139話 大好評です
――翌日。
今日は念願のラーメンを作る日だ。
俺が面白そうなのを作ると思い、みんな台所に集まっているのですが……。
「わ~い、レイさんがおいしいものを作る!」
「また珍しい料理を作るのね!」
ミツキさんたちとリンナさんは気になるみたいなので仕事を休んできた。
そこまでしなくていいのに……。
まあ、みんなにご馳走するからいいか。
まずはスープから――寸胴に前もって乾燥させたオレンジサーモン一匹を昨日から炭酸水に付けてのを入れて火にかけ、ホワイトバード丸ごと1羽、ショウガ、ニンニク、長ねぎの青い部分、人参を入れてじっくりと煮込む。
その間に中華麺を作る――ふるいにかけた小麦粉に卵、炭酸水、塩を入れてよく混ぜ合わせ――しっかり捏ねる。
硬い生地になったら乾燥しないように布を被せて1時間以上寝かせる。
久々に作るが結構大変だな、まだやることは多い。
「手伝いましょうか?」
「じゃあスープのアク抜きをお願い」
「かしこまりました」
アイシスがスープを見てくれるのは助かる。
気を取り直して猪の肉で 焼猪を作る――大量の猪のバラ肉を丸くして紐で固定してフライパンで焼き目を入れる。
全体に焼き目が付いたら、フランカに作ってもらったミスリルの圧力鍋に入れて――炭酸水、ショウガ、ニンニク、長ねぎの青い部分を入れて火にかける。
沸騰させてアクを取り除いたら醤油、酒、みりん、ハチミツを入れて蓋をして圧力をかけて煮込む。
次にかえしだ――醤油、みりん、ツリーシロップを入れて少し煮詰めて完成。
そのかえしを使って、味玉、メンマを作っていく。
次に香味油だ――油にニンニク、長ねぎの青い部分を入れてある程度揚げたら完成。
やっと形になってきた……ここからが本番だ――。
中華麺の生地をパスタマシンで伸ばし切って――手で軽くギュッと揉んでちぢれさせて中華麺の完成。
問題はしっかり再現できているかだ。
少し麺を茹でて味見をする――中華麺特有のコシ、のどごし、食感が再現できている……再現はできている――成功をした。
後は入れるだけだ――器にかえし、香味油、スープ、茹でた麺――焼猪、味玉、メンマ、白髪ねぎの順にかんせ――。
「ご主人様、これを忘れてはいけません」
アイシスが見覚えのある物をドヤ顔しながら出してきた――海苔とナルトだ……。
いつも思うがいつの間に作っているのだ……。
「作ったのか……?」
「はい、この日のために用意しました。どうぞ使ってください」
「ありがとう……助かるよ……」
海苔とナルトもトッピングして醤油ラーメンの完成だ。
「どうぞ、召し上がれ」
「「「いただきます!」」」
ミツキさん、ヒナ、ユナ、ソウタは勢いよく麺をすする。
このメンバーは麺類は食べ慣れてるから早いな……。
途中からソウタは泣き始めた。
「「「おいしい! おかわり!」」」
「久々のラーメン……最高だ……おかわり……」
あっという間スープを飲み干して平らげた。
気に入ってくれたようだ。
「何これ!? 今までで食べた料理の中で美味しいわ!」
「美味いな、腕を上げたなレイ」
「美味しいわ、腕を上げましたねレイ」
好評でいいのだけど……みんなどんどんおかわりしてくる……。
予想以上にです……。
『美味じゃ――――! もう一杯頼むのじゃ!』
シエルもおかわりしてきたので再び作った――。
――4時間後。
ようやく落ち着いて食べられる……もう夕食に近い時間ですけど……。
さすがに一気に作るのは大変だな……今度は分けて作ろう……。
さて、できの方は――うん、王道な醤油ラーメンの味で美味しい。
作った甲斐がある……。
『良かったね~』
これで前世の料理に困らない。
しかし……色々と求めると欲が出てマグロも欲しくなる。
また余裕があったら探しに行くか。
さて、夕食を作らないと――。
「「またラーメンが食べたい」」
「コラッ、ワガママ言っちゃダメ! 見ての通り作るの大変だからレイさんに迷惑だよ!」
「「ブ~~」」
ヒナユナはラーメンの虜になってしまったのか……。
スープの量が少ないし今から作るとしたらあれしかないか。
「汁なしでしたら夕食も作れますよ」
「えっ!? いいのですか!? わ~い、是非お願いします!」
「「やった~!」」
3人は高く飛んで大喜びでした……。
ミツキさんも食べたかったのか……。
夕食は油そばを作り――みんなも大絶賛してくれた。
明日から中華麺大量に作ろう……。
――――◇―◇―◇――――
――3日後。
ひたすらラーメンを作っていく……。
みんな飽きずに毎日食べていますけど……そんなに虜になってしまったのか……。
醤油以外に、塩、味噌などを作った。
『アハハ! 毎日作っているけど、ラーメン屋さんになるの?』
エフィナは笑いながら茶化してくるが……すでに小さなラーメン屋です……。
「最近栄養が偏っています。私が違う料理を作ります」
さすがのアイシスも黙っていなかったようで、普通の食事になると思ったが…………タンメンとチャンポンを作ってくれた……。
違う料理とはいったい……確かに野菜も取れて栄養バランスはいいけど……、
まあ、みんな喜んで食べていたからいいか……。
そして隣の平家が完成してソウタたちは住むことになった。
近所だし何も特に変りはない。
ソウタは王都から帰って来たザインさんにギルドに向かい挨拶しに行く、俺も一緒に行ったらスールさんの件で謝罪をした……。
ザインさんが悪くないのに……。
その2日後にアリシャたちが依頼から帰って来て、スールさんの愚痴が止まりません……。
「スールのやつ、本当にあり得ないのだけど! 朝起きたら姿がなくて、探してもどこにもいなかったのよ!」
「あいつのおかげで依頼主に怒られたぞ……」
「途中放棄した人なんて初めてだよ……その後、いろいろとあって大変だった……」
「いなくなる前ももうすぐ精霊に会えるとか不気味な笑顔でブツブツと言っていて、気持ち悪かった!」
1日中愚痴を言っていました……本当にお疲れ様です……。
ゆっくり休んでください……。
「なんか……申し訳ないな……」
会ったばかりのアリシャたちにソウタは頭を下げる……。
アリシャたちは慌てて、頭を上げるように言う。
いや、ソウタのせいではないのに……あのド変態が悪いです……。
けど、ソウタはアリシャたちと良い印象だからお互い近所付き合いは問題なさそうだ。
意外だったのはミルチェと精霊たちがすぐ仲良くなっていたこと。
聞いてみると――。
「魔力は悪くないわね」
「主と少し似ている……」
「嫌ではありません」
ミルチェは精霊に好かれるやすいのかな?
だとすると、精霊を探せば契約できたりする可能性はあるな。
まあ、そんなうまい具合にはいかないけど今後の期待っていうことで。
アリシャたちが帰って、普段よりも賑やか日常生活に戻った――。
――――◇―◇―◇――――
――翌日。
朝食を食べ終え、中華麺を作る。
アリシャたちもラーメンの虜になってしまい、余分に作らないといけない。
今日はこれを作って終わりそうだけど、フランカが大変だと思い、作業場で大型の製麺機を作っている。
とてもありがたい――それまで頑張らないと。
取りかかろうとすると、外から覚えのある魔力が…………。
『レイ、マズいよ! 残念な変態の魔力が!』
もう帰って来たのかよ!?
慌てて外に出ると――すでに遅かった……。
ソウタとスールさんが揉めている……。




