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144話 卑怯な手口


 ド変態は精霊を見て、よだれを垂らしながら興奮して見ている……。


「ウへへ……愛しの精霊たちよ、迎えに来たよ!」


 またか……本当に懲りない……。


「気持ち悪い……」

「うぅ……嫌だ……」

「しつこい……」


 精霊たちは身体を震えてソウタの後ろに隠れる。


 ド変態の後ろにいる鎧を着た男性エルフがド変態に確認をする――。


「スール様、まさかあちらが……」


「そうです! 私の勇敢なるエルフの谷の同胞よ! アイツが精霊を虐げている洗脳者だ!」


 ド変態はソウタを指を差して得意げに言う。

 最悪だ……大人数で来たのは見せしめるためか……。

 その発言で後ろのエルフたちが驚き、騒ぎ始めた――。



「早く精霊を解放しろ!」

「洗脳者め! 精霊をなんだと思っている!」

「こいつを捕まえろ!」


 罵声がくる……。

 マズい、ソウタたちが危ない――。


「ソウタ、精霊と一緒に街の中に逃げるんだ!」


「わ、わかった」


 慌ててソウタたちは街に向かおうとするが――。


「させるか、洗脳者!」


 ド変態は手を上げるとエルフたちは詠唱をする――。


「「「大地よ、我が身を守る壁となれ――――アースウォール!」」」


 ソウタの目の前に大きなの岩の壁が地面から無数出てきて塞がれた……。


「おい、スール!? 決闘前だぞ! お前が何をしているかわかるだろ!」


「このバカ痴漢が……何違法行為をしているの!?」


 ザインさんとリンナさんは大声で言うが、ド変態は呆れた顔する。


「何を言っているのですか? そちらが違法をしているのに、わざわざ私が精霊たちを迎えに来たのですよ」


「「「そうだ、そうだ!」」」


 それに続いてエルフのたちも便乗する……はい? 言っている意味がわからないが……。


 すると地響きが鳴り、物凄い速さで来るエルフ――リリノアさんが紙を強く握りしめて向かって来る。

 そして怒りながらド変態の服を掴み――。


「これなんなのスール、話が違うじゃない!? どこまで卑怯なマネをするの!?」


「さて、なんのことでしょうか? しっかりザインに渡してくれと言いましたよ」


「なんの話だ?」


「みんな、これを見て!」


「――ブヘェ!?」


「「「――スール様!?」」」


 リリノアさんはド変態をそのまま地面に叩きつけ、俺たちの方に来て、クシャクシャの紙を見せる。

 …………なんだこの意味もわからない罰則は!?

 なんで2日前までにエルフの谷に行って男爵に挨拶をしないといけないのだ!?

 罰則で精霊たちは勝敗が決まるまでエルフの谷で管理するとか……。

 それを無視すれば負けとなり、正式に精霊たちはド変態のものになる……。

 ほかにも理不尽な罰則が多く書いてある……。


「なんだよこれ……ソウタが一方的に不利だ……何が正当だ……」


「ワタシが用事で留守にしている間、帰って来たらこの得体の知れない怪文書があったわ……

サーリトに撤回しようと思ったけど、執事はもうエルフの谷に行っていると……本当に信じられない……」


 ド変態の策にやられてしまったか……。


「フッ……やっと渡しましたか、けどもう遅いです! グへへ……さあ、愛しの精霊よ、私の方に来なさい!」


 ド変態は何もなかったのように起き上がり、精霊を見ながら手招きをしている……。

 ソウタは見せてはいけないと思い、精霊を抱えて隠す。


「スール、なんでワタシの方にこの怪文書があるの!? 私に渡さないで普通に送りなさい!」


 確かにリリノアさんに送る意味がわからない。

 決闘の契約書は普通にザインさんの方に来たが、この怪文書はなぜリリノアさんに?


