王宮の茶会(2)
王家のプライベートエリアの庭に勇者パーティの面々と王家の方々、そして宰相閣下が揃った。
「勇者パーティの者たちよ。此度の魔王討伐、真にご苦労だった。今日はそなたらを労うため、ささやかながらこの庭で茶会を催すことにした。
・・・さて、堅苦しい挨拶はここまでだ。みんな楽しんでいってくれ」
国王陛下の挨拶で茶会は始まった。
立食形式のガーデンパーティで、おいしそうなお菓子もたくさんあって気になるが、まずは宰相閣下に連れられて国王陛下と王妃様にご挨拶する。
「よく来てくれたな。勇者パーティのサポート役、真にご苦労だった。今日は楽しんでいってくれ」
「ふふふ、貴女のことはうちの息子からいろいろ聞いていたけれど、こんなに可愛らしい方だったのねぇ。また後でゆっくりお話を聞かせてね」
恐れ多くもお二方から直接お言葉をいただいてしまった。
人生、何があるかわからんもんだねぇ。
その後は宰相閣下から離れて勇者パーティの皆さんにも挨拶をする。
「皆さん、お久しぶりです!」
戦士様は元々は近衛騎士であるため、騎士の正装に身を包んでいる。
賢者様と魔術師様もそれぞれの正装だが、若干緊張の面持ちである。
聖女様は神殿の女性神官の装束であるらしい。
「あら、今日はとても可愛らしいのね。その服、とてもよく似合っていてよ」
笑顔で話しかけてくれる。聖女様こそお美しくてまぶしすぎます~。
聖女様とは魔王討伐後も何度かお会いしている。
一緒に旅してお友達認定されたからだが、よくわからないけど聖女様は自由に出歩ける立場ではないそうで、私がお住まいの大神殿を訪ねていく形になる。
たいていはたわいもない話をしているのだが、ふと過去の会話を思い出して戦士様に声をかける。
「そういえば戦士様。本来は近衛騎士ということは王宮にお勤めなんですよね?」
「ああ、そうだが」
「もしよろしければ聖女様にお庭を案内してあげてくれませんか?私じゃこちらのお庭はわからないので」
「・・・わかった」
戦士様が聖女様をエスコートして庭の奥へと消えていく。
魔王討伐の旅で繰り広げられた女同士の秘密の雑談によると、実は聖女様は男性の筋肉がお好きらしい。
ただし、いろいろとこだわりがあるようで、細マッチョな勇者様こと第三王子殿下では物足りず、大神殿の護衛兵士では過剰だそうで、戦士様が理想の筋肉なんだそうだ。よくわからないけど。
ま、とりあえず仲良くなれるといいですね~。
庭の散策に向かう聖女様達を見送っていると、いつの間にか宰相閣下が近くに来ていた。
「何をボケっとしている。王宮自慢の菓子は種類がたくさんあるぞ。食べなくていいのか?」
「わぁ~、食べます食べます!」