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177話 黒い鎧の魔物


 中に入った瞬間、尋常ではない魔力を放っている――全長2mはある禍々しく、全身黒い鎧を着た人型の魔物が漆黒の大剣を持って、広いフロアの中心で立っている。


 完全にボスですよって雰囲気を出している。

 

『あれ? デスナイトだと思うけど少し違うような……』


 デスナイトって……ザインさんが苦戦したというSSランクのアンデット系の魔物じゃん……少し違うとはいったい……。


「何か違うのか?」


『う~ん、鎧がカッコイイのと、持っている剣がしっかり手入れしているところだね』


 そこですか……珍しくエフィナが魔物を褒めている。


 デスナイトは俺たちに気づいたのか、剣を振りを下して床に叩きつける。


「我は強者を求める――弱者は去れ……」


 低い声でデスナイトは言う……しゃべるのかよ!?

 コイツ、シエルと同じ稀種なのか?


『アハハ! いいね! 気に入ったよ! レイ、このデスナイト仲間にしよう!』


 なぜそうなる!? 

 散々迷惑をかけているダンジョンの魔物に仲間にできるか!?

 それは置いといて、相手が会話できるのなら対話を試みるしかないか。

 相手はSSランクの魔物――異常種か稀種なら未知数だ。

 はっきり言って勝てない可能性もある。


「話せるのであれば、少し時間をくれるか?」


「ほう……我に怯えることなく、冷静でいる者は初めてだ。いいだろう、時間をくれてやる」


 意外に対話ができるな、ここまま押してみるか。


「お前がここのダンジョンマスターであるなら、違う場所に移動してくれないか? いろいろと迷惑なんだよ……」


「それはできぬ……我は強者を待っている……無理な話だ」


 ですよね……ここで引くわけにはいかない。


「お前が言っている強者はここには絶対いないから移動してくれないか? 俺もお前に勝てる見込みはないからな」


「強者がいないだと……。そうか……せっかくここまで来たが、無意味なのか……」


 デスナイトは落ち込んで剣を持っている手が緩む。

 そんなに強い奴と戦いたいのか……うん、戦闘狂だ。

 もうひと押しだ。


「わかってくれるなら、場所を移動してくれないか?」


「探求者よ、感謝する――では核を持って違う場所へ――」


 その瞬間、ルチルが【武器創造・結晶】で虹色に輝く結晶の脚(クリスタルレッグ)をつけて、デスナイトに近づいて――。


「――――旋脚!」


 腹の部分に蹴りを入れるが、デスナイトはすかさず、剣を構えて防ぎ、ズルズルと後ろに下がる。

 …………何するnだ!?

 あともうちょっとだったぞ!?


「ルチル、お取込み中だぞ!?」


「話が長い! アタシはアイツと戦いたい!」


 えぇ……マジかよ……ルチルも勝てる相手かわからないと理解しているはずなのに……。


「不意打ちとはやるではないか……我が下がるとは予想外の強さ……フフフ、ハハハハハハハ!」


 デスナイトが急に笑い始めた……あっ、無理ですな……。


「目の前にいるのは我が求めている強者! 我は今興奮をしている! まとめてかかって来い!」


 完全に火がついてしまった……。

 できれば戦いたくなかったが、やるしかない……。


「わ~い! 本気になった!」


 ルチルは喜びながらクリスタルダガーを2刀持って近づく。

 魔剣はまだ使わないで様子見をするのか。

 だったら俺も魔法で「クリスタルソード」を2本創り、デスナイトに向かう。


 先にルチルが胴体目掛けて切りかかるが、デスナイトは剣で受け止める。


「小柄だがなかなかやるではないか――――フンッ!」


 そのまま剣で押し倒し、ルチルは後ろに下がる。

 隙ができた――俺はそのまま突っ込む。


「――――絶晶!」


 2刀で切り込みを入れようとした瞬間、すぐに体制を変えて剣で受け止めた。

 噓だろう……あのバカデカい大剣を軽々と振るえるのか……。


「お主もやるな、今ので我の心に響いたぞ!」


 デスナイトは剣に魔力を込め始めた。

 なんの冗談だ……魔物が剣に魔力を込めているだと……。

 ヤバいのが来る――。



「――――斬滅連覇!」



 避けきれない、2刀使って、連撃を受け流す――。

 力は強いが、抑えきれない程ではない。


「我の技を防ぐとはさすがだ! 賞賛に値する!」


 喜んでいるのか、魔力が膨大になり剣を振るうのがさらに加速する。

 コイツ……【魔力制御】までしていたのか。

 俺も魔力を2刀に通して受け流す。

 相手は余裕だ、色々と何か隠しているな。


「ご主人! 避けて!」


 ルチルは高く飛び上がり、クリスタルダガーを解除して、【武器創造・結晶】で虹色に輝く結晶の(クリスタルグレード)大剣(ソード)に持ち替えた。

 避けるたって、少々厳しい――無理やりでも隙を作るしかない。


 相手が上から振り下ろす瞬間に俺は剣を目掛けて振り上げる――。


「――――豪晶刃!」


「何!?」


 相手の剣を弾き、その隙に後ろに下がる。

 そしてルチルが、大剣の重みを使ってクルクルと回って相手の真上に落ちていく。


「――――落烈晶!」


「――――なんの、これしき!」


 デスナイトは体制を整えて、魔力を込めて防ぐ。

 フロア中に金属を音が鳴り響き、足を支えている床はヒビが入ってかなりの衝撃だ。


 悪いが、このチャンスは逃さない――。


 再びデスナイトに近づいて、胴体を狙う――。



「――――極晶裂閃!」



 相手に切り込みを入れたが、傷だらけで終わった。

 あの扉を壊すくらいの威力で切ったぞ……2刀刃こぼれしている……。

 おかしいことに、この技は傷がついた箇所に結晶ができる仕組みになっているけど、出てこない……。


 このデスナイト……いろいろとおかしい……。

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