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120話 軍勢討伐の後


 無事ギルドに戻った――。


 道中のゴブリンは、ほかのみんなが全て倒してくれたおかげで、安心して帰れた。

 まさか今日中で倒せたのは意外だ。まあ、フランカが大半を倒したが……。


 ギルドの中に入ると――エミーニャは寝ているフェンリを抱いて泣いている。


「にゃぁぁぁぁ――――!? よがったにゃぁぁ――! 本当に無事でよがっだにゃぁぁぁ!」


 ホール全体に声が響く……よほど心配していました……。

 夕方過ぎにフェンリが目を覚ますと、これまでの状況がわかったみたいで――。


「ごめんなさい……」


 ホールの中心で正座して耳や尻尾を垂れ下げて反省をしている。


「謝るのならフランカのねーちゃんに言えよ」


 オルリールさんは呆れて言う、怒ってはいないようだ。


「ごめんよ……ドワーフのねーちゃん……」


「別にアタイは怒ってはいないが、これからはほどほどにしてくれよ。だけど、迷惑をかけたから酒は奢ってくれよな」


「えっ……それだけでいいのか……」


 フェンリは呆然としていた、もっと怒られるのかと。


「それだけも何も酒が飲めれば十分だぜ、アタイにとってはそれが重要だ」


「うぅ……ありがとう……ドワーフのねーちゃん……」


「だが、みんなに迷惑をかけたから罰として――3ヶ月はBランク昇格試験を受けさせないぞ。あとはギルドのみんなに飯と酒を奢れよな」


「わかったよ……父ちゃん……ちゃんと反省する……」


 オルリールさんはさすがに野放しにはしないようだ。

 けどこれくらいなら軽くて問題ない。

 一件落着ですな。


 その後、食堂でフェンリの奢りでみんなで食うは飲むはで賑わっていました。


「ゴブリン退治のあとの酒は美味しいぜ!」


 フランカは5杯くらいで酔うのに今回は珍しく10杯以上飲んでも酔っていない。

 それほど魔力を使ったってことでいいのかな?

 しかし20杯くらいになると……。


「へへへ……酒……さいこ~だぜ~」


 いつも通りでした……。


「全く……飲みすぎですよ」


 アイシスは横目でツリーシロップを入れたミルクを飲みながら呆れていました。

 まあ、魔力を回復するからこちらとしては助かるけどね。

 帰りはフランカを抱っこして屋敷に帰宅した。



 ――――◇―◇―◇――――


 

 あれから5日経過した。

 討伐に参加したみんなに報酬として大銀貨1枚をもらい、大活躍したフランカには大金貨2枚が渡される。

 街のみんなはゴブリンの軍勢が来るということで心配してたが、すぐに討伐したことで問題なく普段通りの日常が送られることができた。

 後処理としてザインさんは仕事に戻った。

 リリノアさんはその手伝いをする。

 

「あのゴブリンのおかげでまだカルムに入られて幸せだわ……いっそのこと、このままずっとザインちゃんの傍にいようかしら」


 相変わらずザインさんにベタベタとしている……。

 商都のギルドにゴブリンの軍勢が来たという理由で帰るのを延期したみたいだ。

 いや、どうみてもサボりたいだけだろうと思うけど……。

 

 そして、王都組もその理由で連絡して帰るのを延期した。


「はぁ~落ち着くな~」

「にゃ~のんびりできて最高だにゃ~」

「たまにゆっくりするのもいいな……」


 毎日俺の屋敷に来てソファで尻尾をゆっくり振ってくつろいでいます……。

 フェンリは反省したのかあれ以来、稽古するのを控えている。

 あれだけ迷惑をかけたのだから当たり前か。


 夕方辺りになるといつも通り――。


「「お邪魔します!」」


「お邪魔するよ」

「お邪魔いたします」


 ミツキさんたちが来た。

 ウィロウとグラシアも試験が終わったから一緒に来る。

 2人は無事にAランク昇格したみたいだ。

 

「まさか帰りにゴブリンの軍勢がいて災難だったよ。たまたまグラシアがいたおかげで難を逃れたけど」

「偶然にもウィロウと近くで同じ場所で試験をして助かりましたわ。帰りは魔力があまりなくて本当に焦りました」


 同じ場所で試験をしていたのか、だから一緒にいたのか、うん、納得しました。

 今日は2人の昇格記念としていつもより豪勢な食事を提供しました。


 

 ――――◇―◇―◇――――


 ――3日後。


 みんな帰る日になった。

 お別れの挨拶をしに俺の屋敷に来る。


「このままザインちゃんと同棲したかったけど、ギルドのみんなはワタシがいないと寂しいみたいだから帰るわね」


 リリノアさん、寂しいって言うより、忙しいから戻るの間違いでは……。


「ゴブリンの軍勢は予想外だったけど楽しかったぜ! 気が向いたら王都に来いよ!」


「ありがとな、ドワーフのねーちゃん、次はレイとメイドのねーちゃん頼むぜ!」


 結局最後までフェンリはブレていませんでした……。


「久々にのんびりできて良かったにゃ、ありがとにゃ!」


「ハハハ……満足したなら良かったです」


「本当に良かったにゃ、しかし……」


 急にエミーニャは険しい顔何か言いたそうだ。

 何かあったのか?


「どうした?」


「ずっと気になってにゃ……言うか迷ったけど……ギルドの手伝いをしていたときリンナって言うエルフはどっかで見たことがあるようにゃ、ないようにゃ……」


 それを聞いたオルリールさんとリリノアさんは冷や汗をかいている……。

 あっ、触れてはいけないみたいですな……。


「き、気のせいだろう!? エルフは同じ顔が多いから誰かと間違えているだろう!?」


「そ、そうよ! ワタシの種族は美男美女が多いから区別することが難しいから、みんな同じに見えているだけよ!」


 2人ともリンナさんのことは隠しているみたいだ。

 それにしても、唐突な言い訳するが、それだとエミーニャが納得するわけ――。


「にゃ? それもそうだにゃ、私の見間違いにゃ」


 大丈夫でした……。

 2人は何とかごまかしてホッとする。

 やっぱりリンナさんは王都とかで活躍していたみたいですな。


「そ、それじゃあ、気をつけて帰ってください」


「道中大変ですが、お気をつけてください」


「またな! フェンリは稽古ほどほどにな!」


「精霊使いの件よろしくね!」


『さらばじゃ、主の客人よ!』


 みんなで手を振り――見送る。

 こうしてなかなか濃い日々が終わった。

 さて、俺ものんびりするか。

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