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102話 辺境村の女王


 村の中を歩くと――立派な家や建物が多い……儲けていますね……。

 村って言うより小さな街だな。

 ここでは、ごく普通のことだろうが……ハチミツの妖精(ハニーハンター)がフワフワ飛んでいる……。

 傍から見たらあり得ない光景だ……。

 

 高級品であるハチミツを大量に生産……辺境の場所ので王国騎士を派遣……王様が後ろ盾をしているからこの村は安泰だ。

 ふと思ったが、王様が絡んでいるなら普通に買えないでは?

 オーウェンさんに聞いてみるか。


「一般の人はハチミツは買えることはできますか?」


「もちろん買えますよ。ですが女王からの許可をもらってからです。ちなみに価格は蜜を採ってきた量で変動しますのでご了承ください」


 女王の許可とか、なかなかハードルが高い気が……。

 まあ、会って見ないとわからないか。


「そうですか……ここの村は内緒にした方がいいですか? 俺たちみたいに興味本位で来る人もいますし」


「いえ、大丈夫ですよ。ここに来る人は極僅かですし、変な輩が来たら私たちが対処しますので、ご安心を」


 ですよね……全然問題ありませんでした……。

 それにしても、シエルと歩いていると……人と会うたびに拝まれてるのだが……。


「竜神様が近くにお見えに……ありがとうございます……」

「竜神様……美しい……」

「我らの……希望……」


『主よ……外に出たい……』


「我慢してくれ……」


『ぬぬぬ…………』


 シエルは拝まれるのは嫌みたいだ。

 自分が竜神だと認識されているのは意外だからな。

 オーウェンさんは幸運の青い飛竜と呼んでいたな。


「そういえば、シエルのことを幸運の青い飛竜って呼んでいましたよね」


「はい、この村に派遣されますと、たまに青い飛竜の目撃があると噂されていました。その飛竜は、長年村人、妖精を危害を加えずに、周りの魔物を火を吐かずに尻尾を使って撃退したり、護衛をしている私たちにとって大助かりな存在と言われ、幸運の青い飛竜と呼ばれることになりました。まさか本当にいたとか思いませんでした。しかもレイ殿が飼い慣らすとは驚きです」


 それならシエルは竜神と幸運の青い飛竜と呼ばれてもおかしくはないな……。 

 

「だそうだシエル、人気者だな」


『主よ、からかうのではない! 妾は花が好きで邪魔者を排除しただけじゃ!』


 シエルは顔赤くして言うがが、まんざらでもないようだ。


「見えてきました。あそこです」


 オーウェンさん指で差したのは――周りの建物と離れた丘に大きなツリーハウスと2つの横長な建物だ。

 ハニーハンターの行き来が多く、近づくと甘い匂いがしてくる。

 あそこでハチミツを保管しているのかな? 

 アイシスの顔がすこし緩んできた。


「いい匂いですね……」


 虜になっていますね……。

 

 家の前で周りと違うドレス着たムチムチ体型のハニーハンターがソワソワしている。


「あれが女王ですよ」


「あれですか……」 

 

 助けたハニーハンターが先に女王の方に向かう。

 気づいた女王がパタパタと飛んで抱きついた。


「無事だったのね! 良かった……」


 心配していたのか。それと、女王はしゃべれるみたいだ。

 身長はほかのハニーハンターより大きいな。

 大体ミツキさんと同じくらいだ。

 あれ? 精霊はどこに?


「苦しい! 助けて!」


 間に挟まれていた……。

 女王は精霊の声に驚いて離れる。


「ごめんなさい! あなたは誰なの? …………竜神様もいる!? お久しぶりです!」


 女王は目に色を変えてシエルの近くに降りて――頭を下げる。


「知り合いなのか?」


『妾は知らぬぞ!?』


「竜神様が覚えていなくても私はハッキリ覚えています! 私が100年前ハニーベアーに襲われているところを助けてくれたことは一生忘れません! 竜神様が来るということは……この子を助けてくれたのですか?」    


 この女王も長生きしてますね……。

 そしてみんな口をそろえて言うな……100年前はいろいろとあったのか……。


 助けたハニーハンターは女王に何か伝えているみたいだ。

 オーウェンさんは小声で――。


「妖精たちは意思疎通ができるので待ってくださいね」


「わかりました」


 俺たちが使っている念話みたいなものか。


「――そうなのね。精霊さん、この子を助けていただいてありがとう。あなたは私たちの恩人よ」


「どういたしまして!」


「お礼にお茶でもどうぞ、みなさんの用意もしますので、待っててください。あなたたち、お茶の用意をお願いね」


「わ~い、ありがとうございます!」


「ミツキさん、商談の方は……?」


「はっ!? そうでした! 女王さん、私は商人のミツキと申します! もしよろしければハチミツを購入したいです!」


「ハチミツですか? ではお茶のを飲みながら話しましょうか」


「はい! お願いします!」

 

