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17話 お泊り②

 お風呂に入り、夕食の準備ができたみたいで食堂へ向かう――。

 それにしても食堂もまた広いこと……100人以上は余裕で入れるな……。

 まあ、お偉いさんと会食やパーティーなどを開くからこのくらいは当たり前か。

 夕食はアイシスとメイドたちで作ったようだけど、いったい何を作ったんだ?

 既にミランドさん、エレセさん、ブレンダは座っている俺もイスに座り、メイドたちは笑顔でいる。

 アイシスと作っていて楽しかったのかな?

 アイシスが食事を運んできた――。


「まず、料理名から、チキンカツ、ロングオニオンのスープにチーズパン、季節の野菜盛り合わせでございます。食べ終えたあとに甘味も用意しておりますので、後ほど説明させていただきます」


「これは、おもしろい! どれから食べようか!」


 ミランドさんたちは目が輝いている。まさかチキンカツとは、見た感じ完璧な出来だな。

 それと、あれ? マヨネーズも作ったのか。


「野菜の横に置いてある、黄色のソースは何かね?」


「それはマヨネーズと言いまして、新鮮な生卵に酸味の強い果汁と油、塩を混ぜたものでございます」


「なんと!? 生卵を使うとは……」


 やはり、生卵には抵抗があるか……。


「新鮮なので大丈夫です」


 ミランドさんは恐る恐る野菜にマヨネーズを付けて食べる。


「……ん!? こ、これは……ウマい!? 酸味の中にまろやかな味わい! 野菜が止まらない! ブレンダも食べてみなさい」


「おいしいの? …………うん! おいしい!」


「こんなにも生の野菜を美味しくするなんて魔法かしら!」


 マヨネーズは好評だな。俺も食べてみるか……うん、美味しいな。 

 マヨネーズもよく分離せずに混ざっているし、少し酸味が強いけど、クセになりそうな味だ。


「そしてこのスープもウマい!」


「少し焦げ目を付け、燻製肉と水を入れて作りました」


「少ない食材でこんなにも、味に深みが出るなんて驚きだよ!」


「もし、よろしければチーズをのせたパンをスープに入れてください」

「スープに入れるのか……信じられん!? スープにパンを入れるなんて邪道だと思ったが、これは違う! ウマい! そしてチーズがスープに溶け込んでさらに奥深い味になる!」


「お姉ちゃん! おいしい!」


「素材は素朴なのだけれど、こんなにも深みが出るなんて……美味しい」


 うん、オニオンスープもしっかり再現できているな。燻製肉でコンソメの代用したのか、良い感じだ。


「そして、これも初めて見る料理だ……」


「こちらは、鶏肉(ホワイトバード)に塩、胡椒で味付けし、卵、小麦粉、擦ったパンを粉にし、付けます。そして油で揚げた1品となります。お好みでソース、マヨネーズを付けてご賞味ください」


「硬いと思ったが意外に簡単にナイフが通る、そして音が良いな……な、なんだこれは!? ウマすぎる! この世にこんな料理があるなんて信じられない! そしてこの食感が良い! ソースとマヨネーズどちらを付けてもウマい! 革命が起きた……」


 いや、革命が起きるほどではないって……しかし、手間がかかるはず、時間もかかっただろうな。それに、この揚げ具合は完璧だ。中の肉は固くなく、しっかり火が通っているめめちゃくちゃ美味しいです。


「おいしい! こんなの食べたことない!」


「美味しい! これは料理ではなく魔法!」


3人とも好評で何よりだ。次に、アイシスがデザートを持ってきた──白い個体か、生クリームでも使っているのだろうか?

 ……って、これパンナコッタじゃん!?


