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168話 頑丈な扉


 傷をつけた扉は光り輝くと――修復されて元に戻る。


「なんの冗談だよ!? 魔剣(アタイ)でも破壊できないのか!? しかも元通りになるとかおかしいだろう!?」


 予想外だ……そこまでして扉を頑丈にさせるのか……入った者は絶対に逃がさないようにしているのか……。

 フランカだけでは壊せない、みんなでやるしかないか……。


「フランカ、周りの魔物を倒してから立て直す。それでいいか?」


「わ、わかった……」


 フランカはかなりショックを受けている。

 無理もない、今まで硬い物はなんでも切ってきたから落ち込むのも当然だ。


 まずは残りの魔物を倒してからだ――。


 

 ――1時間経過した。



 周りの魔物を全部倒したが、森の方にも魔力がある……油断はできない。

 来る前に壊せればいいが。


 魔物を無限収納に入れて、みんなで扉の近くに寄る。


「魔剣でもダメなのか……俺も試してみるよ、下がってくれ――」


 ソウタは剣に炎を纏い、切る――。


「――――エクスプロージョン!」


 金属音が鳴り響き――切った箇所に爆撃が炸裂する。

 だが、扉は無傷である。


「本当だ……これは無理だな……」


『もしかしてこの扉はオリハルコン以上の強度で火耐性があるのかもしれない』


 唐突にエフィナが言い出した。

 確かにそう考えるのが筋か。


「火耐性だと!? アタイは炎だ! 生温かい耐性で壊されないのはおかしいぞ!」


『まあ、気持ちはわかるよ、フランカの炎でも耐性のせいで半減されているから、効かないことはないけど、魔剣でも壊せないのは異常だね。』


「じゃあ、元通りになるのも異常なのか?」


『それは違う、仕様だよ。ダンジョンは主とダンジョンコアを破壊しない限りは元通りになるからキリがないよ。だけど、すぐに扉が元に戻るのはおかしいけどね』


 そういう仕様か。

 早いってことはダンジョンマスターはそれほど強力な魔物ってことか……。


「そこに誰かいるのか!」


 扉の向こうから男の声がこもって聞こえる。

 

「協会の依頼を受けに来ました、レイです! みなさん大丈夫ですか!?」


「レイ殿だと!? 私だ! 騎士団長のファイスだ! まさかレイ殿が来るとは……怪我をしてる者もおるが、今のところ大丈夫だ!」


 その声はファイスさんか、とりあえず無事で良かった。


「レイ殿がいるだと!? レイ殿、私です! オーウェンです! レイ殿が来るならもう安心だ!」


「「「よっしゃー!」」」 


 オーウェンさんの発言で、扉の向こうから騎士たちの喜びが聞こえる。

 いや、安心はできない……。


「すみませんが、今扉を壊しているのですが、なかなか壊れません……」


「レイ殿でも壊れないのか!? そんな……」


「あと、どのくらい食料が持ちますか?」


「実は言うともうすぐで尽きてしまう……持っても2日くらいだ……」


 2日か……それまでに壊せさないといけない――。


「できるだけのことはします! みなさん扉の方へ離れてください!」


「わ、わかった! レイ殿も無理をなさらず!」


 騎士たちも離れたと思う――さて、早く壊さないとな……だったらゴリ押しするしかない。


「フランカ、もう一度頼めるか? 今度は一緒にやるぞ!」


「ああ、わかったぜ!」


 俺も炎の魔剣(フランカ)、そして右手には――。


「――――ブルーフランベルジュ!」


 炎の魔法で創った豪炎に青く燃える剣を持ち――炎の魔剣に思いっきり魔力を込め、赤い炎から青い炎に変わる。

 フランカも準備はできたようだ。

 

「いくぞ――」



「「――――蒼炎乱華!」」



 お互い青い炎を纏い――扉を切り刻む。


 硬い……ミスリルゴーレムよりも硬すぎる……。

 扉は傷だらけになるが、壊せない……。


 2人でやっても無理なのか……。


「チクショ―! ダンナ、今度は魔法だ! いつもの頼む!」


 剣が無理なら【混合魔法】はどうだ――。


「「――――コメットバレット!」

 

 彗星の弾丸を放ったが、鈍い金属音があっただけで、かすりもしなかった……。

 これでもダメなのか……。


「ダンナ……魔力はまだ残っているか?」


「まだ多少はあるが……」


「バレット系がダメならショット系を使いたいのだが、いいか?」


「わかった、やってみるか……」


 これで通用しなかったら策を練らないといけない。

 俺とフランカは残りの魔力を振り絞り、再び【混合魔法】を使う――。



「「――――コメットショット!」」



 彗星の豪弾を放つ――扉に直撃すると、周りは衝撃波が起こり、砂ぼこりが舞う。

 やったか?

