5聖騎士
魔神メギド様の復活
この事象は我々魔族に大きな変化を与えた
その代表ともいえるのが魔王種の大量発生
いや、メギド様の魔力の影響により多数の魔人が
突然変異し魔王種となったのだ
私もその一人だ。
元はただの魔人の私ですら魔王階級の力を得るに 至ったのだ、魔王種として生まれた魔人達はどれ程の力を得たのだろうか。
人族はこの魔王大量発生に絶望していると聞く。
魔王を倒せる者など限られているからだ
限られている…
今、私は絶望している。
私の統べるこの辺境の地に私を倒せる者などいないはずだが、絶望している。
私の目の前には5人の人族がいる
彼らを見た瞬間に私は確信した。
己の死をだ。
二本の剣を持つ者"双極"
漆黒の剣を持つ者"絶剣"
聖石の杖を持つ者"業火"
双剣長弓を持つ者"光弓"
神級魔石を持つ者"魔弾"
彼らこそ魔族の唯一怖れる"五聖騎士"だ
彼らは"勇者"といった存在ではない
人族の為に戦っている訳でもない
自分たちの守りたいものの為だけに戦うと聞く
故に彼らは強い
個々の守るものが明確だからだ
どうやら私は彼らの守るべき領域に踏み込んでしまったようだ…
「五聖騎士か、私を殺しに来たのか?」
「アンタのした事が真実か確かめにきた」
双極が答える
「貴様、西の村を襲ったか?」
絶剣が聞く
私には心当たりがない
「私はやっていない。そのような指示も出してはいない」
「じゃあ、アンタの配下がやったのか?」
再び双極が訪ねる
「お前がやっていないのなら用はない」
「あーぁ振り出しに戻っちゃったね」
「でも、探しだしましょう」
魔王である私をアンタ、貴様、お前と呼び
更に二人は私の存在すら無視する
しかし彼らに油断も隙も見当たらない
一人でも私を圧倒するであろう者が5人
彼らに戦意は無いようだ。
しかし、ここで一人でも倒せれば魔族の繁栄に
繋がる。
彼らに守りたいものがあるように私にも守りたいものがあるのだ。
誰を狙う?
双極、絶剣、光弓は反応速度が速すぎるため
奇襲が有効ではない。
狙うなら業火か魔弾のどちらかだ
どちらに狙いを定めるべきか…
業火と魔弾、隙がありそうなのは魔弾だ…
せめて魔弾の少女だけでも道連れにして…
双極の一つの剣が魔王の首を切り落とした
まさに光速の一太刀であった
この魔王は自らが斬られるという認識すらできぬまま死んだ。
それ程に速い一太刀であった。
「ユリウスまたか…はぁ」
「ユリウス君はホント容赦ないよね」
「何度観ても剣筋は見事としか言いようがないがな」
「それは間違いない!ユリウス君と剣で対等に渡り合えるのは殿下くらいですよね~」
「ゼクスとユリウスでは技が全く違うが、技量という意味では拮抗しているな」
「なぁなぁゼクス、ミリアルドとフミが珍しく意気投合してる(笑)」
「そうだな、実に奇妙な景色だな(笑)」
「「げぇっ」」
「ハモりましたね(笑)」
ルナの止めの一言だ
「それにしても、なんでいつも私が狙われるんでしょうか?」
いや、それは…
ルナ以外の4人は気づいていた。
ルナが狙われるのは彼女がどこか抜けて見えるからだ。
「あ、あれだよ!ルナは武器持ってないから!じゃないかな?」
フミの必死のフォローが入る
「実際はカミーノが一番残酷なんだがな…」
「ぜ、ゼクスっ!」
「そういうことは黙っとくもんだぞ!」
「殿下、ユーリ君、ミリアルド君、なにか言いましたか?」
「「「何でもない!!!」」」
魔王を圧倒する力を持つ者が一人の少女に恐怖する。
"魔弾"ルナ・ナイト・カミーノ
この彼女の二つ名は大気を超圧縮し音速で放つ
無音の見えない魔法の弾丸魔法から由来する。
この魔法を放たれた者は無数の弾丸に貫かれ
無惨な死体となる。
ルナは怒ると笑顔になる。
まるで自らの怒りを隠すかのように笑うのだ
しかし、彼女をよく知るものならばこの笑顔が
真実ではないことはすぐにわかるだろう。
笑顔で放たれる音速無音の魔法の弾丸…
残酷な魔法である。
魔神メギドの復活により大量発生し続ける魔王軍団は5聖騎士によって数を増やせない。
しかし、魔神の禍々しい魔力の影響によって魔王級の魔人は常に増えている。
魔王級とまではいかなくとも魔族全体の強さが上がっている。
だが、彼らの討伐ペースがそれと同等なのだ。
故に魔族は彼らを恐れ、防御を固める。
それは侵略に手が回せないということだ。
彼らの行動は自然と魔族の侵略を妨げていたのだ。
誰が彼らの事を5聖騎士と呼び始めたのか
誰が彼らに双極、絶剣、業火、光弓、魔弾という
二つ名をつけたのかは謎だが
彼らの存在は世界中に広まりつつある
彼らの本名は誰も知らぬまま…
魔神メギドの復活より6年たった今でもだ。




