魔王瞬殺
アラムス兵たちは自分の目で見た光景を疑った
世界でも最強戦力である三人、神聖騎士、大賢者、神速騎士を含む全戦力を持っても敗戦濃厚であった状況をたった三人の子供が変えた。
ひとりは神聖騎士よりも見事な剣筋で漆黒の剣を振るい、ひとりは大賢者よりも強力かつ高速の魔法を放ち、ひとりは長弓を放ちつつ神速騎士よりも速く動く。
世界最強戦力と謳われる三人とアラムス王国戦力をもってしても押されていた魔族軍に対してたった三人の子供が数の利を度外視して圧倒している
彼らの動きのすべてが洗礼されているものであり
実戦によって研ぎ澄まされたものだと分かる。
彼らが全力で戦っているのは見てわかる。
しかし、"本気"ではないのも見てわかる。
魔族の大群を相手に余力を残しているのだ。
傲りではない、ただ、それほどに彼らは圧倒しているだけなのだ。
たったの数分で4体の魔王を残し魔族は全滅した。
彼らは一体何者なのか?
絶望的な状況からアラムスを救い、あれだけの数の魔族を相手にして息も切れていない。
神の遣いだとでもいうのだろうか?
戦闘に参加していなかった少年の言葉にアラムス兵は耳を疑った。
「で、どうする?」
少年は魔王に向かって発した。
何をどうするというのだろうか?
言葉の意味がわからない。
「あんた達の僕は全滅した、まだ続けるの?
これで退くなら今回は見逃すけど」
いまあの少年はなんと言った?
見逃す?そんなことはあり得ない!
ここで奴らを倒さねばまたアラムスに危機が訪れる。
相手は魔人、しかも魔王だ、倒すのが当たり前なのだ。
「このまま退けるかっ‼」
魔王の一人が言った。
残りの魔王も戦闘体勢だ。
アラムス兵に緊張が走る
数秒後、魔王4体の首が身体から落ちた。
すべて同時にだ。
魔王は少年に一太刀で同時に殺されたのだ。
何が起きたのかは見えなかった。
見えたのは少年が剣を鞘に収める瞬間だけだった
居合い切りとでも言えば良いのだろうか
とにかく一瞬で魔王4体は切られた
魔族は全滅し負傷者は一人の少女の治癒魔法で
すぐさま快方していった。
「まさか、あれが5聖騎士?」
誰かが呟いた。
5聖騎士だと?
噂には聞いたことがある。
ガリア、ベルク方面で活動する魔王すら恐れる
旅人5人をそう呼ぶと。
にわかには信じられない話しだが、彼らの今の戦いをこの目で見たら噂は本当だったようだ。
俺や父さんを軽く超える剣士にハイネ様以上の魔導師、少女二人もとんでもない使い手のようだし
なんと言ってもあの少年だ…
魔王4体を同時に一太刀で倒した。
凄いなんてもんじゃない、神がかっている。
「アラムス兵諸君、私の名はゼクス・ディセウム。アラムス王国継承権第一位のゼクス・ディセウムだ。」
え?なんて?
ゼクス殿下だって?
じゃああの魔導師は俺の甥っ子ミリアルド?
弓使いはフミ・クロスロード?
治癒魔法の少女はルナちゃん?
…辻褄は合うな
6年で容姿が変わっているが面影もあるし
人数も一致している。
ってことはあの魔王瞬殺少年は…
…
…
…
…「ユリウス?」
「父さん!久しぶり!」
「ユーリっ!」




