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休暇:初日

そろそろ1年の終わりも近付いてきた頃。

今日も休憩時間に宰相閣下の執務室でメイド長さんお手製のお菓子をほおばっている。


「そういえば君は年末年始は休めるのか?」

宰相閣下が尋ねてきた。

「お姉様・・・じゃなかった聖女様と年初めの朝に行われる新年の式典で祈りの歌を披露することになってますが、それ以外は普通に仕事ですね。年末年始は休む人が多いので、私はずらして休暇を取ることにしてます」

「故郷に帰るのか?」

「いえ、移動だけで休みが終わっちゃいそうなので、寮でゴロゴロするくらいですかねぇ」

何もしないというのがどうも落ち着かなくて、休みなのに結局仕事を手伝ったりしちゃうんだけどね。



「では、もし君さえよければだが、休暇を私の屋敷で過ごさないか?」

「え?」

予想外の提案なんですけど?

「せっかくの休暇だ。寮にいては何の代わり映えもしないだろう?」

「それはそうなんですけど・・・でも、いいんですか?ほら、皆さんのご迷惑にもなるのでは?」

「執事とメイド長をはじめとして、みんな乗り気だから何も心配はいらない。我が家はあまり客が来ることはないから、たまにはこういうのもいいだろうと思ってな。彼らも君をもてなしたいそうだ」

いやいや、むしろ普段からお世話になりっぱなしだと思うんですが。

「それに君はほとんど夜しか来たことがないだろう?たまには昼もゆっくりと過ごすのもいいかと思ってな」

そりゃまぁ、たいていは酒を飲みに行ってますからね。

「そんなこと言ってると、ずうずうしいから本当に行っちゃいますよ?」

「ああ、歓迎する」

めずらしく私の休暇の予定が決まった。



年が明けて少し経ち、私は3日間の休暇をいただいた。

その初日の午後、迎えの馬車で宰相閣下のお屋敷に到着。

「ようこそいらっしゃいました」

すっかり顔なじみとなった執事さんとメイド長さんに出迎えられる。宰相閣下は今日はお仕事なので、夜にならないと戻ってこないことは聞いていた。

「あの、3日間よろしくお願いいたします」

ペコリとお辞儀する。

「あの、もしでしたらお仕事なんでも手伝っちゃいますけど?」

「滞在中はお客様なのですから、どうかゆっくりなさってくださいませ」

執事さんに止められた。

「でも、もしよろしければ皆さんのお仕事を少し見学させていただけないでしょうか?いろいろと参考にしたいので」

個人のお屋敷のお仕事って経験ないからよくわからないんだよね。もし自分の仕事に取り入れられるものがあるなら、ちょっとでも吸収していきたいという野望もあったりする。

そんなわけで午後は見学を兼ねてお屋敷を案内していただいた。

外から見るとこじんまりしてると思ってたけど、意外と奥行きがある造りになっているので結構広い。

皆さんのお仕事もさりげなくチェック。使っている掃除道具とか洗剤が気になったのでいくつか質問したりしていた。


そして夕方。

執事さんとメイド長さんと並んで帰宅する宰相閣下を出迎える。

「おかえりなさいませ」

「ああ」

うわぁ、なんかこれってすごくない?!夫婦かどうかはさておき、とりあえず家族っぽいよね。

「よく来たな。今日は何をしていた?」

「お屋敷を見学させていただきました」

ポンポンと軽く頭を触られた。


そして一緒に夕食。

メイド長さんが飛んでこなかったからマナーは問題なかった・・・はず。

宰相閣下は明日はお休みだと言っていた。少しは一緒にいられるのかな?

食後にいつもより少し遅くまで飲んで、終わり間際に額にお休みのキスをされて客室へと戻る。

なんだかあっという間の1日だったな。おやすみなさい。

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