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第9話 盲目の少女

「潰れろ!!!」

轟音をたてながら巨人の拳が地を砕き、辺りの建物すら巻き込みながら地形を変える。

それ程に強力な一撃、だからこそ魔皇に使える魔法なのだ。

究極魔導とはそういう魔法だ。

むしろ、この辺は魔力に対する構築がされているおかげで被害は最小限だろう。

それでこの破壊力、それを扱えるグレンがその場にいるだけでも危険なのに。

それを発動したのは、その場にいたゴードン。

即ちゴードンは目覚めたのだ、魔皇に。


「……魔神装《ガイア》。」


ゴードンが使用した究極魔導、魔神の鉄槌(アトラス・ブレイカー)をもろに受けたグレンは今も立ち上がらない。

それが普通ではある。

究極魔導の圧倒的な一撃、それをくらっても立つというのなら彼はもう人ではない、一匹の怪物だろう。

「私はついになったのだ、魔皇に……。更に、倒したのだ、魔皇を。」

「誰が……誰を倒した?」

瓦礫をどけ、グレンは立ち上がる。

それはあまりにも異常で、人間離れすらしている。

彼はとっくに捨てていたのだ、人である事などは。

「何故だ、貴様は今魔神の鉄槌(アトラス・ブレイカー)を確実にくらったはず。どうして、どうして立てるのだ!」

「どうして?よくわかんねぇ事聞くなぁ。そんなの……俺が生きてるからに決まってんだろ。」

確実にダメージはある、体の至る所から血が流れ出ているのがわかる。

何より現在のグレンは、立っているのがやっとな様子でもある。

「てめぇもくらってみるといいさ。究極魔導……。」

グレンの背中から現れる巨大な龍。

これこそが炎属性の究極魔導、古代龍の滅炎(エンシェントブレイズ)

その炎が一度(ヒトタビ)放たれれば、辺りは火の海に包まれる。

街一つなら簡単に焼き払える程のもので、魔神の鉄槌(アトラス・ブレイカー)とは違い、威力よりも範囲を取れる究極魔導である。

「死ね、雑魚が。」

威力は確かに低い、ただそれは他の究極魔導と比べてである。

1人の人間が防御もせずにくらえば確実に殺せる。

その程度の殺傷力なら当然持ち合わせている。

弱くてその威力、なのにグレンはトップの威力を誇る究極魔導をウケても立ち上がる怪物なのだ。

例え、この究極魔導を耐えたとしてもゴードンに勝ち目など残されていないだろう。


「────そこまでです。いい加減にしなさい。」


辺り一帯だけでなく、炎の龍すらも氷漬けにされる。

グレンとゴードンのみは凍らされていない。

「部長……殿。」

水属性の亜系と言われる氷属性。

水属性よりも魔力を消費するが、水属性には氷属性という裏の使い方も存在する。

自分の水属性の魔力の温度を下げる事により、成り立つ魔力ではあるが。

温度を下げるという事に技術が必要であり、上級の水属性魔力使いでもない限りは使用は不可能。

「この状態ならまだしも、グレンさんのそれ使ったら収拾がつかないでしょう。」

長い黒髪が風で揺れる。

部長は綺麗な顔立ちで、長い黒髪が良く似合う女性。

胸部もそれなりにで、とてもちょうどいい体型をしているのが特徴。

「ゴードンさん、あなたの魔力を使えば地形だけなら戻せるでしょ?お願いしますね。」

「……はい。」

「その必要はありませんよ。」

4人の前に現れたのは、以前カルデと遭遇した盲目の少女、白い着物を着ていて、年齢は高校生くらいだろうか?

白髪を肩あたりまで伸ばしている。

「必要はない、というのはどういうことですの?」

「この辺は更地になりますから。」

「そうなんですか、それでも私たちの同僚が壊してしまったものは治さなくてはなりません。」

「いえ、ですから。あなた方も一緒に更地になりますよ。害竜巻(ハリケーン)、二重詠唱。」

害竜巻(ハリケーン)とは、破壊力だけを言えば、風属性の究極魔導すら上回る風属性魔法である。

ただし、欠点があり、コントロールが出来ない。

自身すら巻き込む魔法なのである。

「自滅する気か!?……っ!今頃、傷が……これじゃ逃げれねぇ。」

「ガイア!」

現れた巨大な土の手がグレン、シガット、カチュル以下3名を掴み、遠くへと放り投げる。

怪我人もいたが、ここから避難させる最善の方法だった。

「逃がしてしまいましたか。でも関係ありません、追うまでです。」

「この害竜巻(ハリケーン)が飛び交う状態だ、下手には動けんだろう。貴殿は私が相手をしよう。」


「────はあ。あなたでは準備運動にもなりませんね。」


×××


「今の凄い音はなんだよ。ゴードン達か、そうだよな。……フゥ、メイティスに気付かれてないよな?」

「大丈夫、あの子も音の方見てたけどこっちには気付いてないよ。」

「それなら良かったぜ。」

だけど、どうやって近付くかだよな。

気付かれたら間違いなく『時』属性で過去に戻されちまう。

それじゃあ、意味がないんだ。

何か、何か考えろ、メイティスを捕まえる方法を。

今回は秘密兵器として、魔力を封じる手錠がある。

ただそれをどう嵌めるか。

「……どうすれば近付けるんだ。」

「??それ借りるね!」

フゥが俺から手錠を奪い、真っ直ぐにメイティスの方へと走って行く。

おいおい、それじゃ全部おじゃんだろ!

「ねぇねぇどうしたの?」

と、話しかけそのまま手錠を嵌めた。

「出来たよ!カルデ〜!」


あ、そうか。

フゥはメイティスと面識ないんでしたね。

警戒されてないんだから、元からフゥに頼めば全部解決でしたよ。

とりあえず、何を怖がられてるのかわからないが、話にだけ行くか。


「やあ、メイティス。」


「」

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