148話 噓がバレる
リンナさんがゆっくりと前に進むと、ド変態は足をガクガク震えながら後ろに下がっていく。
さすがに強化されてるとは言え、リンナさんの前では無意味だな。上には上がいる。
「な、な、なななんで、で、でででいるので、ですすかかかか……き、き、規則い、違反で、ですよ、よ……」
「このバカ痴漢が……よくも騙したわね……覚悟はできているかしら?」
「ひいぃぃぃ――――!?」
リンナさんの【威圧】さらに強くなってド変態は尻もちをして起き上がれない。
「待てリンナ、俺たちはサーリトに会うのが目的だ。おいスール、サーリトを呼べ、言えば【威圧】を解放してやる」
「な、ななななんんんの、こ、ことでしょうかか……さ、サーリトはき、来ていませんよよよ……」
この状況でも言わないのかよ……諦めが悪いな……。
すると、正装をしたエルフ――サーリトさんにロープを着た、ここの土地を管理している男爵エルフ――フーツ、そしてリフィリアと籠から解放された精霊たちが来た。
リフィリアが何かしらするって言ったのはこのことだったのか。
それを見たド変態は口を大きく開け――呆然としている。
「話は大精霊――リフィリアさんから聞いているよ」
「そうか、スールなしで話がしたいのだがいいか?」
「もちろん、私も迷惑をかけてしまったみたいだからね」
「では、みなさん私の屋敷に来てください」
「わかった。リンナ、もう解除しろよ」
「わかったわ……この話が終わったらバカ痴漢を好きにしてもいいかしら?」
「ああ、いいぞ」
リンナさんが【威圧】を解除した――これでくだらないド変態の野望もこれで終わったな。
この後は地獄が待っている。
ド変態はすぐには起き上がらないから、ここまま放置して、フーツの案内でこの場を後にする。
街を歩いていると、住民は困った様子で俺たちを見ている。
「私があとで住民には説明するので、気にしないでください……」
フーツはため息して言った。
それもそうか、俺たちが騒動を起こして男爵と伯爵と一緒について来ているからな。
初めてエルフの谷に来るミツキさんたちとアリシャたちは、広場に設置してあるド変態の銅像を見てドン引きをしていた。
見てはいけないです……。
「目障りね……ぶった切るわ……」
「ワタシは塵も残さず破壊してあげる……」
リンナさん、リリノアさんは気に食わないのか銅像を破壊したいようです……。
もう少しで終わるので我慢してください……。
貴族街の奥へ進み――周りに建物がない孤立した場所に大きな屋敷――フーツの屋敷に到着した。
中に入り――客室に案内されて、みんなソファに座り、用意してくれたお茶を飲みながら話をする。
「サーリト、これはお前が書いたのか?」
ザインさんはサーリトさんに怪文書を渡すと首を傾げていた。
「このような理不尽なことは書かないよ……これはいったい……」
「あのバカ――スールが書いたらしいが、これは有効なのか?」
「スールさんが書いたなら無効だよ……まさか……スールさんが愚かな行為を……」
「そうだ、この怪文書で俺たちは騙された。だけど疑問がある――サーリトは署名しているが、これはお前本人のだが、どうしてだ?」
「それは私の癖で先に署名をしてから書くのだよ……あと、間違えると困るから、もう1枚用意している。間違えないで書いたら予備の方はいつもなら執事に処分させているから問題ないと思ったけど、多分スールさん隙を見て私が署名した紙を取ったのかもしれない……」
だからド変態はサーリトさんに任せたのか……サーリトさんもド変態の思惑ハマってしまったか……。
「はぁ!? 予備なんて用意するんじゃないわよ! 1枚だけにしなさいよ! 本当に迷惑だわ!」
リリノアさんは怒鳴って言う、いや、すべてド変態が悪いからそっちに当たってほしい……。
「本当に申し訳ない……私も用心していればこのようなことにはならなかった……」
「今回はしょうがない……スールの自己中心的な行動が悪い。もちろんアイツが規則を破ったから罰則はあるよな?」
「そうだね、神聖な存在――契約した精霊3体を略奪したスールさんは公式により、決闘は無効になり、契約者であるソウタ・シラカワに報酬金――白金貨10枚受け渡し、街――カルムの追放を認める」
これはソウタの不戦勝みたいなものかな?
やっぱり大迷惑かけたなら、そのくらいはしないとおかしいか。
それを聞いた精霊たちは大喜びだった。
「やっと平和に暮らせる!」
「みんなとのんびり暮らせる……」
「長かった……本当にありがとうございます!」
「ああ……やっと愚か者から解放される……みんな良かったね……」
『これで一件落着だね~』
リフィリアとエフィナもひと安心した。
はぁ……本当に大迷惑なド変態だった……みんなもホッとして気が抜けた。
「決まりだ。それじゃあ俺たちはもう帰るぞ」
「帰るのかい……久々に会ったのだから少し話でも――レイ君にも会ったのだからリフィリア君が大精霊になった経緯もいろいろと聞きたい……」
リフィリアが大精霊になったことは気になるか……。
今はそんな余裕はない……。
「お前な……俺の街に来てからにしろ……」
「わかったよ……じゃあ手続きしてから行くよ……レイ君、そのときはよろしくね」
「わかりました……」
まあ、騒動が終わった後ならいいか……。
「すみません……私から謝罪を……街の民が精霊の契約者に酷いことをさせてしまったこと――みなさんと身勝手に戦闘行為をしたことは深くお詫び申し上げます……参加した者には処分を下すのでお許しください……」
フーツはみんなに深く頭を下げた。
ここの男爵はまともな人だから良かった。まあ、全部ド変態が悪いけど……。
「じゃあ、そうしてくれ、俺たちはもう帰るからな」
「ギルド長、もう帰るなんていやよ! 今からバカ痴漢を公開処刑しないといけないわ!」
「そうよザインちゃん、普通に帰るのなんて私の怒りが収まらないわよ! スールを火炙りにするわ!」
「私も……愚か者にはお仕置きをしたい……」
「私も火炙りしたい!」
「ぼ、ボクは水で窒息させたい……」
「風で突き落としたいです!」
「私は腹を蹴りたいです!」
「「私もやる!」」
「私はミツキさんと同じかな」
「わたくしもミツキ様と同じですわ」
「俺はアイツを殴ぐる!」
「切ってもいいわよね?」
「顔面殴らせろ!」
「僕は謝礼金が欲しいな……」
「私も謝礼金が欲しい!」
みんなド変態を許さないようです……。
まあ、当たり前か……俺も謝礼として何かもらうか。
『アハハハハハ! いいね! みんなおもしろいね! 最高だよ!』
エフィナさん、だいぶツボにハマっていますね……。
「はぁ……わかったよ……2時間くらいは待っているから時間内に終わらせろよ」
みんな喜んで頷いた。
じゃあ、俺もついて行って見学を――。
――――ドドドドドドドドド――――。
「な、なんだ!?」
ティーカップのお茶もこぼれる激しい揺れ――地震か!?
窓を見ると――岩の壁が……。
「まさか……外に出るぞ!」
ザインさんの指示でみんな外に出ると――フーツの敷地内は岩の壁に囲まれてその上にはエルフたちは数百以上が……。
そして真っ正面にはド変態がニヤニヤと笑っている……はぁ……もういい加減にしてくれ……。




