を振るう。


「これで我を倒せると思うな!」


 俺たちの剣を受けきる――だけど、デバフ状態で長くは持たないだろうな。


 俺とルチルは挟み撃ちをして交互にデスナイトに切りかかる。

 相手も必死で剣を受け流すが、段々と鈍くなり、鎧に当たるようになる。


 切りつけた箇所は結晶化してさらに相手の攻撃が鈍くなる。


「我は負けるわけにはいかんのだ! ――――斬滅連覇!」


 魔力で結晶化した箇所を粉々に砕き、連撃で俺たちを狙う。

 もう通用はしない、俺たちは2刀を輝かせ――。



「「――――極晶乱華!」」



 連撃を受け流しながら鎧に切り込みを入れる。


「何!? 手が動かぬ!?」


 結晶の効果が効いているのか、デスナイトは剣を握るのが精一杯で怯んでいる。

 最後に思いっきり吹き飛ばした。


「――――ヌオォォォォ!?」


 全力で切ったとはいえ、鎧にヒビが入って結晶化しただけだ。

 すぐに相手の【再生】スキルで回復してしまう。


 すぐさま俺はデスナイトに向かう――。


「まだ、終わっていらぬ! ――――覇閃斬!」


 デスナイトはすぐ立ち上がり、剣を振り下ろして斬撃が俺に襲う。



「させない! ――――クリスタルウォール!」



 ルチルが結晶の壁を出して、斬撃は当たって粉々に砕けた。


 助かる――デスナイトは体制を整えて防ぐ構えをしている。


 残念だが、剣で終わらせるわけではない。

 目的はデスナイトを浄化して倒すことだ。

 魔力を思いっきり込め、結晶魔法を使う――。



「――――アブソリュート・クリスタル!」



「わ、我が結晶化……され…………」


 デスナイトは全身、結晶に覆われ、身動きが取れなくなった。

 魔力反応もない、終わった……。

 もう魔力があまりない……ギリギリ倒せた……。

 できればこのくらいの魔物はみんなで戦った方がいい……。

 2人だと大変……。


『ちぇ、仲間にしたかった……』


 まだエフィナは諦めていないのか……。

 このデスナイトは自分が倒れない限り負けを認めないと思うが……。


「わ~い! 倒した~! ご主人お腹が空いた!」


 ルチルは喜び向かって来た。

 空腹があるのか!?

 よく見るとルチルも魔力はあまり残っていない。

 空腹と言う魔力切れか。


「ダンジョンコアを壊してからにしてくれ……」


「わかった! 待つ!」


 まだ終わっていない、コアを破壊して終わらせないと……。

 奥の方に扉があるから、あそこで間違いない。


「ご主人! 倒したデスナイト、アタシのコレクションにしていい?」


 欲しいのか……まあ、使わないからいいか。


「ああ、いいよ」


「やった~! 大切にする!」


 そう言ってルチルは無限収納に入れようとする。

 …………ん? 消えないぞ?

 魔力があまりないからしまえないのか?


「入らない! どうして!」


 魔力切れではないってことは…………まだ生きている!?


 その瞬間、デスナイトから魔力反応が出た。

 

 結晶にヒビが入り――粉々に砕け散り、デスナイトの大剣と鎧が黒色から虹色に輝く結晶の色になった……。

 噓だろう……まさか浄化されて違う魔物になったのか……。

 マズい……もう魔力もない……早くマナポーションを飲んで体制を――。


 だが、デスナイトは剣を床において正座をする。

 …………えっ、何?


「――――参りました!」


 そのまま土下座した……。

 とりあえず敵意はないってことでいいよな?

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