 扉に凹みがあったものの、光り輝いてすぐに元通りになる……。

 噓だろう……フランカで1番強い混合魔法でも無理なのか……。


 フランカは壊せなくて呆然としている……。

 お互い魔力を使い切って倒れる……。


「マスター、フランカ、お疲れ様。マナポーションを飲んで休んでね」


「わかった……」


「お、おう……」


 リフィリアにマナポーションをもらい、安静にする。

 ほかのみんなも扉の破壊を試みる。


「――――風迅割砕!」


「――――スパイラルランス・レイン!」


「――――アイシクルランス・レイン」


「――――エクスプロージョン!」


「妾の炎で溶かしてやるのじゃ!」


「――――アクアナックル」


「――――ウインドナックル!」


 いろいろと試したが、変わらない……魔力を使って元通りになるのはわかるが、全然消費もしていない……。

 本当におかしい……。

 日も暮れて、みんなお手上げ状態……。


「今日は撤退しよう……作戦を考えて出直そう……」


 ソウタの言う通りだ、騎士団には申し訳ないが、体制を整えて扉を壊すしかない。


「そうだな、シエル安全な場所に移動するぞ」


「わかったのじゃ!」


 みんなシエルに乗って――魔物がいない場所を探す。

 ちょうど魔物がいない――丘の場所を見つけてそこに降りる。


「チクショー! 今日はやけ酒だ! たくさん飲んであのバカげた扉を壊してやる!」


 落ち込んでいたフランカが急に大声で言う。

 やっぱり悔しいだろう……。

 フランカは自分の家を出して中に入る。

 俺たちもその後に入るが――。


「ソウタ見ちゃダメ!」

「主……不潔……」

「ソウタ様! 見てはいけません!」


 フランカはソウタがいるのに、玄関前で鎧を外して――全裸になり、風呂場に向かった。

 精霊たちはすぐさま目を隠したからソウタは見てはいないと思う。

 精霊たちはフランカが風呂場に向かったことを確認すると、ホッとして目を隠すのをやめる。


『う~ん、フランカ大丈夫かな……』


「あれだけ、大口叩いて扉を壊せない自分が恥ずかしいと思っています。ですが、お風呂に入って切り替えるとは思うので大丈夫ですよ」


 アイシスは呆れながら言う。

 確かに少々取り乱しているが、お風呂に入って気持ちの整理するだろう。

 

 

 ――2時間後。 


「ふ~さっぱりしたぜ~!」


 俺たちがリビングでゆっくりしているとフランカが風呂から戻ってきた。

 白いタンクトップにパンイチ姿で――よく拭かないで濡れて透けて見えますが……。


 精霊たちはフランカの姿を見ると――再びソウタの目を隠す。


「今日のフランカは破廉恥よ!」

「ぼ、ボクより少し胸がある……」

「ソウタ様、絶対に見てはいけません!」


「4人とも先に風呂入ってくれ、風魔法で乾かすから……」


 精霊たちは頷いてソウタの目を隠しながら風呂場に向かった。

 リフィリアが風を使ってフランカの服を乾かす。

 

「もう……3人を困らせないで……」


「別に着ているから問題ないだろう! 今日は夕飯いらないからな!」


 そう言ってフランカはイスに座り、テーブルにこれまで貰った酒とワイングラスを無限収納から出して飲む。


「つまみはいりますか?」


「つまみは食べるぜ! できれば濃い物を! から揚げ、角煮、餃子、チーズ、生ハム、シメに背脂たっぷりのラーメンよろしくな!」


「わかりました。すぐ用意します」


 シメにラーメン食うじゃないか!?

 なんだかんだガッツリ食べるな……。


 アイシスがつまみを用意すると、すぐさま口に運び、酒飲みもドンドン加速する。

 

 ――2時間後。


「へへへ、ダンナも~酒飲むぜ~」


 かなり酔って絡んできます……。

 まあ、この調子なら明日も万全な状態で扉を壊せるか。

 さrに飲み続けて泥酔状態になったから、抱っこして寝室に寝かす。


『いや~心配だったけど、大丈夫だね~』


「ああ、魔力もかなり回復しているから明日も頑張ってくれそうだ」


『だけど、扉を壊す方法はあるの?』


「これからみんなと相談するから大丈夫だ」


『わかった! 最悪の場合ボクの魔力使っていいからね!』


「できるだけ避けたいが、危ないときは頼んだ」


『うん!』

 

 確かにエフィナの魔力を借りればなんとかなりそうだが、それは最悪ケースだ。

 もしそうなった場合、膨大な魔力を使ってエフィナ自身危ない。

 本当に避けたいところだ。


 リビングに戻り、みんなと念入りに話し合って、明日に備える。     

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