「リリノアは関係者です! ザインに目を通す前にサーリトは先にリリノアに確認をお願いしようと思いました! だから私はギルドの人にしっかり渡すように言いましたよ、まさか留守とは思いませんでしたけどね」


 明らかに狙ってやっただろう……。

 精霊といたいがために下劣な手段を選んだか……。

 

「意味がわからないわ!? ていうか、なんでこんな罰則をするのよ! 正当でもへったくれでもないわ!」


「何を言っているのです! 精霊は洗脳されているのですよ! それを規則も守れないのでは私たちが保護するのも当然です! サーリトは洗脳者に信用していないから追加で規則書を書いて正当にしました!」


 言葉巧みにサーリトさんを騙したな……。

 性根が腐っている……。


「はぁ!? 無効に決まっているじゃない! サーリトがエルフの谷にいるのなら直接話すわ!」


「おっと、行けませんね、洗脳者が規則を破ったのですから関係者は精霊を回収するまで、1週間はエルフの谷の出入りは禁止されています。もちろん、洗脳者は規則通り――決闘の日まで入るのは禁止だ!」


 本当に訳もわからない規則だな……ソウタを決闘させない気か……。


「このバカ痴漢が……いい加減にしなさい……」


「てめぇ、それでも冒険者か! 恥さらしにも大概にしろ! 最初から頭がおかしいと思ったが化けの皮を剝がしたな!」


「ここまで腐っているとか、最低ね……」

「バカでもそんなことはしないぞ、鬼畜エルフ!」

「そこまでしてソウタと精霊を引き裂くなんて、度が過ぎる……」

「これが正当とかおかしい! 早く追い出そう!」


 リンナさんは【威圧】を出し――アルロさんとアリシャたちは戦闘態勢入る。

 もう手に負えない、黙らせた方がいい。


「みなさん、精霊をよこさないとダメですよ、規則は守ってもらわないと――話を聞かないのであれば実力行使します――」


 ド変態は再び手を上げてエルフに指示をする――。


「大地よ、敵を塞ぐ檻と化せ――――アースプリズン!」


 俺たちの周囲に岩の檻が具現化され、ソウタと精霊たち以外は閉じ込められてた……。

 ソウタたちが危ない、こんな檻すぐに壊して――。


「おっと、手荒なマネをしないでくださいね。私たちに危害を加えたら私の勝ちになりますからね! さあ、洗脳者め、よこせ!」


 もう脅迫でしかない……。

 本当にマズい――。

 

「ソウタ、どこでもいいから早く逃げろ!」


「ああ……」


 ソウタは震えている精霊を抱えて逃げる――。


「させるか! 勇敢な同胞たちよ、お願いします!」


 ド変態の指示でエルフたちは「アースウォール」でソウタの行く手を阻む――。

 ソウタは岩の壁を飛び込もうとしたら、その壁上にエルフが3人も――いつの間に!?


「洗脳者、覚悟しろ――――尖脚!」


「――――ぐはぁ!?」


「ソータ!?」

「主!?」

「ソウタ様!?」


 エルフの蹴りが脳天に当たり――抱えていた精霊たちを離して地面に叩きつけてられた。


「ソウタ、大丈夫か!?」


 返事がない……打ち所が悪かったのか気絶をしている……。

 精霊はエルフに掴まれ――無理やり魔石が付いた籠の中に別々に入れさせられる……。


「何よ、この籠は!? 全然力が入らない!」

「うぅ……狭くて怖い……」

「なんですか!? 魔法が使えない……」


「無駄ですよ、可哀想ですが、本当はこんなことはしたくはありません――洗脳されて暴れると困るので魔力を抑える籠を用意しました。しっかり抑えられて――特注で白金貨1枚出した甲斐があります」


 そこまでするのか!?