 女王は笑顔で返してきたから、スムーズに購入できそうだ。

 ハニーハンターたちがテーブルとイス、お茶とクッキーみたいなお菓子を持ってきてくれた。

 シエルの分も樽の中にお茶のを入れて用意してくれる。


「どうぞ座ってください」


 オーウェンさん以外座った。


「オーウェンさんも座っていいのよ」


「いえ、私はまだ仕事中なので、お気遣いなさらず」


「そうですか……ゆっくりしていいのに……」


 女王は少し寂し気な顔していた。

 

『ん? この2人何かありそうだ……ロックオンしておこう』


 エフィナさん、そんなフラグはありません……。


「自己紹介をがまだでしたね。村の責任者のミンディと申します。改めて礼をいいます。私の仲間を助けていただきありがとうございました。遥々遠いところまで……何もありませんがどうぞゆっくりしてください」


 女王は丁寧に挨拶をしてくれた。

 俺たちも挨拶を済ませて、お茶を飲むと――ほどよい甘さで美味しい。

 ハチミツを入れてあることがわかった。

 って、アイシスさん……顔が緩んで魔力が輝いている……。


「お茶とお菓子……美味しいです……」


『アイシスの夢が叶ってよかったね~』


 いや、まだハチミツを手に入れていないぞ……。

 これからだ……。


「では、ハチミツの件ですが喜んでお売りします」


「わ~い、ありがとうございます!」


 意外にあっさり承諾したな。

 アイシスもそれを聞いて小さく拳を握りしめた……。


「ただ……問題がありまして……最近凶暴なハニーベアーが多く現れて……収穫が難しいのです……今回は売る量は少しになりますが、いいですか……?」


「そうですか……少し残念ですがお願いします……」


 ミツキさんとアイシスは落ち込んだ……。

 確かに花畑は魔力反応でかなりの多さだったな。


「申し訳ございません。私たちがもっと対処すればこんなことには……」


 騎士って護衛が役目だよな……別に村を守っているのだから問題ないのでは?

 真面目ですね……。


「そんなことはありません! 騎士の方が私たちを守ってくれているので、村は安全なので感謝しています! オーウェンさんは悪くありません!」


 女王は慌てて言い出した。

 それが普通ですね。


『やっぱりこの2人何かある……』


 いや、だからそんなことはないぞ!?

 いったいエフィナは何を期待しているのだ! 


「お取込み中悪いが、ハチミツで作った酒はあるか? アタイはそれ目的で来たのだが?」


 フランカは酒が一番大事ですからね……さすがにあるなら大量に購入できるはず。


「もちろん、ありますが……さっき言ったように蜜が採れなければ少ししかお渡しできません……」


「噓だろう……アタイの酒……」


 女王は今後のために酒も制限しているのか。

 フランカさん……顔をテーブルについてそんなに落ち込まないでください……。

 ふと何か思い浮かんだのか、すかさず顔を上げた。


「女王さんよ、ハニーベアーをなんとかすればいいんだよな?」


「はい、そうですが……」


 あっ、もう言いたいことはわかりました……。


「だったらアタイが駆除するから多めに購入できるよう検討をよろしくな」


「私もやりますよ」


「私も同じく!」


 アイシスとミツキさんもここで食い下がりませんよね。

 俺もそうだが……。  


「いいのですか!? 大変ありがたいのですが……再開しても蜜を採って一週間以上は掛かります……それでよろしいのであれば……」


「ミツキのダンナ、それまでこの村にいたいのだが、いいか?」


「いいですよ! 私もハチミツをたくさん購入したいので!」


 ミツキさんは大賛成のようだ。

 

「よし、ダンナもいいよな?」


「いいよ、俺もハチミツは欲しいし」


「決まりだな。ということだ、女王さん。これからアタイたちは熊狩りに行くからよろしくな」


「本当にいいのですか!? 私たちにとって願ってもないことです! ハニーベアーは今とても凶暴なので怪我のないように気をつけてください」


「私も行く!」

「ミツキさんが行くなら私も行くよ」

「微力ながらわたくしも狩りますわ」


『主が行くならば妾も行くとしようかのぉ』


 結局全員で行くことになった。


「竜神様も行くのですか!? 本当にありがとうございます……」


 女王はまたシエルに拝んでいる……。


『か、勘違いするでない! 妾は主のためじゃ! お主はちゃんと約束を守るのじゃぞ!』


「もちろんでございます! 命を替えてまで約束を守ります!」


 大袈裟すぎな気もする……。それほどシエルに恩があるってことか……。

 そうと決まれば席を外して行こうとすると――。


「私も同行してもよろしいでしょうか?」


 オーウェンさんも行くのか。

 まあ、仕事だし当たり前か。


「いいですよ」


「ありがとうございます! レイ殿とアイシス殿と一緒に戦えるなんて誇りに思います! これはみんなに自慢できる」


 そっち目的かよ!?

 もういいです、好きにしてください……。


「オーウェンさんも行くのですか!? 気をつけてください……無事に戻って来てね……」


「お気遣いありがとうございます!」


 女王はオーウェンさんに近づいて手を握りしめて心配そうな目で見つめる……。


「待っているからね……」


 その言葉でオーウェンさんは顔が赤くなった。


「は、はい! 行ってきます!」


『やっぱりこの2人……できている……』


 エフィナの予想は的中していました……。


 ハニーハンターと村人たちに見送られ村の外に出る。

 

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