126話 大精霊
目が覚めると――フランカの家のベットにいる。
その横には、リフィリアがニコニコしながらイスに座っている。
『やっと起きたね、寝坊助さん! 5日も寝ていたよ!』
「おはようマスター。ゆっくり休めた?」
また5日も寝てたのか!? 少々やりすぎたな……。
すると、リフィリアが顔を近づけて――俺の頬っぺをスリスリする……大精霊になってもそこは変わらないのですね……。
頭の中からリフィリアのステータスが浮かぶ――。
【名前】リフィリア
【性別】女 【種族】大精霊
【称号】大精霊 レイの大精霊 綺麗好き
エルフに好かれし者
【加護】大精霊の加護 風剣の加護
ミスティーナの加護
【スキル】武器創造・風 調合師 掃除人
身体強化 魔力感知 魔力制御
魔力変換 混合魔法 情報共有
器用 アイテムボックス
無詠唱 隠密
【魔法】風魔法 闇魔法 回復魔法 無魔法
空間魔法
…………いろいろと覚えていますね……あの2人にも負けないほどチートです……。
気になるのが【調合師】だな。
前にポーションやマナポーションを作りたいとか言っていたから覚えたのかもしれない。
あと、触れてはいけないのがあった……【エルフに好かれし者】…………これは言わないでおこう。
「すごい覚えているな……」
「マスターのおかげだよ。本当にありがとう」
そう言うと強めにスリスリする……。
「そろそろやめてもらえないかな……」
「これ好きだからまだやめないよ」
今度は身体をガッチリ掴み逃げられない状態になった……。
いや、腹が減っているからその後にしてくれ!?
せめて水でも飲ませてくれ……。
そう言ってもやめる気配はありませんでした……。
『リフィリアがレイと負けないくらいに……母性が爆発している……これはいい勝負だ……』
またエフィナが訳のわからないことを言う。
確かに母性がある感じだが、こんな性格だっけ?
「前より性格が違うのは気のせいだろうか……」
『契約の時に何を想いにした?』
「えっ? 家族だけど……」
『それだね、契約はそれほど大きな影響を与えるから家族思い――じゃなくて、母性が爆発するね!」
今家族思いから母性に言い直したぞ!?
なぜそこまで母性にこだわるのだ……。
ドアが開いて――アイシスとフランカが来た。
「ダンナ、起きたな! まだゆっくり休めよ!」
「おはようございます、ご主人様。朝からラブラブですね……食事の用意をしますのでリビングに来てください」
2人はいたって変わってない様子だ。
心配はされてなくて良かった。
「わかった、行くよ」
『食事の前にシエルに起きたこと言いなよ』
そうだな、シエルにも迷惑かけたことだし、飯はそのあとだな。
「マスターは動かなくていいから私が移動させるね」
リフィリアは抱くのをやめて――俺を風で浮かせて移動させる……。
「自分で歩くから大丈夫だって!」
「ダメだよ、今日は私がいっぱい世話するからね」
これは無理ですな……わかりました今日は従います……。
外に出ると――シエルが俺に気づき……大号泣してます……。
『うぅ……主よ……よがっだのじゃ! うぅ……いぎでれよがっだのじゃ……』
心配されていました……。
「大丈夫だから……泣かないでくれ……」
それでも泣き続けます……。
『まあ、あれだけ寝ていれば心配はするよ。レイ、後ろの大樹を見てごらん』
後ろを振り返ると――マナの大樹は周りに少しだけ花や草などが咲いている。
「こんな短期間で咲くのか……」
『マナの大樹だからね! ナメてはいけないよ!』
「マスターが魔力を与えたから早く咲いて嬉しいよ」
まあ、安定して咲いているから問題ないか。
順調だと数ヶ月経てば周りも変わるな。
「それじゃあ、家に戻ろうね」
再び風に浮かせられて家に戻り――朝食を取る。
「マスター、お口を開けてね」
リフィリアは卵のお粥を持ってスプーンですくい――与えてくるのですが……。
それを見たアイシスとフランカは呆然としていた……。
「いや、飯くらい普通に食べさせてくれ!」
「今日はお世話するから大丈夫だよ」
『アハハ! リフィリアの母性が爆発しているから止められないね!』
母性なのか!? 過保護の間違いでは……。
もうされるがままでした……。
食べ終わると――少し確認したいことがある。
「アイシスとフランカは変わったことはあるか?」
魔力が増えたから何かしら変化があるはず。
「変わったことですか? そうですね……大精霊の加護が付与されて、スキルは【家事】から【大家事】に変わりました」
「アタイはアイシスと同じで大精霊の加護が増えて――魔法は風魔法中級と空間魔法の無限収納を覚えたぜ」
…………かなりの変化ですね……【大家事】って……【家事】スキルに上があるのか……それにフランカは無限収納が使えるのならばもう最強ですね……2人とも末恐ろしいです……。
確認を終え、まだ俺が回復仕切っていないということで今日もここで泊まることになった。
のんびりとリビングで休む――――。
…………のんびりしているが落ち着かない……なぜなら……。
リフィリアがずっと傍にいるからだ!
膝枕はありがたいけど、昼食、夕食も朝食同様に与えてくれるし……トイレは1人で行かせてくれ……。
『レイ以上に母性が爆発している……予想外だ……レイも頑張って爆発させてね……』
全く意味がわからない!?
勝負も何もしていないぞ!
そしてある問題が発生した……。
「マスター、痛くはない? 大きくなったから加減がわからなくて……」
浴場でリフィリアが身体を洗ってくれている……それはいつもしているが……大きくなったから美女が全裸になって洗ってくれいるしか見えない……。
柔らかいものがそこそこついているから目のやり場に……。
「大丈夫だよ……布とか巻いてくれないか……」
「なんで? いつも裸で洗っているからしないよ」
はい、無理でした……。
湯船に浸かるとリフィリアは腕を掴み頬っぺをスリスリする……。
一緒に入ってきたフランカも同様に腕を掴む――アイシスは少々悔しがっている……。
「アタイも負けないからな!」
「今日のところは譲りますけど、明日からは順番でお願いします」
主の主導権なしで決めている……。
また一段とお風呂に入る時は賑やかになりますね……。
寝る時間になり――寝るのだが、リフィリアは変わらずに頬っぺをスリスリしている……。
寝るときはやめてください……。
「おやすみマスター、いい夢見てね」
「おやすみなさい、大好きなご主人様」
「ダンナ、おやすみな。しっかり疲れ取れよ」
あの、フランカさん……この状態で疲れが取れませんよ……。
――――◇―◇―◇――――
――――翌日。
朝食を食べ――街に帰宅をする。
外に出るとシエルが準備をしている。
『いつでも行けるのじゃ!』
「それじゃあ、頼むよ」
シエルに乗ろうとすると――リフィリアはマナの大樹に近づき、見つめている。
「絶対に元に戻すからそれまで待っていてね――みんなお待たせ、帰ろう、私たちの屋敷へ――」
そう言いながら笑顔でリフィリアは空高く飛んだ。
『待つのじゃ! 大きくなったから早いのじゃ!』
シエルは慌てて翼を広げて――リフィリアを追うように飛ぶ。
リフィリアはここ周辺を元に戻すとか言ったな。それだと定期的にここには来ないといけないな。
いつになるかわからないけど、リフィリアが満足するまで俺も喜んで協力する。
シエルに揺れながら街に帰る――。




