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161話 1年ぶりの再開


 教会に入り、礼拝する順番を待つ。

 奥の祭壇にはティーナさんの像――精霊たちは【隠密】で姿を消しているが……圧を感じています。


「やっぱりデカい……」

「大きい……」

「これが女神様の貫禄……」


 まだ胸を盛っていることを信じていないようだ。

 これからハッキリとわかりますので安心してください。


「やっぱりこの大陸では女神様ミスティーナを祀っているのが多いな……」


「そういえば、魔大陸ではシャーロさんの信仰が多いと聞くが本当なのか?」


「ああ、本当だよ。魔大陸の街の教会では女神シャーロの像を祀っているよ――とても凛と姿をした獣人の像が」


 凛した姿……あっちの方もいろいろと盛っていますね……。

 シャーロさんに失礼では……。

 俺たちの順番になり、祭壇の前に膝をついて――祈りを捧げる。


 視界が変わっていき――前と同じように花の庭園に来た。

 ソウタたちも一緒にいるから成功したようだ…………なんで横にシエルがいるのだ!?


『ぬお!? ここはどこなのじゃ!? さっきまで寝ていたのに突然光が……花がいっぱいで綺麗なのじゃ!? みんなもおる!?』


 シエルはいろいろと困惑していた。

 呼べるのか……。

 

「アタシが呼んだから……安心して……」

 

 床まで髪が伸びている獣人の小さな美少女――シャーロさんが尻尾を振りながら俺たちの方に向かって来る。

 シャーロさんが呼んだのか……。

 俺の前に来ると両手を広げて――。


「……ん」


 まさかと思うが……抱っこしてほしいのか……。

 シャーロさんを抱っこすると無表情だが耳をピョコピョコとして尻尾を振っている。

 嬉しいみたいだ。


「落ち着く……みんな久しぶり……」


『久しぶり! 相変わらず甘えん坊だな~』


「レイ……その獣人の子は……」


「女神シャーロさんだよ」


「女神様なのか!? 全然違う……」


「アタシに文句あるの……」


「い、いえ!? とんでもございません……」


 ソウタは驚いている。

 やっぱり祀っている像と同じ姿だと思っていたか……。 


「シャーロ、祀っている像とは違うのだから多めに見てくれ」


「わかった……そうする……」


 黒髪でナイスバディな美女――ソシアさんも近づいてきた。

 精霊たちはかなり衝撃を受けている……。

 

「デカすぎ……」

「アイシスより大きいかも……」

「桁が違います……」


 圧倒的な大きさで落ち込んでいます……。

 そんなに大きくなりたいのか……。


「久しぶりだね、会えて嬉しいよ」


「お久しぶりです。ソシアさん」


『久しぶり! 元気にしてた?』


「ああ、この通り元気だとも、初対面の子もいるが気軽に接してくれ、私は女神ソシアだ、よろしく」


 ソシアさんはソウタに握手をしようとすると――精霊はソウタの目を隠す。


「ソータは間近で見ちゃダメ!?」

「主が欲情しちゃう……」

「ソウタ様には刺激が強すぎます!?」


「やめろ、3人とも!? 女神様の前だぞ!? 失礼なことをするな!」


「いったいどうしたのだ?」


 ソシアさんは首を傾げる。

 目のやり場が困るとは言えないな……。


『いや~精霊たちはソウタがソシアの美貌に見とれちゃうから目を隠しているのだよ~』


「私の美貌に? フフ……そうか、それは嬉しい限りだ」


 クスッと笑った。ソシアさんは真面目な性格だから美人て言うと嫌な顔で返してくると思ったが、そうでもないようだ。

 意外だ。

 

『3人とも大丈夫だよ、今ソシアは恋愛禁止だから安心してね!』


 女神でも恋愛禁止があるのか!?

