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15話 賢者の秘薬?

 新居に住み始めて3日が過ぎた。

 相変わらずアイシスと精霊の過保護ぶりは健在である。まあ、嬉しいけどね。


 今日はミランドさんにお礼を言いに行かないといけない、こんな立派な屋敷を紹介してくれたのだから本当にありがたい。

 屋敷を出ようとすると、2人とも行く準備をしていた、やっぱりついてくるのですね……。

途中で焼き菓子専門店に立ち寄り、焼き菓子を買ってからミランドさんの屋敷に向かう――ミランドさんの屋敷に着くと、いつも通り……。


「「「――――おかえりなさいませ! レイぼっちゃま――――!」」」


 行く度に聞かされるが、全然慣れる気がしない……。イケメンでメガネをかけた執事長(セバスチャン)にミランドさんがいるか聞くと、客間に案内してくれる。

 周りに精霊がいることに気づかれたとき……。


「あれが、ぼっちゃまが使役した精霊だ……」

「神秘的だ……」

「さすがはぼっちゃま……」

 

 ものすごく誤解されているが使役も何もしてないから!

 また変な噂が流れている……精霊は喜んでいるけど、そこで喜ぶところじゃないから!


 客間で待っていると、ミランドさんとブレンダが来た。


「お兄ちゃん! 賢者の弟子のお姉ちゃん! それに精霊さん!」


「やあ、レイ、君自ら来るってことは、養子になってくれるのかね?」


「いえ、違います。屋敷を紹介してくれたお礼です」


 無限収納から焼き菓子を出してミランドさんに渡す。


「すまないね、焼き菓子をもらうほどではないのだけどね」


「いいえ、これでも割に合わないくらいです。本当ならもっと良いものをあげたいのですが」


「じゃあ、それならアイシス君に賢者の知恵とか教えてほしいな。この街が発展できる情報があれば活用したい」


 そうきたか、アイシスならちゃんと答えるだろう。


「わかりました、知恵というほどのものはありませんが、なんでもお答えします」


「では――」


「じゃあ、わたしのお願い聞いて!」


 急にブレンダが話す。お願いって、なんだ?


「できる範囲なら大丈夫ですよ」


「どうしたらお姉さんみたいに大きな胸になれる?」

 

 …………はい? 

 周りにいる人たちは呆然としている。


「ブレンダ……いくらそれは賢者の弟子でも無理な話だ……」


「だって……このままだと、お母さんみたいに背が伸びても胸が小さいままだもん……」


 切実な悩みだな……さすがにアイシスは答えられない……。


「わかりました。話が長くなりますけど、よろしいでしょうか?」


 答えるのかよ!?


「「「なんだって!?」」」


 みんな驚愕しているけど、またアイシスのホラ話が始まるのか……。


『今度は何の話にしてくれるのかな!』


 エフィナは楽しそうだな!


「それは本当なのかね? ……じゃあエレセも……」


「もしかしたら可能かもしれません」


「なんと! 誰かエレセを呼んでくれ!」


 大ごとになってきたな……エレセさんが慌ててやって来た。


「アイシスさん、それは本当なの!?」


「はい、賢者様に誓って噓は言いません」


 女性陣はかなり喜んでいるが、大丈夫なのか……多分、俺の記憶から引っ張ってくるとは思うのだが……。


「それでは話します。まずは子どもの頃、私が女性らしい体型になりたいとワガママを言いました。賢者様は文句も言わずに承諾し、ある物を作ってくれました。賢者様はそれを毎日飲むといいよと教えてくれました。私はその言葉通り毎日飲み続けました。すると、信じられないことに半年くらいから体つきが変わり、女性的で魅力的な身体になりました。これは本当だと確信し、さらに5年後には私の理想の体型になりました。」


 また突拍子もないことを言うな……。


『アハハハハ! この話、最高だよ!!』


 エフィナと精霊は笑っている。


「それはいったい……」


「……大豆でございます」


 大豆って……豆乳かよ!? 

