玉手箱どっか行った
書きたい設定を書いてみました。
「この箱を決して開けてはいけません。」
帰り際に絶世の美女こと乙姫様が渡してくれた箱を大事に抱え助けた亀に乗って地上に帰った。
地上に戻ると自分の家がなく人に尋ねるとこの辺に浦島という人の家はないと言う。
途方にくれているとあることに気づく。
「あ、玉手箱がない。海に落としたんだ。」
自分の荷物に貰った玉手箱がないことに一瞬焦ったが開けてはいけないと言われていたからまあいいかと思い忘れることにした。
家がなく魚を釣りその日しのぎの生活を続け5年が経った。
「お、鬼だぁぁぁぁぁぁぁ。桃太郎一派が鬼を連れてきたぞぉぉぉ。」
いつものように海辺で釣りをしていると村の近くから叫び声が聞こえた。
逃げ惑う人を適当に捕まえて話を聞くと、犬猿雉を連れた桃太郎という少年が村を襲撃に来たという。桃太郎は近くの鬼ヶ島に住む鬼で川から巨大な桃が鬼ヶ島に流れ着き中から産まれた赤ん坊を桃太郎と名付け育てたらしい。
今では鬼達は歳を取り表舞台には立たないが変わりに桃太郎が世を荒らしているらしい。
桃太郎がいるのは村の方でまだ来るのには時間がかかるだろうと釣りを続けていると釣竿が大きくしなり獲物がかかった。
「いたたたたたたたたたたたた」
釣り上げると若い女の子が釣れた。
「君、何してるん?」
「こんなとこで釣りなんかしてんじゃねえよ…って浦島さんじゃないですか!私ですよ私!あの日助けて頂いた亀です!いやー玉手箱開けなかったんすね~」
見るからに10代前半のショートカットの女の子がケタケタ笑っている。
新手のナンパかと思ったが彼女は甲羅を背負っていた。
あ、亀だ~
「いや、亀が何で人間の姿してんだよ。」
「え?それはほら、竜宮城って時間軸違うじゃないですか~?そこを利用してなんちゃらって乙姫様言ってたっす!自分長年、亀やってたんで詳しいことよくわからないんすけどね」
「まあ時間の流れが違うことは俺が一番実感してるよ…。てか家も家族もなくなったんだけどどうしてくれんだ!!」
ここ5年我慢してたことが溢れ出て八つ当たりをしてしまった。
「なに言ってんすか~竜宮城の表にある注意書き読まなかったんすか~?この先時間の流れが早くなります。了解頂けた方のみ入場頂けますって書いてたじゃないですか~」
「み、見てねぇー」
亀が咳払いをし甲羅から本を取り出す。
「それは?」
「これは桃太郎という本です。これはある世界線で起こったことを記した伝記です。この世界でも起こるはずの出来事だったのですが…」
「起こらなかったのか?」
「桃太郎の話をざっくり説明すると川から大きな桃が流れてきて拾った老夫婦が桃を食べようとすると赤ん坊が中から出て来て、桃太郎と名付けられた子供が大きくなり犬猿雉を連れて鬼退治をするという話なのですが…ある出来事により桃が老夫婦に拾われず鬼ヶ島に流れ着き鬼の子供として桃太郎が産まれたのです!!」
「な、なんでそんなことが…その老夫婦はどうした?」
「お前だよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!お前が桃を拾うはずだったんだよ。なんで玉手箱開けてないんだよ!乙姫様に舌打ちされまくったんだぞ!それはそれで良かったんだけと…」
「まてまてまて、ツッコミが追い付かない。俺がおじいさん?なんで?」
「玉手箱 開ける お前 老人 なる」
「なぜカタコト。ってか、は?玉手箱開けるとじじいになるってなんてもん渡してくれてんだ!!」
「ほ、ほら~竜宮城って時間の流れ違うからさ~時間の流れが違うのはこの世の理に反するから玉手箱に時間を封じ込めて箱に渡すんですよ~。一応救済措置として開けなければそのままなんだけど絶対にあけるなっていうカリギュラ効果を使って念押しするわけですわ~。てか海に玉手箱落とすなんて予想外ですよ。あの後嵐で玉手箱探しても見つからないし…乙姫様に足蹴にされて怒られたので結果オーライですが。」
ちょいちょい垣間見える変態性はほっとき話を進める。
「えっと、話をまとめると俺が玉手箱なくさなければ爺さんになってどっかの婆さんと一緒になり婆さんが桃を拾ってきてその子供が桃太郎になって鬼を退治する予定だったけど、俺が玉手箱をなくしたせいで桃太郎が闇落ちしたと。」
「イエ~ス。だから尻拭いを浦島さんにさせろと乙姫様から指令を受けたんす。」
「拒否権は?」
「断った場合は初夜の失態を…」
「受けます。」
「え?」
「受けます。」
人生で一番良い声が出た気がした。
「おい、どうすんだよ。」
「いやー桃太郎、中性的でカッコいいですね~」
茂みに潜み遠目から桃太郎一派の様子を伺う。
「なんで、なんでだぁぁぁぁぁぁぁぁ。なんで鬼の子供だからってみんな恐がるの!?何もしてないじゃん!!そんなんだから世界から戦争が差別が無くならないんだよ」
「落ち着いてください。桃子姐さん。喋って恐がられてた犬のあたしを姐さんは恐がらず接してくれたじゃないですか。きっと皆さんもいつかわかってくれますって。」
「この犬っころの言うとおりよ。猿の群れから追い出された私を救ってくれたじゃない。私がガツンと言ってきてやるわ。」
「犬っころとは何だ貴様!!」
犬と猿がいがみ合う。
「ふふ、ありがとう。二人とも。こんなとこでめげてちゃダメだよね。今日はとりあえず帰ろっか!」
「おい、桃太郎たち帰って行くぞ。てか桃太郎じゃなくて桃子って言ってたぞ。女じゃん!てか犬と猿が話てんじゃん。」
「桃子ちゃん可愛いね~。踏んで貰いたい。…コホン、犬と猿はそりゃ喋りますよ。だって亀の私が話してるんだし」
「そ、そうか。」
納得いかないが納得したことにしよう。
桃太郎一派、改め桃子一派を追って鬼ヶ島まで行く。
鬼ヶ島は船を漕いで行くのかと思ったら干潮により道が開ける仕様だった。
「お帰り~桃子ちゃ~ん!」
「父さん、ただいま。」
桃子を迎えたのは人だった。いや角のある人だった。
「鬼ってこうもうちょっと異形だと思ってた。」
「いや、あれは鬼人。鬼の上位種。なんらかの要因でランクアップしたのよ。ちなみに私も亀人よ!」
ドヤ顔の亀は置いとき確かに鬼はとても強そうだ。
「え、まさかあの鬼倒せって?」
「いやー、さすがにただ竜宮城に行ってちやほやされただけの人にそこまで期待はしてないですよ~」
「言い方よ」
「そこで秘策があります。」
「聞くだけ聞こうか」
「まず桃子を落とします。」
「穴に?」
「浦島太郎に」
「…うん、無理。」
「そういう反応は想定済みです。素人童貞の浦島さんには難しいことはわかってます。」
「素人童貞言うな。」
「そこで一寸法師を探します。」
「一寸法師って針で鬼を倒した英雄扱いされてるあの?」
「そうです、女たらしのくそ外道です」
「え?」