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174話 炎と結晶の張り合い


 2人の後を追うと、魔力反応が出た――数百はある。

 ルチルとフランカは敵の前に止まった。

 剣、槍、斧と様々な武器を持った骸骨――スケルトンが待ち伏せている。


 おかしいことに攻撃してこない。

 普通なら気づくと攻撃してくるはずだが何もしてこない、知性があるのか?


 2人に追いつくと、ハッキリわかった。

 スケルトンはカタカタと震えながら怯えて後ろに引いている。

 なんで?


「わ~い、骸骨だ! 後ろに下がっておもしろ~い!」


 ルチルは喜びながら【武器創造・結晶】で虹色に輝く結晶の短剣(クリスタルダガー)を2刀出し、両手で持つ。

 その瞬間スケルトンは後ろを向いて逃げる。

 なるほど、そういうことか……。


「逃げたぞ……ルチルに怯えているのか?」


 ソウタは首を傾げてわからないようだ。


「ルチルもそうだが、クリスタルに怯えているに近いか」


「クリスタル? なぜ?」


「クリスタルには浄化効果がある。簡単に言えば光属性に怯えていると同じだ」


「クリスタルってすごいな……そんな効果が……」


「いや、あくまで俺が創造した魔剣だ。前世の記憶でクリスタルは浄化効果があることを知っていただけだ。普通ではあり得ない」


「なるほど……創造ってすごいな……」


 ソウタはとりあえず納得してくれた。

 今回の魔剣(ルチル)は規格外だからなんとも言えないが……。


「わ~い、待て~」  


 ルチルはスケルトンに近づいて軽く胴体を切ると――あっという間にバラバラと骨が崩れ落ちて手のひらサイズの灰色の魔石に変わる。

 こんな簡単に倒せるのか……アンデット系には効果覿面ですな……。

 ルチルだけで終わるな……。


 ――数十分後。

 

 ルチルが全部倒したが、顔を膨らませている。


「手ごたえがない! 弱すぎる!」


 物足りないようです……。


「あまり1人で突っ込まないように……」


「全然平気! 魔石回収して次に進もう!」


 みんなで手分けして周りに散らばっている魔石を回収して奥に進む――。


 かなり歩いたが、魔力反応もない。スケルトンはもういないようだ。

 騎士団たちも戦っていたからあれくらいで済んだのかもしれない。


 段々と道が狭くなっていく。

 とは言っても、みんなで通れるくらいはある。

 更に奥に進むと、行き止まり――地下への階段がある。


 下に降りて行くと――周りは大理石のような壁で一本道である。

 奥には魔力反応――スケルトンアーマーに違いない。

 ここからダンジョンらしくなってきたな。


「わ~い、奥に魔物がいる!」


「おい、待て、ルチ助! ここから本格的な迷宮だ! 罠があったらどうする!」


 フランカはルチルが走る前に止める。


「罠なんて怖くないもん! ――――アースサーチ!」


 ルチルは床に手に当て、地魔法の罠探索魔法を発動する。


「異常なし! ここは罠なんてない!」


「ほんとかよ……」


「本当だもん! アタシは先に行く!」


 ルチルは顔を膨らまして先に進む。

 俺たちも後を追うが、今のところ何も起きない。

 罠がないのは本当みたいだ。

 まあ、噓は言わないと思うが……。


 ルチルは足を止めた――先には周り一面広く、広すぎるのか大きな柱が数本支えている。

 武装した骸骨――スケルトンアーマーの大群が待ち伏せしている。

 多い……千以上はいる……さすがの騎士団でもここでお手上げだな。

 

 敵はルチルを見ても怯えていない。鎧を着ているから大丈夫だと思っているようだ。


「今度は逃げてないぞ~! わ~い!」


 ルチルが前に進むと――スケルトンアーマーは身を構えてルチルに向かって走る。


「ルチ助だけ活躍させないぜ!」


 俺たちも戦闘態勢に入る。

 【武器創造】で金の剣(ゴールドソード)を右手に出し――――って、白金の剣(プラチナソード)になっている!?  

 あれだけ魔力が増えればグレードアップしますよね……。

 

「わ~い、さっきより、楽しい!」


 ルチルは敵の剣を躱して、軽々と鎧を切り、スケルトンアーマーは魔石に変わる。

 次々と敵を倒していく。

 喜びながら相手を豆腐のように切っていくな……この子、戦闘狂だ……。


 気を取り直してスケルトンアーマーを胴体を狙い――。


「――――斬破!」


 鎧を破壊し――骨を切った。

 俺も軽々倒すことができた。

 うん、俺も人のことは言えないな……。


「――――紅蓮斬! 数が多い……まだ先があると思うとこの数は大変だな……」


 そう言いながらソウタは剣に炎を纏い――真っ二つする。


 確かにチマチマやっていると日が暮れそうだな。

 シエルも長く待たせるわけにはいかない。

 まとめて倒すか。


「でしたら私がやります」


「私もやるよ、任せて」


「わかった。よろしく頼むよ」


 アイシスとリフィリアがやってくれるならすぐ終わりそうだ。

 だけど――。


「――――絶晶! いっぱい倒せて楽しい!」


「――――刺炎! コラッ、ルチ助! アタイの獲物だぞ!」


「――クリスタルバレット! 早いもん勝ち!」


「――フレイムバレット! アタイと同じことするな!」


「属性が違う魔法だもん! 関係ない! あっ、それアタシが狙ってた敵!」


「人のこと言えないじゃねえか!」


 ルチルとフランカは張り合っているのか、次々と倒していく……。

 聞いていないな……。


「2人とも、魔法を使うので戻って来てください!」


 アイシスが大声で言うが無視して前に進む。


「聞いてくれないね……」


『2人とも熱くなっているね~』


 この様子だと止められないな……。

 2人に任せるか……。


「そうですか……言うこと聞かないのであれば一緒に凍らせますよ……」


「ちょっと待て!? 時間がかかるが2人に任せてくれ!」


 俺は慌ててアイシスが魔法を発動するのを止めた。


「ック……仕方ありません……終わったら説教です……」


 説教するのか!?

 アイシスさんご立腹のようです……。

 引き続き一体一体倒しながら殲滅をさせる。 


 1時間が経過した――。

 周りは灰色の魔石だけとなった。


「楽しかったけど、全然物足りない!」


「ルチ助のせいで全然狩れなかったぞ……」


 ルチルとフランカは戻ってくる。

 2人とも数百倒していく足りないのか……。

 あっ、アイシスさん作り笑いしています……。


「2人とも……正座してください……」


「「なんで?」」


 2人とも首を傾げてた。

 やっぱり聞いていなかったみたいです……。


『とりあえず正座した方が身のためだよ』


「ん? わからないけどする」


「えっ……ああ、わかったぜ……」


 エフィナの言う通りに渋々正座をすると、アイシスは真顔になり――。


「2人とも熱くなるのはいいですが、みんなの意見をですね――」


 こうしてアイシスの説教が始まった。

 ルチルは顔を膨らませて拗ねて、フランカはため息をついていた。


 時間がかかりそうだから、ほかのみんなと魔石を回収して終わるまで待った。

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