 いや、冗談で言っているに違いない……。

 エフィナの発言で精霊はホッとした様子だ。


「恋愛禁止なら仕方がないわね」

「うん……納得した……」

「良かったです……」


「まあ、そう言うことだ、改めてよろしく」


「こちらこそよろしくお願いします」


 ソシアさんとソウタは握手して、フランカ、シエル、精霊3人もソシアさん、シャーロさんに挨拶をした。

 あと、まだ1人挨拶が済んでいない……後ろ方に腕を組んでずっと立っている金髪の美女――ティーナさんが顔を膨らませてムスッとしている……。

 なぜか機嫌が悪い……。


「あのティーナさんは……」


「ああ……レイ君とエフィナに1年会えなくて拗ねているのだよ」


「えっ……まさかと思いますが……頻繫に会いたいと……?」


「毎日会いたいらしいぞ……まあ、私も忙しくなければ会いたいが……」


「アタシも……さすがに1年で1回は少なすぎ……」


 そう言うことか……確かに年に1回は少ない……せっかくエフィナと再開できたのに俺の配慮が足りなかった……。

 今度から定期的に会うとしよう……。


「わかりました……今度から気をつけます……」


「頼んだよ、できれば月に1回は会ってくれないか?」


「肝に銘じます……」


「ん……そうして……」


「ということだティーナ、拗ねてないでこっちに来ないか」


 無言のままティーナさんが俺に向かって来る……圧がすごい……。


『アハハ! ティーナが何も言わないで来る! おもしろい!』


 面白いのか!? エフィナさん……余計に刺激してはいけません……。

 何も言わずに顔近づけてきます……。


「レイ……」


「は、はい!?」


「次は頻繫に会うようにしてね……」


「わ、わかりました……」


「よろしい……フランカ……頼みがあるの……」


「えっ? アタイ……?」


「大至急……私の等身大の像を作ってちょうだい……ミスリルで……作ればいつでも会えるようになるからよろしくね……」


「わかったぜ……帰ったら作るぜ……」


 フランカも巻き込まれた……本当にすみません……。

 あとでお願いなんでも聞いてあげます……。


「なら許す……レイ、いっぱい話すことがあるから覚悟してね」


「は、はい……わかりました……」


 ムスッとした顔をしなくなり、機嫌が良くなった……本当に危ない……女神様を怒らせたら絶対にとんでもないことが起きる……。

 とりあえずひと安心です。


「それと……なんでシャーロがレイにくつかっているのよ!? 今回は私が甘える番よ!?」


 前回言っていたこと忘れていませんでした……。


「ヤダ……早い者勝ち……」


 シャーロさんは舌を出してティーナさんに挑発している……。 


「いいえ! 今回は絶対甘えますから離れなさい!」


『アハハハハハ! いいぞもっとやれ!』


 そこは止めろよ!?

 ティーナさんは離れるように言うが、シャーロさんは「イヤ」の一点張りで、

 呆れたソシアさんは2人にやめるように言ったが聞いてくれない……エフィナは大爆笑でした……。

 この感じ……悪くはない、この4人の本来の日常かもしれない。

 10分くらい続いて最終的にはティーナさんが後ろからガッチリと掴まれてました……。


「今回はこれで我慢します! 次は私もお姫様抱っこさせてね!」


 俺の拒否権はありませんでした……。


「次も早い者勝ち……」


『アハハハハハ! 次も楽しみだ!』


「全く……いつもこうだから……悪いねレイ君、みんなも茶番に付き合わせてもらって」


「大丈夫ですよ……」


 そう言うとみんなも頷いた。


「立ち話もあれだ、前に案内した場所でお茶を飲もうではないか、いろいろと話もしたいしな」


「では私がお茶の用意します」


「ありがとうアイシス君、それじゃあ行こうか」


 みんなでソシアさんについて行き、前回設置されているテーブルとイスの方へ向かう。

 あの……ティーナさん……歩くときは少し離れてください……動きづらいのですが……。  

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