『ちょっと待て、ゼラチンはどこで手に入れた!?』


『私が作りました』


『原料は何だ? 作るたって大変だろう!?』


『キラースネークを使いました。皆様ほとんどゼラチン質のところを捨てるので、私が有効活用しました。有効活用しました。ゼラチンを抽出し、乾燥させ、板ゼラチンを作りました。意外と簡単にできました』


『そうか……すごいな...……』


『ありがとうございます。お菓子作りには欠かせないものなので、当然です』


 ハハハ、本当にビックリだ、まさか板ゼラチンを作るなんて……。

 この世界のお菓子はゼラチンを使ったゼリー、ムース、ババロア、パンナコッタみたいなお菓子はなかった。そう、ゼラチンを作る技術がないと思う。

 ブラウンボアの皮膚や骨などで取れると思うが、作るのが大変だから断念していた。

 それをキラースネークで解決するとは意外だ。


「最後に甘味でございます、パンナコッタといいます。オーレソースをかけてお召し上がりください」


「……ウマい! 最初はプリンと同じ食感だと思ったが全然違う! なめらかで舌にすぐ溶ける……」


 この世界のプリンは焼きプリンみたいでそんなになめらかじゃないから、そう感じますよねー。


「濃厚でソースに合って……美味しい」


「もっと食べたい!」


 まさか、ここでパンナコッタが食べられるなんて……思わなかったな……。

 アイシスに感謝しないと。


「いや~こんなに美味しい料理をいただけるなんて最高だよ! ちなみに作り方は?」


「もちろん、教えました。あとは使いの者達の練習あるのみです」


「おお! ありがとう!」

 

 3人とも満足している。アイシスが作ったからいいけれど、メイドたちはどこまで再現できるか問題だ。まあ、料理系のスキルがあれば大丈夫か。


 4人とも食事を終えた後、メイドたちは食事を摂る。


「お、美味しい!」

「こんな料理初めて食べた!」

「さすが、お姉様!」


 よくメイドたちからワードで「お姉様」とか聞くけれど、アイシスのことか? 

 まあ、メイドたちと仲良くなっているのはいいことだ。


 その後に精霊と一緒に書庫室に行き、本を読む。ブレンダも隣で居座るけど、夕方の時と同じでつまらないはず、聞いてみると。


「ここでいいの!」


 本人が言うのであればいいか。 

 

 ――2時間後、ブレンダは眠そうな顔をしている。もう、寝る時間か。俺も寝るとするか。待機しているメイドに客室用の寝室への案内をお願いすると。


「お兄ちゃんと一緒に寝たい……」


 そこまでして一緒に来るのか……。 

 風呂もそうだが、寝るのもアウトだ……メイドに説得するように言うと。


「あの、旦那様から許可が出ていますので、どうかぼっちゃま、お嬢様と寝てください……」


 いいのかよ!? しかも許可しているとか最初からそのつもりだったのか!?


「お兄ちゃん、抱っこ……」


 ブレンダも限界か。しょうがない、お姫さま抱っこし、寝室へ向かう。


 ――案内された寝室は……広いな……20畳以上あるな……。

 ブレンダをベッドに寝かせる。


「お兄ちゃん、今日は楽しかったよ……」


「そうか、それは良かった」


「おやすみなさい……」


「あぁ……おやすみ」


 さて、俺も寝るか……。

 ブレンダの横で寝る――。



 ――――◇―◇―◇―――――



 ――翌日。


 顔と腹の方に違和感が……。


 精霊とブレンダが起こしに来る。


「お兄ちゃん、おはよう!」


「おはよう……」


 するとドアからノックの音が聞こえて、開くと、アイシスが来た。


「おはようございます。ご主人様、ブレンダ様、朝食の用意ができました」


「ああ、わかった」


 食堂に向かい、ミランドさん、エレセさんが座っている。そして、執事、メイドたちは――。


「「「――――おはようございます! ぼっちゃま、お嬢様――――!」」」


 朝から迫力があるな……。


「おはようレイ、ブレンダ」


「おはようございます、ミランドさん、エレセさん」


 イスに座り、アイシスが朝食を運んできた……朝はさすがに手の込んだ料理は作っていないみたいだな。

 ミネストローネにフルーツの盛り合わせにそしてこれが……またしゃれたものを作りましたね……エッグベネディクトですか……。

 3人の食べた感想は――。


「ウマすぎる! 昨日食べたソースもウマいが、このソースもウマすぎる! 毎日食べたいものだ!」

「美味しい! 朝からこんなに良いものを……」

「おいしい! おかわり!」


 好評ですな……俺も食べるか……エッグベネディクト美味しすぎる!? オランデーズソースが半熟の卵と燻製肉に合うこと……帰ったらオランデーズソースを作るか。

 そして朝食を食べ終わったら、アイシスはいよいよ豆乳でも作りに入るのかな? 

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