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日常系

レ・ミゼラブル?

作者:

「レ・ミゼラブル?」


「そう、あの小学生とかが読むには明らかに難しいのに何故か小学校の図書館とかにも置かれてるアレ!」


「あのぐらいの本なら5、6年生でも読めるから。まぁ今時で借りて読むのは本当に本好きな子達だけだろうけど」


「少なくとも、ワタシが小学生の頃に読んでる人達は居なかったなぁ」


ヘラヘラと笑う友人からレ・ミゼラブルの名前が出てきた事に今年最大の衝撃を受けてる。


一体全体、友人の身に何があったんだろうか?


「でさ、アレ読んでみたんだけど、中々深い事が書いてあったよ」


「うん、書かれた時代が時代だからハッピーエンドではないけど、今の時代で読んでも考えさせられるのがある―――」


「どんなに改心して社会に貢献しても張られたレッテルには敵わないから、いっそ飛び抜けちゃった方がマシって事だよね」


「―――違う!」


そういう見方も出来るけど、そうじゃない。


「だってさ、あんなに市長を慕ってた市民も、過去の罪が明らかになると手のひらクルーだよ?市民が市長を庇えば立つ瀬あったけど、マドレーヌさんとして信頼を積み重ねてきた時間よりも、一時の気の迷いを重要視するんだ。司教は私が譲ったって証言してたのにね」


「そうだけど、まだ前半部分だから。起承転結の起と承の間ぐらいだから。それにジャン・ヴァルジャンの味方をした人たちも居たから」


「後半は義理の娘を他の男にNTアー、イタタタタタタタタタタッ!!」


下顎をえぐり込む様に掴んで一言。


「言い方」


「ごめんなさい!」


「まぁ感じ方は一それぞれだからこの際置いとくとして、なんで急にレ・ミゼラブルなんて読んだの?」


「昔良き時代のファミ○文庫の名作、ホニャララさん家の守護石像を久々に読み返してね。ホニャララさん家のお兄ちゃんの嫁が初めて出てくる話でレ・ミゼラブルの二次創作劇をやるんだ」


「ああ、それに影響されて読んだのね」


「あの時代のラノベはいいよね。狂乱ウンチャラ記録帳とかも学校の昇降足場とか今でも読み返すよ」


「え?学校に工事現場の便利装置がどう関わるの?」


「え?知らない?」


「知らない。というか挙げられた作品のどれも知らない」


「……はぁ、これだから今時の若いもんは。守護石像とウンチャラ記録帳はアニメ化もされたし、昇降足場も改悪が酷いけど実写映画化した作品だってのに」


「おい同じ年」


「まぁ気になるなら古本屋とかネットショップで探すといいよ。どれも名作だから」


「そうなんだ。まぁ、気が向いた時にでもね」


いつ向くかは知らないけど。


「ま、今はミゼラブルだよ。ヴァルジャンも大変だけど、ジャヴァル警部も大変な人生だよね。ヴァルジャンを追い回した結果、長年信じてた信念も揺らいで最後はアレだし。メインと言える二人は碌に幸せになれずにお終いってのは、あんまり好みじゃなかったなぁ」


「ジャン・ヴァルジャンの方はコレットとマリユスに看取られて満足して逝ったと思うけど」


「マリユス?」


「コレットの夫」


「ああ、そんな名前だった。でもミゼラブルが現代に書かれたなら、きっとヴァルジャンは鈍感主人公で毒な育て親から救われたコレットはヴァルジャンに父への憧憬を持って育つけど、大きくなるにつれて感じる愛の種類が変化しいく。それを実感するコレットは戸惑いつつも本当的にヴァルジャンへの思慕を隠して敢えて無邪気に接していくが……的になるね。マリユス君は、当て馬役かオミットかな?」


「それはもうレ・ミゼラブルじゃないね。というか、マリユスに何か恨みでもあるの?」


「特に無いけど、こういうのって探せばありそうなネタだよね。最後辺りはヴァルジャンはジャヴァルと決着をつけようと手紙を出すけど、冷えてきたなとか言ってジャヴァルは無視、次の転属先にそのまま行っちゃうわけよ」


「明治の剣客話?クライマックス寸前辺りは六月暴動が舞台になってるからかなり時代的に加熱してるんだけどね」


「ジャヴァルの必殺技は高速で腕を突き出しつつ拳銃から発射される弾丸は通常の数倍の破壊力を秘めた一撃必殺の射撃術に間違いないね。で、最後の最後でヴャルジャンはコレットとお茶を飲みながら過去やお母さんの事を穏やかに話すのよ。で、コレットがお茶のおかわりを入れに行った数分間の間にヴァルジャンは窓から注ぐ春の日差しの中で司祭様の霊に看取られながら、そのまま穏やかに息を引き取る。戻ってきたコレットは、ヴァルジャンが死んでしまったのを悟るけど、泣くのを我慢しながら微笑んで、ヴァルジャンにお休みなさいと声をかけてエンド」


「くっ、見てみたいとか思っちゃったのが悔しい……」


「マリユス君は、まぁエポニーヌと幸せになれば無駄が無いよね」


「命助けられてるもんね」


「そも、コイツが居なかったらヴャルジャンは後半も無理する必要もないし、コレットと穏やかに暮らせるから、もっと長生きできたと思うんだ。まぁジャヴァルとの和解ルートは無くなるけど、それはそれでジャヴァルにとっても良い事だと思うよ?なんでも知ってしまえば良いってもんじゃないし」


「やっぱマリユス嫌いでしょ?」


「地味に重要アイテムな銀の燭台の事を考えると、夜に燭台を灯しながら~でも絵になりそうだけど、ここは敢えて表には出さずにヴァルジャンの後ろで見守る形で置かれてるのが美しいと思う」


誤魔化したな。


「まぁ、物語の最初期辺りからずっとヴャルジャンの側にあったのだからね。燭台がヴャルジャンを見守るってのはいい感じだと思うよ」


「付喪神として美少女化するのも、まぁアリかな?」


「やめろ。司教様の良いエピソードが台無しになるから」


「聖遺物か幻想級ファンタズマアイテムで我慢するか」


「するな」


「まぁそれらは兎も角、何だかんだで今の人が読んでも楽しめる名作だよね。せめて中学生だけど」


「小学生の頃に読めと強要された事でもあるの?」


「無いけど、ああいう名作シリーズが並んでる棚ってあるじゃない?ああいうの置くぐらいなら学習漫画でも置けばいいのにってのは毎回思ってた」


「学習漫画はあくまで本格的に知る事の足掛かりで、学習漫画読んだからって知った気になるのは危ないんだけどね。まぁそういう事を考えての発言じゃないだろうけど」


「まぁね!自慢じゃないけど、そういう事は一切考えない」


「はぁ。毎回余計な事や変な事を考えて喋って来るのに」


「ちょっと待って。そこまで深刻そうにされても困るっていうか、そんなにワタシ酷くないよね?結構世間一般の人ってそういう事考えないと思うんだ」


「………………はぁ」


「チラッとこっち見て溜息つかないで!?酷くない、そんなにひどくないから!!」





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