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110話 意外な結果でした……


 街道を通ると――行き当たりの人と会うたびに驚いている。


「ま、魔物と人が一緒にいる……信じられない……」

「わ、ワイバーンと歩いている……」

「魔物がおとなしい……夢を見ているのか……」


 そういう反応ですよね……。


「あの……街道を堂々と歩いていいのですか……」


「どうせ街に住むのだったら、周りの警戒心を解く方がいいだろう。ブルーワイバーンは安全だってことをな」


 ザインさんはいろいろと考えているみたいだ。

 まあ、その方がこちらとしては助かる。


 城門前にはミランドさんとセバスチャン、門番の人が数十人が待機している。

 もう大ごとになっていました……。


『主よ、あの者は?』


「この街で、1番偉い人だよ。失礼のないようにな」


『心得た』


 ミランドさんは俺たちがシエルと歩いているのを気づくと…………拳を上げて興奮しているのですが……。


「フハハハハ、素晴らしい! まさか稀種のブルーワイバーンが本当に実在しているとは、実に素晴らしい!」


 ミランドさんもシエルの存在を知っているみたいだ。


「この様子だと大丈夫みたいだな――おい、ミランド! ブルーワイバーンを街に入れてもいいか?」


「ああ、是非とも歓迎をするよ! 私が責任を持って受け入れるよ!」


 いいのかよ!? 即決だな……。

 

「本当にいいのですか……?」


「いいに決まっているだろう! ブルーワイバーンは私が騎士の頃、辺境に行った者からいろいろと噂されていたからな!」


 そうなるか……待てよ、ミランドさんあそこの村を知っているのでは……。

 聞いてみるか。


「ちなみに辺境の場所はご存知ですか?」


「その場所はわからないぞ、行く者たちしか知らない場所だからな」


 となると内部でも一部しか知らないってことか、確かに周りに言いふらしたら、あそこの村は有名になるはずだよな。

 納得しました。


「街に入れるのはいいけどよ、住民にどう説明するんだ?」


 1番の問題ですな……間違った噂が広まると変なことされる。


「問題ない! セバスチャン、明日の予定は?」


「特にありません」


 セバスチャンはメガネを光らせて言う……。


「よし、明日の昼過ぎに住民を広場に集めて説明する。セバスチャン忙しくなるが、よろしく頼むよ」


「かしこまりました」


 そこまでしてくれるのか!?

 すごく嬉しいですけどね……。


「俺の身勝手なお願いを聞いて、本当にありがとうございます……」


「何を言っている、稀種であるブルーワイバーンがこの街に住むことはとても誇らしいからな! むしろ安泰だ、ハハハ!」


 あっ、やっぱり何か企んでいるようでした……。


「良かったなシエル、住んでいいみたいだ」


『うぅ……みんな優しいのぉ……感謝しかないのじゃ……』


 再びシエルが泣き出した。


「しゃべれるのかね!? 素晴らしい! 魔物と話せるとは実に珍しい……ここで保護をしないと……」


 話がどんどん進んでいます……。

 こんなにトントン拍子なのはブルーワイバーンという特権だな……そうでなければ無理だったのかもしれない。


「本当にありがとうございました。では帰りますね……」


「レイ、ブルーワイバーンがいるのにそのまま帰るのかね! 祝いだ、祝い――私の敷地内で歓迎会をやるぞ!? 御馳走を用意する。みんなも来てくれ!」


「「「よっしゃ――――!」」」


『ご、御馳走……』


 ミランドさんの発言にみんなテンションが上がってる……。

 シエルは尻尾を振ってよだれを垂らしている……。

 さすがにここまでされると断れない。


「おい、ミランド。まだブルーワイバーンの存在が知れてないのに、敷地で祝いとか無謀だろう……貴族が大騒ぎするぞ」


 ザインさんの言う通りだ、ミランドさん敷地に行くのに貴族街を通る。

 変な噂が広まるな……。


『妾の御馳走……』


 シエルは尻尾を振るのを止めてシュンとなった。

 ぬか喜びですな……。   


「問題ない、なんとかなるだろう」


「いや、説明してからにしろよ!? 全く……相変わらず頑固だな……」


 別に説明したあとでもいいのだが……。 

  

