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第3話 シュークリーム

「やっぱり迷子か……。それで、親は?」

少女は首を横に振った。

「喋れないのか……?えーと、家はどの辺?」

再び少女は首を横に振った。

「どういうこと!?」

思わず大声を出してしまった。

でも、しょうがないよな?

家がどの辺か聞いて首を横に振られるなんて予想してなかったものでな。

いいや、違うな。

これは知らない人には家を教えちゃダメだ、っていう親の教えをしっかり守ってるんだろう。

「えーと、じゃあ名前は?」

まあ、これを答えてくれるなら困らないよな……。

「メイティス。」

「へぇ、メイティスっていうのか。……っ!?」

名前は答えるんかい!

名前は良くて、家の近くはダメってどんな教育してるんだ、お母さん。

「それでメイティス、どこへ向かってたんだ?」

「出来るだけ、人の、いないとこ。」

人のいないとこ!?迷子なんだよね!君!

なんてよくわからない子なんだ。

いいや、これはかくれんぼ中なんだな。

そして、お母さんがヒントとして出来るだけ人のいないとこ、と言ったんだな。

ダメじゃないか、お母さん。

こんな子を1人でそんな所へ向かわせちゃ。

見た所小学生か中学あがりたてくらいだろう。

というか、俺のこの自己完結、流石に無理やりすぎるだろ。

「なんで人のいないとこなんだ?」

とりあえず、この辺は確認してからだな。

何かあってからじゃ面倒だ。

「今は、誰にも会いたく、ない、し。帰れない、し。」

察するに家出って所か。

まあ、ガキの家出なんてのはすぐに冷めんだろうし1人にすっと危ねぇだろうからな。

しょうがねぇ。

「俺の家来るか?俺の家族はいないし、部屋にも余りがある。気が済むまでいろよ。」

「いい、の?」

「ああ、別に気にしねぇよ。」

どうせ、今日中には帰るんだろうしな。

俺はメイティスを連れて、家へと歩き出した。


×××


俺の家は公園からそう遠くない。

学園と公園の間くらいに位置している。

即ち、これは学園に戻る道でもあるって事だ。

本当に何もしたくない時なんかはまっすぐ家へ行って少し寝て帰るって事もしていたりする。

それにしても俺らの活動って毎回こんなんだから少し困る。

時には、探し物を一緒に探したり。

また時には、人手の足りないスポーツ団体に手を貸したり。

そして時には、魔法を上手く扱えない幼児に魔法を披露したり、だ。

ちなみに無属性の俺は魔法の披露なんかは当然出来ない。

そんな事出来れば苦労はしないな。

と、いつもの道を使っていたんだが、少し遠回りをしないといけないらしい。

事故だろうか。

2台の車のへっこみ具合からして、衝突事故だろう。

それで道が塞がれている。

今日の俺はなんだかついてねぇな。


×××


そして、俺はメイティスを連れて家へと着く。

玄関を開けると部屋が2つあるのがわかる。

そう、部屋が余ってるってのは嘘だ。

何かあったら目覚めが悪いから、連れてくるためにそう言った。

今日には帰るだろう、って事もあり大した事ではないと判断した。

「奥の部屋にいろ、お菓子と飲み物持って行くから。」

メイティスは小さく頷き、奥の部屋へと歩いていく。

まあ、そこが俺の部屋なわけだ、もう一つの部屋はフゥが使ってる部屋だからな。

万が一、学校が終わってもいた場合に余計な事を減らすためだ。

そういえば、と俺は冷蔵庫からシュークリームを取り出し、消費期限を見ると『4月16日』……。

今日は4月17日だ。

どうして処理をしないんですかね、って俺なんですけど。

俺は棚にあるスナック菓子を持って部屋へと入る。

「じゃあ、俺はそろそろ部活戻るから。帰りたい時は適当に帰れよ。」

「ねぇねぇ、あなたは、何の活動をしてる、の?」

「え?何のって────」

俺の携帯が鳴ったので、携帯を取り出し画面を見る。

「あ、部活の奴からだ。……もしもし?」

『今どこにいらっしゃるのかしら!?』

この声、喋り方……カチュルお嬢様か。

「今、家……の近くだ。」

危うく家でサボってるのがバレるところだった。

『ちょうどいいですわ!その辺に魔女の反応が現れましたの!』

「な!?魔女が!?わかった、こっちでも探してみる。」

「魔女……?」

「ああ、俺らは魔女を捕まえる活動してんだ。急な用事だ。またな────。」

俺が玄関から外へ出ようとドアを開けた時、俺の背後から凄い光が発生してるのがわかった。



何よりもそれを確認しないといけない気がし、俺は振り返るとメイティスの背後に、金色の円盤のようなものが見えた気がした。

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