165話 救助依頼
ザインさんの話によると王都から東200㎞離れた場所の洞窟がダンジョン化したという。
ダンジョンは王都の騎士団が中に入って調査に行ったところ、1週間が過ぎても帰って来ないままであり、冒険者を派遣して様子を見に行ったら扉が開かず、閉じ込められたと確認した。
扉を武器や魔法で破壊しようと試みるが傷も何もかすりもしないみたいだ。
ギルドマスターであるオルリールさんも現地に行って破壊しようとするがダメだったらしい。
それに王都の周りでも魔物が異常発生していて大変で、しかも洞窟の周りにも強力な魔物がいて長居はできないらしく、行ける冒険者が限られて厳しい状況。
破壊できずに2週間が経ってしまった。
そこでカルムはある程度落ち着いていて余裕がある俺たちを推奨した。
依頼内容はダンジョンの扉を破壊及び騎士団の救出だ。
報酬は白金貨1枚とかなりの割高である。
ダンジョンって確か知能が高い魔物が突然現れて、特有のスキルでダンジョン生成するはず。
今魔物が異常発生している中タイミングが悪い……いや、この時期だからこそ現れてもおかしくはないか……。
扉が開かないってことは攻略してないようだな。
ってことは周りの魔物を倒しながら扉を破壊する感じか。
2週間もダンジョン内に閉じこもっていて騎士団は大丈夫なのか?
「騎士団の安否は?」
「幸いなことに全員無事で、扉の向こうから小さいが声が聞こえて確認はできたみたいだ。ダンジョン内も強い魔物がいて奥に進めなく攻略できないから八方塞がりだ。もうすぐで食料も尽きるから早く行ってほしいとのことだ」
「なるほど、扉の強度はどれくらいかわかりますか?」
「ミスリルの武器でもダメだったらしい、ミスリルと同等――それ以上の強度らしい」
まさか親玉は獲物を逃がさないように扉を頑丈にしたのか……そのくらいなら炎の魔剣を使ってなんとかなりそうだな。
「なんだ、簡単な仕事じゃないか、依頼が終わったらダンジョン攻略してもいいか?」
フランカは得意げに言う。
自信ありますな、さすがに騎士団が攻略できないダンジョンの許可は――。
「王都側は早くダンジョンの消滅させてほしいから大助かりだ。無償で手助けになるがいいのか?」
いいみたいです……。
「ああ、いいぜ! 魔石とお宝が手に入るから楽しみだぜ!」
フランカは拳を握りしめる。
確かダンジョン内で魔物を倒すと魔石になるって聞いたな、だけどお宝があるのは確信はできないが。
「ソウタは大丈夫か?」
「ああ、その後ダンジョン攻略とか楽しそうだな、喜んで依頼を受けるよ」
決まりだ……って、その横で話を聞いていた小人たちは目をキラキラ輝かせている……。
「「「いきたい!」」」
ですよね……。
ダンジョンに興味大アリでした……。
「すまないが、小人のみんなには引き続きリバークラブの討伐をしてほしいのだが……」
「「「ぶ~」」」
みんな顔を膨らませて駄々こねています……。
そんなに行きたいのか……。
「みんなダメだよ! この街の守ってカニを村の人のお土産にする約束だよ!」
ミツキさんはみんなを説得している。
さすがしっかり者のお兄さんですな。
「わ、私も……い、いきたいけど……が、我慢する……」
ミツキさんは涙目になりながら身体を震えながら堪えています……。
あっ、1番行きたいみたいです……。
「ミツキさんが我慢している……頑張ってください……」
「ここは我慢してくださいミツキ様……」
ウィロウさんとグラシアさんは保護者のように応援しています……。
今回は申し訳ないが、小人のたちを連れていくことはできない。
当分は俺たちはいないから何か聞いてあげよう。
「ミツキさん、当分屋敷に帰って来ないので終わった後、なんでも聞きますよ」
「えっ!? なんでも聞いてくれるのですか!?」
「はい、できる範囲なら」
「じゃあ、じゃあ――」
すぐに言いだそうとはしない。
無理難題なことなのか……。
「――じゃあ、私の村に来てくれませんか?」
えっ……それだけ?
小人たちを見ると膨れた顔からウルウルとしたつぶらな瞳に表情が変わった……。
そんなに来てほしいのか……。
「ザインさん、帰った後、休暇をもらえますか?」
「まあ、この街も落ち着いているから問題ないだろう」
「いいですよ、ミツキさんの故郷に行きます」
「わ~い! レイさんが村に来る~!」
「「「やった~~!」」」
小人たちが大喜びして飛び跳ねています……。
「そんなに嬉しいのですか……」
「はい! 村のみんなはレイさんに会いたいとずっと言ってますので!」
みんな俺に会いたいのか……良くしているかと解釈しよう……。
まあ、ミツキさんの故郷は行く予定だったから全然問題ない。
「決まったようだな、詳しいことは王都にいるオルリールに聞いてくれ」
「あの、シエルに乗って行ってはダメですか?」
「今連絡して許可を取るから待ってってくれよ」
「ありがとうございます」
ザインさんは屋敷を出ていった。
シエルに乗って行けるのであれば半日ではかからないで行ける。
それにしても久々にの王都か、ブレンダに会えるがそんな暇はないな、また今度にしないと。
「今日も張り切ってやるぞ~!」
「「「お~!」」」
小人たちはテンションよくリバークラブを狩りに行った。
まだすぐに行かないけど……。
俺たちもいろいろと用意しないとな――。
再びザインさんが来て、シエルが王都に入る許可が下りた。