『いいこと思いついた! シエル――――こうすればいいと思うよ!』


 エフィナが提案をする――確かにこの方法なら大丈夫か。

 シエルは頷いた。


『領主様や、妾の背中に乗ってくれぬか? 皆に安心だと見せつければ周りも納得するのではないか?』 


「その手があったか!? 素晴らしい発想だ! よろしく頼むよ!」


 ミランドさんは提案に乗ってくれるみたいだ。

 シエルはしゃがみ込み――ミランドさんを乗せる。


「フハハハハ! いい乗り心地だ! それじゃあ、頼むよ!」


 喜んで何よりです……。


 安全のため、みんなでシエルの周りを囲んで屋敷に向かう――。


 街に入ると……住民は至って冷静で、恐る恐る見ていた。

 ミランドさんがシエルに乗っているがわかると、次々と集まり興味を持ってくれる。


「領主様が魔物に乗っている……すごい……」

「さすが、ミランド様……魔物が躾ている……」

「見たことない魔物に乗っている……すごい……領主様しかできないな……」


『うまくいってるみたいだね!』


 ミランドさんの株が上がって大成功ですね……。

 

「この光景悪くないぞ! 幸福に満ち溢れている!」


 ミランドさんは住民に手を振って応えています……。

 もう小さなパレード状態です……。

 これならシエルの印象も良くなったからいいか。


 貴族たちも好印象に見られて何事もなく屋敷に着いた。


 慌ててメイドや執事、エレセさん、カミラさんが屋敷から出てきた。


「「「――――旦那様、お怪我はありませんでしたか!?」」」


 心配されてますね……。


「ハハハ、心配させて悪かったね! この通り無事だよ! それより見てくれたまえ、エレセ、カミラよ、ブルーワイバーンが街に住んでくれるぞ!」


「まさか……本当にいたなんて……すごい……」


「うぅ……感激です……旦那様……生涯見れないと思いました……早くこの子に見せたいです……」


 エレセさん、カミラさんもブルーワイバーンを知っているのか。

 

「喜んでもらって何よりだ、突然だが庭で歓迎会をやる――用意の方お願いするよ!」


「「「――――はい、承知いたしました!」」」


「では、私も微力ながらお手伝いします」


「ハハハ、いつもすまないね、アイシス君、助かるよ!」


「「「――――ありがとうございます、お姉様!」」」


 アイシスとメイドたちは屋敷に戻り――ご馳走の用意、執事たちは庭でテーブルやイスなどを準備をしていた。


「それじゃあ、アタイはキングバッファローの解体でもするか。ダンナ、付き合ってくれ」


「わかった」


「私も手伝うわ、ギルドの解体場借りていいわよ」


「ありがとよ、リンナ嬢」


「そういうことで悪いがシエル、そこで待ってくれ」


『わかったのじゃ……けど、人に囲まれると不安じゃあのぉ……』


「大丈夫、私が悪いことしないように見張っているから、マスターたちは行ってきてね!」


「それじゃあ、よろしく」


 精霊にシエルを任せて、俺とフランカ、リンナさんはギルドに戻り――キングバッファローを解体をした。

 もちろんその肉をアイシスに渡して御馳走を作ってもらう。



 ――夕方頃。


 ミランドさんの庭には貴族、冒険者ギルド、商業ギルドの人が集まってシエルの歓迎会をする。

 みんな食うわ、飲むわではしゃいでいます……。

 シエルを見て意見に違いがある。


 貴族の場合――。


「美しい……まるで動く宝石だ……」


 冒険者の場合――。


「ブルーワイバーンってどんなけ強いんだ? 気になるな……」


 商人の場合――。


「ワイバーンに乗って商売をしたい……」


 っと価値観が違います……。

 まあ、なんだかんだ警戒して見ていないからまだいいか。

 

