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113話 近所の子どもみたい


 夜になるとシエルは疲れが取れたみたいだ。

 起き上がって――。


『妾、完全復活じゃ――――!』


 意外に回復するの早いな……。

 それじゃあ、小人たちがいる村の感想を聞いてみるか。


「ミツキさんの故郷に行ってどうだった?」


『大変じゃった……』


 シエルは少しシュンとなった。


「大変……まさかいきなり襲われたのか?」


『違うのじゃ……小人たちはミツキが妾に乗っているのをがわかると、乗りたいやつらばっかりだったのぉ……ずっと飛んでお守りをしていたのじゃ……』


 そういうことか、それは疲れるよな……。

 とりあえず、シエルを普通に受け入れているから安心した。


「そうか、大変だったな、ほかに小人たちはどんな感じだった?」


『そうじゃのぉ……簡単に言えば無邪気なやつらばっかりだったのじゃ、相手するのは疲れるが、優しいところが多かったのぉ。それなりに待遇も良かったから文句は言えぬかった』


 やっぱりミツキさんたちとそんなには性格は変わらないか。


「なるほどね。大変だが次も大丈夫か?」


『問題ないのじゃ、あの村に友ができたから行かねばならなくてのぉ』 


 友と言った瞬間シエルは尻尾を振る。

 意外だな、友だちと呼べる仲がいるとは。


「友って小人の誰かか?」


『違うのじゃ、小人たちが言う守り神のことじゃ、妾と同じ魔物で良き理解者であったのじゃ』


 まさか守り神と仲良くなったのかよ……。

 

「そうなのか……何か気が合ったのか?」


『そうじゃ、妾と価値観が似ていてのぉ――花が好きと言っておった、二月(ふたつき)経てば、()()()と言う花が満開になるそうじゃ、美しいから是非見てくれとのことじゃ』


 桜が咲くのか、やっぱり旅人の【創種】で創ったみたいだな。

 

「じゃあ、体力でもつけて次も頑張ってくれ。とりあえず夕食で食べようか」


 俺はそう言いながらシエルの横腹辺りをポンポンと叩いた。


 夕食は庭でフランカが作った大きな鉄板でアイシスがお好み焼きを焼いて食べた。



 ――――◇―◇―◇――――



 ――さらに1週間が経過した。


 ミツキさんの商館ではヒナとユナが働いたことにより売上が上々になった。

 お客は2人の笑顔にやられてつい買ってしまうみたいだ。 

 もう看板娘ですね。


 なぜか仕事が終わった夕方辺りには必ずというほど、ミツキさんたちは俺の屋敷に来る。

 ミツキさん曰く、ヒナとユナは俺に会いたいとのことで駄々をこねている感じだ。


『やっぱり小人にモテモテだね~』


 2人にも魔力の相性が良くて好かれています……。


 そして今日も――。 

 

「「お邪魔します!」」


 ヒナとユナは元気よく来ました。

 働いた後なの疲れていない様子だ――いや、むしろイキイキとしている……。


「今日もすみません! ヒナとユナが行きたいと言ってるもので……」


 ミツキさんは深くお辞儀をする。


「いえ、大丈夫ですよ。いつもお世話になっておりまし、用事がなければいつでも来てもいいですよ」


 そう言うと3人は大喜びで飛んでいる。


「い、いいのですか!? そ、それじゃあ、毎日来ます!」


「やった~! レイさんと毎日会える!」

「ありがとう、レイさん!」


 そんなに嬉しいのか……。

 まあ、近所の子どもが遊びに来る感覚だから全然問題ないけどね。


『賑やかでいいね~これでレイの母性が毎日安定するからボクは嬉しいよ!』


 またエフィナは訳のわからないことを言う……。

 別に安定も何もないのだが……。


 庭でみんなとお茶を飲んでのんびりしていたら夕食の時間になった。


「2人とも帰る時間だよ!」


「「もっといたい!」」


 ミツキさんは夕食の時間なるから俺たちに迷惑をかけてしまうと思い、いつもこの時間で帰るが、今日はヒナとユナは俺に近づいて服をギュッと掴み、帰りたくない様子だ。


「レイさんに迷惑をかけるんじゃないよ! これから夕食の支度をしないといけないから帰るよ!」


「「ムムム……」」


 2人は顔を膨らませて言うことを聞いてくれない。

 ミツキさんも大変だな……。

 一肌脱ぐか。


「じゃあ、夕食用意するからみんなで一緒に食べる?」


「「うん!」」


 2人は笑顔で頷く。


「いいのですか!? 迷惑じゃあ……」


「みんなで食べた方が美味しいですし、いいですよ。ヒナとユナもそれを食べたら帰るのだよ。明日も仕事だから早めに寝るのだよ」


「「わかった!」」


 意外に素直に返事をしてくれる。

 これならミツキさんの負担にはならないだろう。


「あ、ありがとうございます! 私もずっと我慢していました……すごい嬉しいです!」


 ミツキさんも長くいたかったのか……。

 それじゃあ、3人のリクエストを聞くか。


「何が食べたい?」


「なんでもいいです!」

「うどんが食べたい!」

「カレーが食べたい!」


 ミツキさんはなんでもいいのか、うどんとカレー……あれを作るか。


「じゃあ、カレーうどんでいい?」

 

「「「カレーうどん?」」」


 3人は首を傾げる。


「作るから待ってて」


「「「は~い!」」」


 気持ちよく返事をしてくれた。

 多分、気に入ってくれると思う。


 俺とアイシスが調理にかかる。

 俺はうどんを作り――アイシスは、かえし、出汁とカレーを作った。

 茹でたうどんにかえしと出汁を合わせたカレーを入れて完成。


「どうぞ召し上がれ」


「「「いただきます! ――――おいしい!」」」


 3人はあっという間に平らげてしまう。


「「「おかわり!」」」


 やっぱり物足りないですよね……。

 その後も気持ちよく5杯も食べた。

 小人の胃袋はすごいですね……。


「おいしい夕食をありがとうございました! カレーとうどんの組み合わせはすごい発想ですね! 今度村の人に教えます!」


「レイさん、ありがとう! また食べたい!」


「カレーうどん気に入りました! またお願い!」


 大満足でした。

 

「それじゃあ、帰るよ!」


「「うん!」」


「暗いので気をつけて帰ってください」


 3人は暗い中上機嫌で帰っていった。


『いや~母性が溢れていてボクは満足だよ! 明日もこの調子でお願いね!』


 いや、全く意味がわかりません……この様子だと毎日エフィナに茶化されそうだな……。


 

 ――――◇―◇―◇――――



 ――翌日。



 ゆっくり休んだことだし、依頼でも受けようかな。

 さすがに受けなすぎると身体が訛る。

 ミツキさんたちが来るから日帰りで終わらせる依頼にしよう。


 すると尋常じゃないほどの魔力反応あり、庭に来る。

 この魔力、もしかして……屋敷を出て確認をする。

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