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172話 無事で何より


 風呂を上がり、リビングに向かい朝食を食べるが……多い……。

 病み上がりなのに、普段と同じ食事ですが……いや、肉の量が普段よりも多い……アーマーベアーのガーリックステーキですよ……。

 朝から濃すぎです……。


「量が多いのだが……」


「ご主人様はポーションを飲みましたので、胃が大丈夫だと思い、普段通りの食事を出しました。問題なくお食べください」


 そういうことか……わかりました……全部食べますよ……。

 俺はゆっくりと口に運んで食べるがその横で――。


「ご飯おいしい! おかわり!」


 ルチルは口を大きく空けて笑顔でご飯を食べている……お椀いっぱいに大盛りしたご飯を10杯も……。

 ほかのみんなより魔力が輝いている。食べるのが好きなのかな?


「ルチル、足りなければ俺の分も食べるか?」


「いいの!? わ~い、食べる!」


「ダメです! 明日ダンジョン探索に行きますので体力をつけなければいけません!」


 アイシスはすかさず俺の後ろに立って、あげるのを阻止する。

 別にダンジョンに探索に行くにしてもこんなに食べなくてもいいのだが……。


「む~わかった……」


「物足りなければ作りますので言ってください」


「いいの!? じゃあ、熊の肉をあと1㎏食べたい!」


「わかりました。今すぐ作りますので、いい子で待ってくださいね」


「うん!」


 結構食べますね……。

 まあ、大量にあるからいいけど。


「全く……食べ過ぎだ……」


 フランカは呆れて言う。

 好きで食べているからいいと思うが……。

 

 朝食を食べ終わり、ソファに座り消化するまでゆっくり待つ。

 食べ過ぎた……。

 多く食べたルチルは――。


「わ~い、お馬さんだ~」


『やめるのじゃ! 妾は食べたばっかりでゆっくりしたいのじゃ!』


 シエルの背中に乗って大はしゃぎです……。

 小人といえど、中身は子どもですね……。


「飽きた! ご主人のとこにいく!」


 そう言うと俺の隣に座る。

 飽きるのはやっ!? 数分しか経っていないぞ……。


「俺の隣にいても何もしないからつまらないぞ」


「ご主人は別だからいいの! 隣にいると落ち着くから飽きない!」


 基準がわからない……本人がそういうのであればいいか。

 俺の隣にいると魔力も回復して落ち着くのは本当にみたいだ。

 しかし……あれだけ食べても魔力が完全に回復していない……底知れない……魔力量が多すぎる……。

 リフィリアよりも多いぞ……。

 

 お昼頃には動けるようになり、外に出てみると――。

 

 周りにテントが張っていて、騎士団が周りの警備をしていた。

 

「レイ殿が起きたぞ!」


 俺に気づいた騎士が大声を出し、周りは俺の方に向かって整列をする。

 騎士団長――ファイスさんが前に出てきて敬礼をしながら――。


「――若き冒険者に感謝を!」


「「「ありがとうございました!」」」


 前に見た光景ですが、恥ずかしい……。

 泣いている人もいますが……特にオーウェンは鼻水を垂らしながら号泣しています……。


「レイ殿に助けられるとは……女神様が奇跡を起こしてくれた……助けてくれて本当に感謝……いや、感謝しきれない……」


「いえ……依頼ですので、あまり感謝されることでは……」


「謙遜はやめてくれ! 賢者の弟子――アイシス殿から聞いている。フランカ殿とそこの小人の子と一緒に壊したと聞いた……レイ殿は魔力が尽きるまで早く私たちを外に出そうと必死になっていたと……感謝しないはずがない!」


 アイシス……ファイスさんに何を言ったのだ……俺にドヤ顔しないでください……。


「そうですか……無事で何よりです……」


「もっと自信をもってくれぬか! しかし、いろいろとお世話になった。アイシス殿に食事を提供したり、フランカ殿は武具の手入れ、大精霊には皆の手当て、精霊使いのソウタ殿には周りの魔物の討伐をしてくれたりして大助かりだ」


 俺が寝ている間にいろいろとしていたのだな。


「それは良かったです。これなら王都に帰れますね」


「今日中にはこの場所を去ろうとする。レイ殿にも挨拶できたから帰る準備をしないとな――――皆の者! 帰る準備を!」


「「「はっ!」」」


 騎士たちは解散し、テントを片付けに入る。

 すると――オーウェンさんが号泣しながら向かって来る。


「レイ殿! 本当にありがとうございました! 私はもうダメかと思いました! ミンディと結婚する約束をしていたので、約束も守れそうです! 本当にありがとうございます!」


 思いっきり頭を下げてくれます……。

 

『死亡フラグ回避して良かったね~』


 確かにエフィナの言う通りフラグを回避できたから良かった。

 今後もフラグが立たないことを祈ろう……。


「オーウェン! 仕事に戻ってくれ!」


「はい! また時間があればお話しましょう! 失礼します!」


 オーウェンさんは清々しい顔して仕事に戻る。

 お礼が言いたかったのか……。


「知り合いだとはいえ、部下がすまなかった……」


「いいですよ。辺境村でお世話になりましたし、大丈夫です」


「寛大で助かる……しかし……アイシス殿に聞いたが、これからダンジョンに入るのか……私たちを助けて疲れているのにどうしてそこまでするのだ……」


「安易な言い方になりますが、俺も冒険者です。ただの好奇心ですよ」


「好奇心だけで……だがレイ殿たちならダンジョンに攻略はできそうだ」


「そう言っていただけると嬉しいです。できればダンジョン内に情報をほしいのですがいいですか?」


「情報? ああ、もちろんだとも――」


 ファイスさんの話によるとダンジョンは洞窟内に収まらず、奥に地下への階段があると言う。

 騎士団が待機していた階にはCランクのスケルトンが異常に多く、地下一階は武装をしたBランクのスケルトンアーマーがいたと言う。

 今回は調査するだけでそれ以上は進んではいない。

 

 スケルトン系が多いのか? まあ、これくらいなら、なんとかなりそうだが油断はできないな。

 ほかにも下に繋ぐ階層はありそうだ。


「情報ありがとうございます」


「くれぐれも無理をせず、ご武運を祈る」

 

 騎士たちは後片付けが終わり、みんな手を振って森の中に入って王都に向かった。

 とりあえず依頼は終わった。

 あとはダンジョン攻略だ。

 そのダンジョンは……扉が元通りになっていた……。

 全部壊しても戻るのか……不思議です……。


「早くダンジョンに入りたい!」


 ルチルはダンジョン前で喜んで飛んでいる。

 楽しみにしているのか。

 

「お前……ダンナの言うことを聞かないで勝手に入るなよ」


「そんなことしないもん! ご主人と一緒に入るのが楽しみだもん!」


 フランカの発言でルチルは顔を膨らませる。

 そこまで暴走はしないとは思うぞ……。


「じゃあ、明日に備えて今日はゆっくり休もうな」


「うん! ご飯いっぱい食べて備える! もうすぐご飯の時間だぁ~!」


 そう言ってルチルは家に入った。

 元気がいいですね……。

 アイシスに昼食は軽めなのお願いしよう。 

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