 しかしお偉いさんも呼ぶとか色々とミランドさんも徹底していますな。


 御馳走を食べているとミランドさんに呼ばれて――ザインさん、ミツキさん、そして商業のギルドマスターである緑のコートを着た銀色のセミショートのメガネをした女性ダークエルフのノラさんとテーブルに座り今後について話をした。


「まず俺からだレイ、この街だけではブルーワイバーンの存在を納まりきれないから、協会の連中に報告して安全性を確かめることになるがいいか?」


「大丈夫です。その覚悟で連れてきましたのでいいですよ」


「そうか、なら俺からは以上だ」


 ザインさんはシエルのためにいろいろとしてくれる。

 本当にありがたい。


 するとノラさんが手を上げた――。


「では私からも……レイさん、先ほどミツキさんからあのワイバーン――シエルさんに乗って商売したいとのことですが……こちらも商業協会から許可申請しないといけません……ワイバーンに乗って商売するのはとても稀でございます……よろしいでしょうか?」


 やっぱりそうなるよな……まあ、今後のためだ、しょうがない。


「わかりました。よろしくお願いします」


「ありがとうございます……では早速明日報告します」


「やった~! レイさん、ノラさんありがとうございます!」


 ミツキさんは両手いっぱいに上げて笑顔で大喜びでした……。


「フハハハハ、素晴らしい! 私もレイにお願いがあるんだが、(ボア)祭は是非シエル君も参加させてほしいのだがいいかね!?」


 シエルをボア祭に?

 まあ、こちらとしては食糧確保にちょうど嬉しいけど。


「わかりました、あとでシエルに言っときます。肉と聞けば喜んで参加しますよ」


「助かるよ! さらに街が安泰なって嬉しいぞ!」


 ミランドさんに拳を上げてガッツポーズした。


 そうと決まり――話は終わった。

 帰ってもやることは山積みだ。


 ――お開きになり帰宅する。


「えへへ……抱き心地さいこうだぜ~」


『全く……飲み過ぎじゃ……』


 フランカは酔ってシエルに乗っている……。

 

「相変わらずドワーフなのにお酒が弱いわね……」


「フムフム……ほかのワイバーンより鱗が頑丈ですね……」


「次は私も乗せてくださいね!」


「いろいろとあったが、ウマい飯食ったからいいか」


 帰り道はリンナさん、ミツキさん、ウィロウさん、グラシアさん、ザインさんが何かあったら困ると思い送ってくれる。

 ノラさんは……シエルをペタペタと触り観察している……今なら誰も邪魔もされないからだ。


『く、くすぐったい……』


「もう少し我慢してください」


 そうしている間に屋敷に帰宅した。


「本当にありがとうございました」


「おう、また明日な!」

「また、明日ね」


「長旅、お疲れ様です! ゆっくり休んでください!」

「お疲れ様、また後でな!」

「お疲れ様でした。またよろしくお願いしますわ」


「つい、ハメを外してしまいました。今後もよろしくお願いします」


 みんなは暗いなか、帰っていった。


「ここが俺たちが住んでいる敷地だ。庭で寝ることになるが大丈夫か?」


『平気じゃよ、洞窟で寝てるよりマシじゃよ』


 平気なのか……シエルが言うならいいか。


「そうか、それじゃあ、ゆっくり休んでくれよ」


『うむ、主たちもゆっくり休むのじゃよ』


 こうしてハチミツの探索の旅が終わった。


 そういえば、誰か忘れているような……まあ、いいか。

一方スールは――――商業都市でリリノアの手伝いをしていた。


スール「うぅ……精霊さんと結婚したい……」


リリノア「何訳のわかんないこと言っているの!? 早く書類を片付けてよ! 全く……ザインちゃんのお願いで引き受けたけど、まさかここまで変人変態とは……はぁ、早くザインちゃんに会いたい……」


処分としてボア祭が開催されるまで商業都市の冒険者ギルドで働くことになった。

それを聞いた伯爵のサーリトはスールを伯爵邸に泊めてもらい、待遇は良かった。

しかし、冒険者ギルドでは変態扱いされ評価はだだ下がりである。

【精霊好き変態野郎】と呼ばれるようになった。

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