 精霊にそんなことしていいのかよ……虐待だぞ……。


「スール!? 何をやっているかわからないのか!? お前は大陸の恥だぞ!」


「なんのことでしょうか? 言いたいことがあれば1週間後にエルフの谷に来てください」


「この畜生が……」


「ですが、みなさん私で良かったですね――私は女神様と同じで寛大でございます。本当なら無視しているのと同じで罰則では私が勝ちです。今日のところは精霊を回収して帰ります。はぁ~私はなんて優しいのでしょうか、ありがたく思ってください」


 ド変態は頭に手をつけて誇らしげに空を見上げる。

 ここまでくると自分に酔っているしかない……。


「さすがスール様、なんてお優しい方なんだ……」

「スール様、一生ついている行きます!」

「スール様、最高です!」


 その発言でエルフたちはド変態を拝む……。

 むしろ早くあのエルフからド変態の洗脳を解きたい……。


『このド変態……あとでティーナ、ソシア、シャーロに言って地獄に落としてやる……』


 エフィナは今まで以上に怒っている。

 ド変態の地獄行きは確定だ。


「スール様、ただいま戻りました」


 エルフは精霊をド変態の近くに持って行くと――。


「うひょ、ひょ!? 愛しの精霊よ、やっと私の方に来ましたか! ここは危険です。さぁ、帰りましょう――私たちの愛の巣へ――」


「スール様……まだ勝ってはいないのでダメですよ……」


「ですがもう私の勝ちは同然です! もう我慢できません――」


 ド変態は興奮してプロミネンスの籠を開けようとすると――。


「近寄るなド変態――――フレイムナックル!」


「――――ブヘェ!?」


「「「スール様!?」」」


 ゼロ距離で炎の剛球がド変態に直撃する。

 だが、ド変態は軽い火傷で済んだ、籠のせいで威力が出せないみたいだ。


「もうダメ……」


 プロミネンスは力尽きて眠りに入った。


「スール様、お怪我は……」


「大丈夫ですよ、これくらいなんともありません、洗脳されていることを忘れていました。このまま私が近づくと魔法を使って精霊の命がありません。洗脳が解くまで我慢します! さぁ、みなさん帰りますよ! 洗脳者、決闘から逃げるなよ、私が洗脳から精霊を解放してみせる!」


「おい、待てよ!」


「おっと、みなさん規則は守ってくださいね、では――さ・よ・な・ら」


 そう言ってド変態とエルフたちは去って行った。

 姿が見えなくなったら岩の檻が粉々に砕け散り、解放された。


「あのバカ痴漢が……私は行く……」


「あんなバカげた話があるの! ワタシも行く!」


 リンナさんとリリノアは怒りをあらわに向かおうとする。


「待て、一旦冷静に考えろ! アイツの方に行ったらまたロクでもないことになるぞ! アイツの言った通りに1週間は待機だ……」


 確かにザインさんの言う通りだ。

 ド変態が挑発して去って行ったから何かあるはずだ。


「このままだと精霊ちゃんたちが、バカ痴漢に襲われるのよ!?」


「その心配はありませんよ」


 リフィリアに念話を送る――。


『リフィリア、今大丈夫か?』


『今すぐ行くよ……マスタ……』


 リフィリアが怒っている……。


『先にボク説明したからね、怒って当然だよ』


 いつもエフィナは対応早くて助かる。


 リフィリアが目の前に姿を現した。

 空間魔法の「ゲート」を使ったか。


「今の魔法……そんなことはどうでもいいわ」


 リリノアは気づいたか、今は暇がないから追究しないみたいだ。 


「リフィリア、悪いが精霊たちの様子を見に行ってくれないか?」


「わかった……酷いことしていたら……いいよね……」


「ああ、いいよ」


「いいのかよ!? おい、そんなことをしたら……」


「大丈夫ですよ、リフィリアは大精霊ですから仲間を守るのは当然です。もし、酷いことをしたら神聖な存在に手を出した罰に大精霊の怒りを与えたと思ってください」


 これは俺の屁理屈だ――さすがに黙ってはいない……。


「わかった……そういうことする」


 ザインさんも納得した。

 

「それじゃあ、お願い」


「リフィリアちゃん気をつけてね!」


 リフィリアは頷いて【隠密】を発動して姿を消して向かった。


 俺は気絶しているソウタを肩を組み――支えながらみんなでギルドに戻って今後の相談をする。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 最初の方は精霊暴走もまたか・・・って思ってたけどちょっと最近ストレス展開になってるような? 後どれくらいスールって出てくるんですか?
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