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第10話 炎属性

「……っ!?」

「お、おい。そう怖がらないでくれ。」

ここで『時』属性使われても本当に困る。

使えないのがわかっていても、やっぱりビビってしまう。

しょうがないだろう、反射的にだ、反射的に。

「俺らは確かに魔女を探してるが、別に悪くはしない。特にお前みたいな魔力の制御出来てない奴は保護、悪用するやつは粛清、害のない者は野放しってのが俺らのやり方だ。だからお前をどうこうはしない。信じてくれ。」

「ほん……とう?」

「ああ、本当だ。そこで質問だ、お前はその魔力使えるようになりたいか?」

「ううん、もう(・・)いらない。なくても、いい。」

「そうか。」

よし、結構話は簡単に済みそうだな。

メイティスに魔力を使う意思がないなら、今嵌めている軽めの手錠にして生活してもらえばいいだけだ。

「でも、……。」

「でも?どうした?」

「この力が役に立つなら、頑張り、たい。」

あらぁ、そうなっちゃいますかぁ。

流石に『時』属性使いこなしたいと言われてもどうすればいいのか。

あの人(・・・)に聞けば何かあるかもな。

「じゃあ、とりあえず行こう、メイティス。俺らの学園へ。フゥは他の人に連絡してもらえるか?」

「りょーかいであります!」

ビシッと敬礼をして、携帯で連絡を始める。

「あ、もっしーカチュルちゃん!あのね……え!?」

「どうした、フゥ。」

フゥはカチュルと1通り話し、携帯を閉じる。

その顔は真っ青で一体何を伝えられたんだ、と不安になる。

「あのね……今みんな学園にいる、って。グレン先輩も……」

「それはいい事じゃないか、手間が省ける。」

「その、ゴードンくん以外で……ゴードンくんは今、見ず知らずの女の子と戦闘中らしいの。それもその子よくわからないけど、ヤバイらしくて……害竜巻(ハリケーン)使ってるらしいの。」

あんな自滅魔法を!?

それをゴードンが1人で相手している、なんでだ。

さっきまでゴードンは俺らの敵をしてて……。

考えていても仕方ない。

「フゥ、メイティスは頼んだ。」

「カルデは!?」

「俺はゴードンのところへ行ってくる。」


「カルデ!!!」


フゥの必死な声を無視する事は出来ずに立ち止まり、振り返る。

彼女の今にも泣き出しそうな顔は見るに耐えなかった。

「なんだ、止めるなよ。」


「絶対、帰ってきてね。」


何の保証もないし、正直俺本人も帰れる自信はない事に今気付いた。

けど、お前の不安と比べたらこれくらいの不安ちっぽけだ。

もう、お前の前から人が消えたりしない。

消えさせない。

だから、俺は精一杯の見栄で答えるんだ。


「もちろん、すぐに帰るさ。今夜はマロちゃん製麺が食べたいな。」


「もう、そうやってカルデは栄養考えないんだから。」

君の笑顔が見れれば俺は十分だよ。


×××


人とはやはり哀れです。

仲間のために自分の命を犠牲に、ですが私からすれば逃がした彼らも虫ケラと変わりません。

ようするに彼は、虫ケラのために自分の命を捨てた愚者です。

何故、彼が死ぬ前提か、と言いますと。

私の方が絶対的に強いから、というのは言わないとしても、彼に抵抗の意志がまず見られません。

多分、既に魔力を使い切り何の策もなく、私の前に立っているのでしょう。

実に哀れで、無様で、惨めです。

そんなの無様なあなたを、私の害竜巻(ハリケーン)は無慈悲に、無惨に、無自覚に消し去るでしょう。

綺麗さっぱりと。

「今のうちにこの魔法を消して、貴殿もこの場を後にしたらいかがだろうか?こちらは私1人、それに対して自分の命を捨てるには余りに価値が見合わないと思わないか?」

強気に出てはいますが、それは見栄。

私からすれば、命乞いと変わりません。

「それがあなたの答えですか。」

私は別に自滅なんて(・・・・・)していません(・・・・・・)

そもそも私のやり方とはこういうモノです。

私は人間を愚者だと確信しているのです。

魔女も愚者ばかり、でしたら何でしたら愚者でないのか、と言いますとあのお方のみです。

あのお方こそが私の世界の光で、私が認める賢者なのです。

早く、あのお方に認められたい。

だからこそ、愚者を消すのです。

無慈悲に、無惨に、無計画に。

「ゴードン!!!!!」

「先輩……殿?どうして……そんな格好────」

「みなまで言うな、みなまで。仲間だろ?俺ら。」

隠しましたね、今確実に自分に都合の悪い内容を遮ってかっこよく済ませましたね。

それでも私の目的は変わりません。


あのお方が目覚めるまで消しまくるのです、愚者を。


×××


「おいおい、そんな事より害竜巻(ハリケーン)2つあんじゃねぇかよ。どうすんだ、これ。」

「何の策もないのか。」

「いや、今浮かんだ。とっておきだ。」

俺は魔力を使う、巨人の拳(ジャイアントハンマー)の体勢だ。

それを少女目掛け放とうとする。

巨人の拳(ジャイアントハンマー)……。」

「無駄ですよ。」

「だ!!!」

俺はくるりと後ろに振り向き、巨人の拳(ジャイアントハンマー)をゴードンへと放つ。

「ゴフォッ!?」

害竜巻(ハリケーン)の範囲外へと、吹き飛ばされるゴードンを見て、次の行動へと移る。

「一つだけ聞いていいか?」

「何でしょう?」

「お前、さっきから害竜巻(ハリケーン)当たってない(・・・・・・)よな?……魔女だろ。」

「ノーコメントです。」

「そうか、じゃあな。炎壁(ファイアーウォール)!」

炎属性の魔力、さっきグレンと会った時の怒熱風(ブラストバーン)のおかげで記憶出来たんだよ。

不幸中の幸いってやつだ。

俺はそれを目眩しに、その場から逃げる。


この時、俺の体が少し重たく感じた。

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