119話 後半 軍勢の中
レイ視点に戻ります。
あの爆撃――フランカは「エクスプロージョン」を放ったのか。
遠くでもわかる――敵の半数が灰になっていることが。
『暴れているね~早く行っても邪魔になるから、様子見ながら行った方がいいよ』
『だけど、フェンリが……』
『心配いらないよ、あの暴れようだとフェンリを守っているかもしれない。それともフランカを信じられない?』
『そんなことはない、フランカを信じる。じゃあ、帰りやすいように周りの奴ら一掃させるか』
『うん、そうだね!』
フランカに念話で状況を確かめようと思ったが、暴れているなら止めておくか。
もし万が一のことがあれば、オルリールさんが向かっているから心配はない。
予定を変更して、ここのゴブリンたちを全滅させる。
ミツキさんたちにも説明をする――。
「わかりました! 帰り道は安全第一ですね! ヒナとユナ行くよ!」
「「わかった!」」
3人はゴブリンたちを軽やかにミスリルの短剣で切り刻んで倒し続ける。
「さて、俺たちも暴れるか!」
「倒し甲斐がありますね」
「風で吹っ飛ばすよ!」
各自やりたい放題で敵を倒す――。
俺は剣で切りながら遠くの敵は魔法「フレイムパレット」「アイシクルニードル・レイン」などで倒す――。
アイシスは混合魔法「ブリザード」で凍らす――。
精霊は上級魔法「サイクロン」で大半のゴブリンを巻き込む――。
『ダンナ、こっちはもう心配いらないぜ』
フランカが念話で話しかけてきた。
『大丈夫なのか?』
『フェンリは傷を負っているがぐっすり眠っている。戦って満足したみたいだぜ』
『わかった、その内オルリールさんがそっちに向かっているから、俺たちも少ししたら合流するよ』
『ああ、よろしくな』
無事だとわかれば安心して殲滅に専念できる――。
数十分後――。
「――フレイムバレット!」
「ギャァァァァ――――!?」
逃げていたゴブリンを倒して終わった。
それにしても一面広がる残骸は中々のシュールだな……。
上級種は魔石とかあるから喜んで回収できるが、普通のゴブリンは牙ぐらいしか素材がない……持って帰っても解体に大変だからこのままでいいか。
さて、フランカたちと合流しに向かう――。
周りは魔石だらけのところにフランカは座って待っていた。
「お~い! みんな待っていたぜ!」
俺たちに気づくと、フランカは笑顔で手を振ってくる。
オルリールさんはすでに合流して、フェンリにポーションを身体にかけて傷を完治させている。
「全く……気持ちよさそうに寝て……世話の焼ける娘だな……」
ため息をつきながら呆れていた。
「ありがとうよ、フランカのねーちゃん、戻ったらいっぱいお礼するからな」
「おう、いいってことよ! お礼は酒を大量に奢ってくれよ!」
「わかった、酒だな、にしても……ねーちゃん1人でここまでやるとは……さすが賢者の弟子はすごいな……。そして少人数でゴブリンを全滅させるとかおかしいだろう……もう王都にほしいくらいの戦力だ……」
まあ、普通はあり得ないですよね……。
「おかげでゆっくり戻れるから助かる。みんなもありがとよ、悪いが先に帰っているぞ」
「わかりました。気をつけて帰ってください」
オルリールさんはフェンリを担いで街に帰っていった。
「それじゃあ、魔石の回収よろしく頼むぜ! ミツキのダンナも手伝ってくれれば少しおすそ分けするぜ!」
「わ~い、ありがとうございます!」
みんなで魔石の回収をした。
しかし……よく魔石だけ残して倒すのは器用なことしますね……。
「それじゃあ、私たちも先に街に帰っていますね!」
ミツキさんたちもすごい速さで街に帰っていった。
「さて、俺たちも帰るか」
「ダンナ、アタイは疲れたから抱っこしてくれ!」
「はいよ」
フランカを抱っこすると魔力が徐々に回復している。
俺の魔力……かなり持っていかれているのは気のせいだろうか……。
「フランカ、魔力の使いすぎです。もっと効率のいい戦いをしてください」
アイシスは呆れていた。
「細かいことは気にするな、無事にフェンリを助けられたことだしいいだろう!」
「しかし……ご主人様の魔力が――」
フランカにかなり魔力を送っていることを心配してくれるのか。
「――私にあまり送ってもらえず不公平です……」
そっちの心配かよ!?
「マスターの魔力がもらえる……いいな……」
精霊羨ましそうにフランカを見る。
契約するまで我慢してください……。
『まあ、今回はしょうがないよ。我慢してね』
「わかりました。我慢します」
「私も契約まで我慢する」
2人ともエフィナの言うことは聞きますよね……。
まあ、無事に終わったことだし帰りますか。
シエル「妾の出番……」
セーレ「私の出番……」




