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121話 出会ってから1年

 

 相変わらずのんびりとした生活を送っている。


 変わったことと言えば――近くに家が建てられてアリシャたちが住み始めたことだ。

 近所ができて早々、大変賑やかになっています。


 フランカに武具のメンテナンスをお願いしたり――。


 俺の屋敷のソファでアリシャとアミナはくつろいだり――。


 ガルクはワイバーン対策をしたいと言ってシエルと稽古したり――。


 ミルチェは精霊と本を読んだりしていた……。

 

 家にいるより俺の屋敷にいる時間が多いような気がするのは気のせいだろうか……。


 そして毎回夕食を食べに来ている……。


「やっぱりレイとアイシスが作っている料理は美味しい!」

「稽古の後の飯はウマいぜ!」

「なんかいつも悪いね……毎回美味しいのいただけるなんて……」

「タダで美味しい料理を食べられて幸せ!」


 まあ、喜んで食べてもらっているし、食材はミツキさんにもらっているから別にいいか。

 アリシャたちはここは住み心地がいいみたいで評価も良く、それを聞いたセバスチャンはここら辺の家を増築することを進めた。

 いや、ただ俺たちが結構良くしているからだと思うが……。

 

 

 月日が経ち――エフィナと出会って1年が経過した。


『起きろ! 今日はレイと出会って1年だよ!』


 まだ薄暗いのに大きな声でエフィナが起こしてくる。


「ああ、いろいろとありすぎたが、あっという間に1年経ったな」


『そうだね! これからもよろしくね!』


「ああ、こちらこそよろしく」


 早めに起こしたのはそれを言いたかったのか。

 

『ところでアイシスの誕生日だけど、何か用意してある?』


「実はまだ何も……アイシスが欲しい物がわからない……」


『だと思ったよ! ボクが聞いてみるから安心してね!』


 聞いてくれるのか、いつも助かるな。


『――何もないけどお願いを聞いてほしいってさ!』


「お願い? 無理のない範囲ならいいよ」


『決まりだね! アイシスがそっちに来るみたいだよ!』


「わかった、そういえばエフィナにも誕生日あるよな? いつなんだ?」


 いまさらだが、エフィナにも誕生日があるはずだ。

 でも、エフィナのことだから気にしていないかもしれない。

 

『ボクの誕生日? 1月8日だよ!』


 即答だな!? 

 というか、もう過ぎている!?


「そうなのか……祝いできなくて悪いな……」


『いいよ、この状態で祝うことなんてできないからね』


「じゃあ、()()()()()()たくさん祝うよ」


『うん! そのときはよろしくね!』


 少し鎌をかけたが、やっぱりそうみたいだな。

 エフィナが本音を言うときまでは、()()()()は言わないでおくか。


 そう思っていると、アイシスが寝室に来た。


「誕生日おめでとう、アイシス」


「ありがとうございます……これからもご主人様に恥じない魔剣として頑張ります……」


 誕生日になのに少々固い……真面目ですな……。

 

「ハハハ……よろしく……」


「はい……今日は私のお願いを聞いてくれるということなので……お願いがあります……」


 急に顔が赤くなり、モジモジし始めた。

 そんなに恥ずかしいことなのか。


「ああ、いいよ。できる範囲なら……」


「その…………夜の営みを方を…………誰にも邪魔されないで…………したいです…………」


 …………そっちかよ!?

 もっと違うのがあるだろう!?

 それでいいのか……。


『なんだ、簡単なお願いだね! レイなら大喜びでしてくれるよ!』


「本当ですか!? ありがとうございます!」 


 何勝手に決めているんだ!?

