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124話 厄災を倒す


 マナイーターによって枯れた大地を進む――。

 ここが精霊の故郷だったのが、俄かに信じられないほど、どんよりとした暗い場所だ。

 中には魔物の骨があった、逃げ遅れたのかもしれない。


「今のところ俺たちは魔力を吸われていないが、どうしてだ?」


『ティーナの加護が発動しているからだよ。ティーナは妨害系の攻撃とか防ぐのが得意だからね』


 初耳だが……確かに思い当たる節がある。

 リンナさんの【威圧】でも余裕で耐えられる。

 マナイーターもその部類に入るのか……。

 いや、待てよ――。


「精霊は加護持ちじゃないぞ?」


『う~ん、それはボクにもわからないや』


「私は風であいつの攻撃を遮断しているの、絶対に許せない……」


 それ、すごいことでは……だからマナイーターから逃げることができたのか。


『そうなんだ、でも精霊は無理をしないでね』


「先生……私は無理してでも、あいつを倒すから止めないでね……」


『…………』


 さすがのエフィナも無言になってしまった。

 無理もない、今の精霊はマナイーターを倒すことしか考えていない。

 危ない状況になったら撤退はするが、そこは聞いてくれるだろうか……。


 マナイーターから距離が縮めると――今までとは比べ物にならない重い反応で、魔力が少し吸われているような感じだ。


『ここまでだね……これ以上進むと危険だから魔法で倒すしかないね』


 まだ距離は1㎞以上はある。

 だけど、大きな球体だからかなり離れていても魔法が命中する範囲で助かる。


「みんなをかえして――――ウインドランス!」


 精霊は多く魔力を使い――大きな風の槍をマナイーター目掛けて放つ――。


 槍は命中したが、かすりもしなかった……。


「そんな……魔力を思いっきり使ったのに……」


「だったら、あの大きな木ごと燃やせばいいだけの話だろ? ――――エクスプロージョン!」


 フランカは炎魔法で上空から爆炎を落とし――大樹に直撃をする。

 しかし……木は燃えず、マナイーターも無傷だった。


「アタイの魔法でも無傷なのかよ!?」


『おかしいと思った……なんで大樹が枯れないで寄生しているか……そういうことか……』


 エフィナは深刻そうに言う。


「何かわかったのか?」


『うん、あの大樹は魔力(マナ)の大樹だね……名前の通り膨大な魔力を持っている大樹だよ……マナイーターにとっては最高の餌で成長もできる……そして燃えないのも、すでに同化して魔力でコーティングされている……鎧を着ているのと同じだよ……』


「噓だろう……厄災がさらにパワーアップしているとか化け物だ……」


『防御が上がっただけだから、それ以上でもそれ以下でもないよ……ただ、倒しづらくはなったけど……』


「それでもやるしかないな……」


 魔力がある限りチャンスはある――それまでに終わらせる。


「今度は私がやります――――アイシクルランス・レイン」


 アイシスは魔法で無数の氷の槍を放つ――。


 無数の槍は直撃するが、変わらず無傷で終わる。


「もう少し距離が近ければ……」


 魔法が届くとはいえ、距離があって威力も下がる。


「こうなったら、混合魔法だな! ダンナ、一緒にやるぞ!」


「わかった」


 俺とフランカで同じ魔法を使う――。



「「――――コメットバレット!」」



 彗星の弾丸を放ち――命中する。

 威力を大きく、周りには地響きがなる――。

 やったか?

 だが、マナイーターから黒い魔力が放出されて……無傷のままだった……。

 混合魔法でもダメなのか……。

 

「異常だ……チクショー! 魔剣でぶった切ることができれば!」


『それ以上はダメだよ……いくらフランカでも近づいたら 魔力を吸い取られ……倒れてしまうからね……』


 エフィナの言う通りそれ以上は無理だ、さっきより魔力が吸い取られている。

 一歩でも近づくと力が抜ける可能性がある。


「長居はできないな……一斉に畳み掛けるぞ!」


 俺の掛け声で3人は頷く。


 みんなでありったけの魔法を使う――。


「――――ウインドランス・レイン!」

「――――アイシクルランス・レイン」


「「――――コメットバレット!」」


 魔法は全て命中させ――黒い魔力で包まれていたのが剝がれた。

 

『これならいけそうだね! あともう一息だ!』


 防御壁を破ったこと感じか、まだ魔力も余裕がある――全然いける。


「よし、じゃあ、また同じのを――――」


 

 ――――ゴゴゴゴゴゴゴ――――。



 マナイーターは異様な音を出して――マナの大樹が変色し始めて――枯れていく。

 再び黒い魔力に包まれ……俺たちの魔力が吸い取られる――。


『マズイ、みんな逃げるよ!』


 エフィナが声を上げるが、すでに遅かった。

 アイシスとフランカは膝をついてもがいて――精霊は必死に耐えるかのように羽をばたつかせる。

 俺は身体がだるくなり――走るのが精一杯の状態だ。


「ご主人様、精霊とお逃げください……」


「えっ、でも……」


「心配するな、アタイとアイシスは死なないから大丈夫だ」


「わかった……」


 迷っている暇はない、精霊を手で持とうとすると――。


「私はまだ大丈夫! アイツなんかに負けていない! みんなも頑張って! ――――ウインドフィールド!」


 精霊は魔法を発動すると――周りに心地良い風がなびき、魔力が吸い取られなくなった。

 風の領域で結界を張ったのか。


「ありがとうございます……楽になりました」


「ありがとよ、助かったぜ……」


 アイシスとフランカも立ち上がることができた。


「はぁ……はぁ……絶対に許せない……」


『無茶しすぎ……危ないよ……』


 フラフラと落ちる精霊を手でそっと掴み――限界のようだ……それに……身体が薄くなっている――危ない……。

 風の領域も長くは持たない、破れたらまた同じことの繰り返しだ。

 …………一か八かやるか。


「なぁ、エフィナ……精霊がティーナさんの加護を付与する条件は()()だよな……」


「えっ!? レイ……もしかして……やるの……?」


「ああ、精霊と()()する」

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