 みんなざわついてしている……。


「なんで大豆なの?」


「大豆には女性の発育を良くする作用があります。賢者様はその成分を抽出するため、大量の大豆を使い飲み物にしました。これを賢者は豆乳、またはソイミルクと呼びました。私は賢者様の知恵に敬意を込めまして()()()()()と呼びます」


「大豆にそんな作用があったなんて……にわかに信じがたい……」


 まあ、この世界には栄養という概念が薄い……。

自然に良い物を食べているから問題ないが、この世界の大豆には地球と同じ成分であるイソフラボンが入っているかはわからないけど……。

 これは信憑性に欠ける。


「あ、あの……」


 お胸がそこそこあるメイドが手を上げて何か言いたそうだ。


「私は本当だと思います……私の家系の女性は胸が小さいです……ですが、私だけが大きいと言われて不思議に思いました……それを聞いて納得しました。私は大豆が大好きなので、私だけが毎日スープに入れるほど食べています……まさかそのようなことは知りませんでしたが……」


 あっ、これは本当のようだ。アイシスさん、こっちを見てドヤ顔をするのやめてください……。


『アハハハハ! 賢者の秘薬って、なにそれ!』


 笑いながら楽しんでますね、エフィナさんと精霊さん……。


「本当のことだったとは!」


 ミランドさんも興奮していますね、これが男の(さが)ってやつですね。


「はい、ですが大きな問題があります」


「それはなんだね?」


「それは、とても飲みづらいことです。砂糖かハチミツがあればミルクのように飲めます」


 あっ……嫌な予感がしてきた……。


「それなら問題ない! 砂糖ならいくらでもある! しかし作り方が……」


「問題ありません、私が完璧に覚えているので、いつでも教えられます」


「じゃあ、今すぐ頼んでも大丈夫かね?」


「構いません、ですが大豆を水に10時間以上浸さないといけません、作るのは明日になりますがよろしいですか?」


「それでもいいぞ! セバスチャン!」


「はい!」


「質の良い大豆をできるだけ大量に買ってきてくれないか! 人数は任せる!」


「はい、承知いたしました」


執事長とメイドたちは大豆を買いに行った。これだと当分は街の大豆は品薄状態だろうな……。

 ブレンダとエレセさんが希望に満ちた顔をしている……あまり期待しないでください……。


『アハハハハ! 今回も最高だったよ!』


『ありがとうございます』


 エフィナと精霊も満喫したようだ。


「時間がかかるのであれば、今日は泊まっていきなさい」


「よろしいのですか!? さすがに迷惑じゃあ……」


「何を言ってるのだ。私たちは賢者の知恵を教えてもらっているのだぞ! それにブレンダも喜ぶだろう」


「わかりました、お言葉に甘えさせていただきます」


 まあいいか、変なことは起きないし。


「よし、これで養子に一歩近づいた!」


 前言撤回! 嫌な予感がしてきた……。


「わ~い! お兄ちゃんが泊まる!」


「泊まるからってそう固くならないで、自分の家だと思っていいのよ」


 ブレンダは喜んでいるし、エレセさんも歓迎してくれるのか。なぜか精霊も喜んで飛び回っている。まあ喜んでくれるからいいか。 


「ところで、レイ、3日後の祭りには参加するのかい?」


「もちろん、参加します。結構楽しみにしていますよ」


「おぉ! そうか! 実は、ブレンダも参加するんだよ」


「うん!」


「えっ……大丈夫なのですか!?」


「護衛もつくから問題ないよ」


「そうですか……」


「お兄ちゃん! 祭りで会ったら、よろしくね!」


 ブレンダも参加するか、まあ今の彼女はゴブリンを余裕で倒せるし、それにミランドさんとエレセさんと同じ【剣術】のスキルを持っているから大丈夫か。

もう少し経つとブレンダは王都の学校に行くけど、家系繋がりで騎士学校にでも行くのかな? 

 これは将来有望だな。


 ――1時間くらいで執事長とメイドたちが大量の大豆を買って帰ってきた。これは……1トンくらいあるだろう……。

 アイシスはその大豆を見て、


「良い品質ですね、すみませんが台所をお借りします」

 

「ああ! 是非ともお願いするよ! アイシス君、台所まで案内してくれ!」


 アイシスは、メイドの案内で台所に行った。

 俺は……泊まるといってもやることがないな。


「お兄ちゃん、稽古したい!」


「すまないレイ、ブレンダの稽古付き合ってくれないか? 祭りのこともある」


「大丈夫ですよ、泊めていただくお礼ですから」


「おぉ! 助かるよ!」


「やった! お兄ちゃんと久しぶりの稽古!」


 屋敷を出て、庭でブレンダと稽古することになった。

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