 もう拒否権はないみたいです……。


「ほどほどにな……」


「ありがとうございます! ご主人様(マイマスター)!」


 物凄い笑顔で返されました……。

 夜は覚悟しないといけませんな……。


 アイシスは機嫌良く朝食を作りに行った。

 うん、朝食は肉が多そうですな……。


 食堂に向かうと予想を上回っていました……。

 ニンニク多めに使ったキングバッファローのガーリックステーキにガーリックライス、リバースネークの白焼き、セロリを多めのサラダ、飲み物にアーモンドミルク……。

 

 狙っていますね……。


「朝からこんなに……」


「つい張り切って作ってしまいました。夜のために頑張って食べてください」


『今日の夜これでバッチリだね!』


 わかりました……頑張りますよ……。

 

「お、食べているな、今日は朝飯は豪華だな! アイシス誕生日おめでとさん、ほらよ、アタイからのプレゼントだ。これで美味しいもん作ってくれよ!」


 フランカが食堂に来ると――ミスリルで作った調理器具一式を持ってきた。

 最近工房にこもっていたのはこれを作っていたのか。


「ありがとうございます。これで効率よく料理が作れます」


「おうよ! アタイもダンナと同じ物頼むぜ!」


「わかりました。少々お待ちください」


 朝食を食べ終えると――。


『ただいま戻ったのじゃ――――!?』


 大声でシエルが言う。

 3日前からシエルと精霊が出掛けていて戻って来た。

 外に出ると――精霊とシエルはニコニコしている。


「アイシス、誕生日おめでとう! 私たちからの贈り物! 好きなだけ食べてね!」


 そう言うと精霊はアイテムボックスから大きな瓶に入ったハチミツを出した。

 まさかあの辺境に行ってたのか……。


「ありがとうございます。大事に食べますね」


「どういたしまして!」


『妾は誕生日というのはわからぬが、喜んでもらって良かったのじゃ』


 そうか、シエルは生まれた日がわからないよな――だとすれば精霊もそうだよな。

 シエルと精霊に祝いがないのもあれだからこうするか。


「だったらシエルは俺たちが出会った日に誕生日でいいか? 精霊は契約した日に誕生日とかにしようと思っているけど、どう?」


『誠か!? 妾に誕生日とか嬉しいのじゃ!』


「やった~私にも誕生日ができる! それまで待っているよ!」


 シエルは大きく尻尾を振り――精霊は俺の周りを飛んで大喜びだ。

 やっぱり自分に誕生日があると嬉しいか。


 さて、俺もアイシス美味しいお菓子でも作るか――。

 冷蔵庫が必要だからフランカの家で作る。


 チョコレート、バターを溶かして卵、生クリームを合わせて型に流す。

 オーブンに入れて少しだけ焼き目を入れて――取り出し。

 余熱を冷まして――冷蔵庫に入れて冷やせば生ガトーショコラの完成。

 

 ほかにも、みんな来るみたいだからシュークリーム、エクレアなども作った。


 お昼になるとみんなが来る――。

 

 リンナさんが大きな肉の塊を持って――。


「アイシス、誕生日おめでとう! 祝いとしてコカトリスを狩って解体してお肉を持ってきたわ! この肉美味しいから好きに料理してね!」


 まさかAランク魔物のコカトリスを倒して持ってきたのか……すごいことしますね……。


 ミツキさんたちも来て――。


「アイシスさん、お誕生日おめでとうございます! アイシスさんは甘いのが好きいうことでこれは非売品である熟成させたツリーシロップでございます! どうぞ受け取ってください!」


 アイテムボックスから樽に入ったツリーシロップ出した。

 樽で入っているのかスモーキーな匂いがする。

 熟成だからビターっぽい味なのかな? 俺も食べたい……。


 そしてアリシャたちも来た。

 

「アイシス誕生日おめでとう! いつもお世話になっているからケーキ買ってきたよ!」


 

 みんな揃ったことだし、豪華な食事を用意して――アイシスを祝った。

 お開きになり――みんな帰宅をする。


「生ガトーショコラ美味しいです……」


 みんなが帰った後も生ガトーショコラを食べ続けています……。

 そんなに気に入ったのか、またあとで多めに作るか。


『うんうん、みんなにお祝いされて良かったね~』


「はい! 魔剣なのにお祝いされて幸せです! 普通はこんなことあり得ません!」


「あり得ないのか? いろいろと世話されているから、これくらい祝いされるのは当たり前だろう。仲間――いや、もう()()みたいなものだろう」


「私……ご主人様の家族ですか!? ありがとうございます!」


『まさかレイの口から家族って言葉が出るとは意外だね~』


 意外なのか? もうずっといるから自然とそうだと思うが。

 まあ、アイシスが喜んでいるからいいか。


「ダンナ~アタイも家族だよな~?」

『主よ、妾も家族なの一員なのかのぉ?』


 酔ったフランカと窓の外から首を出してくるシエルが言う。


「そうだよ。みんな家族だよ」


「やったぜ~アタイらは家族~」

『妾は家族じゃ――――!』


 やっぱり家族と言う言葉に嬉しいのか……。

 

「家族……」


 精霊は不安な顔をしている……。

 家族は嫌なのか?


