頑張るもん
~5年が過ぎた~
「ハァハァ、えいっ!やぁっ!」朝とも昼ともいえぬ時間帯に俺はいつものように父上から剣術の指導を受け、剣を振っていた
「ユーリ!振り切るまで気を抜くんじゃない」
父上は稽古に関しては非常に厳しい。
それが俺のためであることは理解している。
なぜなら、この世界はそういう世界であるから
RPGのように魔物や魔人が存在し、必ずしも安全が確保されている訳ではない。
そのため、身を守る術においては、
このライン・アルスタインという男は心を鬼にして、ユリウスに稽古をつける。
愛して止まない息子を想ってこそだ
「踏み込みが甘いから力負けするんだ!」
「相手を良く観てどう動くか考えるんだ!」
「疲れても、それを悟られないようにしろ」
父上の的確なアドバイスが次々に飛んで来る
しかし、その言葉の一つひとつが俺を成長させている気がしている。
そして今日の稽古が終わると
「ユーリ、昨日よりも上手く剣を使えるようになったね!お前は自慢の息子だ!」満面の笑みで
父上は誉めてくれる。
たまらなく嬉しくなる、まだまだ努力を続けようと思えるのだ。
ちなみに、父上は国内でも有数の実力を持つ王国騎士であり、国王や大臣らからの信頼も高い。
"英雄"や"神速の騎士"と呼ばれている。
剣術の稽古が終わると食事をとる
用意してくれるのはリアーナである。
リアーナは要領が良く、俺にとっては姉のような存在であり、リア姉と呼んでいる。
その横には執事のバルスもいる、バルスも父上程ではないが実力者である。
単純な知識・経験では父上以上である。
「バル爺、僕の剣術はどうですか?」
「ユリウス様は剣術の才能がありますな、しかしそれを越える程に努力されております。」
「そうですね!ユリウス様は魔導でも才能をお持ちなのに、傲ることなく努力されています」
バルスの言葉に、私も同意見ですといった表情のリアーナが言う。
二人からでた共通の言葉、"努力している"
転生後の目標にしていたことだ。
二人からの言葉がただただ嬉しい。
食事を済ませた後、母上が待ってました!
と言わんばかりに俺の元へやって来た。
「ユーリちゃん、昨日の続きからやろうね」
「はい、母上」午後は魔導の修行だ。
親バカ二人が話しあった結果、俺は剣術も魔導も
鍛えることになったのだ。
ちなみに母上は"聖女"と呼ばれているが一部の者は"破滅の魔女"とも呼んでいる
そう、母上は怒るとコワイのだ、昔は怒らせた相手にとんでもない威力の魔法を使って教育していたらしい。
リアーナから聞いた話だ、話しているときリアーナが震えていたので彼女も"破滅の魔女"からの教育経験があるのだろう。
にしても、父上といい母上といい凄い人物だ。
魔導とか魔法という言葉は基本的には同じ意味だ
国や地域による言い方の違いの様なもので、
学校教育では魔法を修行することを魔導と呼ぶことが多いらしい。
この国では8歳から学校教育が始まる。
それまでに偉大な父上と母上に恥じない実力を身につけなければ!