「精霊は嫌なのか?」


「そうじゃないよ……みんなどうしているかなって……」


「みんなって?」


「私の同族だよ……みんな故郷にいると思うから元気でいるかな……」


 そういうことか……ほかの精霊と会いたいみたいだな。

 オルリールさんが精霊使いに呼びかけているけど、この様子だとまだ来なさそうだな。


「会いたいのか?」


「うん……」


 精霊はゆっくりと頷く。


「だったら会いに行けばいいよ」


「えっ、だけどマスターといたい……」


「別に俺はここにずっといるから、逃げも隠れもしないから大丈夫だよ」


「…………うん、わかった! 行ってくる!」


 精霊は喜んで返した。

 あまり我慢するとストレスが溜まるからこうした方がいいな。


『えっ? レイも行かないの?』


「いや、精霊がいっぱいいる場所に俺がいったらダメだろう……聖域だぞ……」


『えぇ~別に行ったっていいじゃん!』


 なぜそこで駄々をこねる!?

 限度があるだろう!?

 

「だったら、私がマスターのこと説明してから行くのはどう?」


『わかったよ……じゃあ、ボクたちのことちゃんと説明してよね!』


「わかった! 少しの間いなくなるから待っててね!」


 とりあえずエフィナを説得できた……。

 全く、いつもながら困ったもんだ……。


「故郷の場所は覚えているのか?」


「大丈夫、覚えているよ!」


 精霊は地図を持ってきて自慢げに指を差した。

 ここから西南西の方角で1000㎞くらい離れた場所だ――ここまで正確に把握しているのですね……。

 これは誰にも言ってはいけないな……特に……うん、やめておこう……。


「そうか、遠いからちゃんと準備してから行くように」


「うん! 久々にみんなに会える楽しみだな~」


 喜んでリビング中を飛び回っている。

 やっぱり久しぶりに会いに行くのは嬉しいよな。


 そして夜――。


 アイシスと2人っきりになり、賢者にならないように要望に応えました。



 ――――◇―◇―◇――――



 ――2日後。


 精霊が故郷に帰る準備ができた。

 

 果物や大好きな生ハム、念のために3等級ポーションとマナポーションを用意して精霊はアイテムボックスに入れる。

 遠出をすると聞いてリンナさん、ミツキさんたち、アリシャたちも来て見送りをする。


「いいのか、シエルに乗らなくて?」


「ゆっくりと帰るから平気だよ! もし、シエルと行くと結界が張られているから道に迷うから危ないよ!」


 やっぱり結界があるのですね……知らないで行くと彷徨って帰れないのでは……。


「わかった、気をつけて」


「うん!」


『土産話よろしくね!』

「気をつけてください」

「道中の魔物気をつけろよ!」

『無理をせずに行くのじゃよ!』


「精霊ちゃん、気をつけてね!」


「精霊さん、気をつけてください!」

「1人は大変だが、気をつけてな!」

「お気をつけてください」

「道を間違いないように!」

「強い魔物に気をつけてね!」


「危なかったら帰るのだよ!」

「気をつけろよ!」

「帰ったらまた一緒に本を読もうね」

「気をつけてね~」


「それじゃあ、行ってくる!」


 みんなに見送られ空高く飛んで行った――。

 寂しくなるが、帰ってきたら大好きな生ハムをたくさん食べさせよう。

 そろそろボア祭も開催するからちょうどいい――もらった分で作るか。

    

ちなみにアイシスを創った日は3月19日です。

フランカは11月3日。

レイの誕生日は7月17日、リンナは11月15日。

シエルに出会ったのが12月13日と設定をしています。


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