効率を意識して
「えーいっ!やぁーっ!そりゃっ!もう一丁!」
「クロスロードうるさいっ!」
「ミリアルドは静か過ぎるんだよ!」
「静かに相手に近寄るのが狩りだ!」
「ワタシは臨場感を出してるの!」
「狩りに臨場感も何もあるか!」
「二人とも仲が良いね」
「ユリウス(君)っ!」
「ユーリ君に怒鳴らないで下さいっ!!!!」
「カミーノ、お前が一番うるさいぞ(笑)」
「ゼクス!ルナにうるさいとか言うな!」
「ユーリお前もうるさい!このバカップルが」
「バカップル言うなっ(で下さいっ)」
魔獣がひしめくリズベットの森の深部で魔獣を
他所に大声でわめく若者たち。
彼らには森の危険さがわからないのだろうか。
彼らはなぜ自ら魔獣を引き寄せるような行為を
平然と行うのか?
若者の常識離れがすすむ現代社会を象徴するかのような彼らは…
ユリウス・アルスタイン。
はい、俺です…
魔獣討伐の緊張感の欠片もない…
なぜ皆が討伐を狩りといい始め、緊張感もなく
大声で話しているのか…
森に入った時に遡る
~数時間前~
敗者の街より一時間の位置にあるリズベットの森に俺たちはやってきた。
「すげー、木がでっかい!」
「はしゃぐユリウス君、かわいいです…」
「ルナってユリウス君の事になると見境ないよね…」
「珍しくクロスロードに同意だな」
「私としてはミリアルドとフミの相性の悪さが気になるがな(笑)」
「うるさいぞ、ゼクス」
「殿下、ワタシたちの相性の悪さは主に
ミリアルドに原因があると思います!」
ミリアルドの拳がフミの頭に振り落とされる
「いったぁーい!」
「二人とも仲良くしなよ、俺とルナみたいにさ」
「そうですよ!」
「だまれ、バカップル」
「アンタたちみたいなバカップル見習いたくない!」
「二人とも息ピッタリだな」
「ゼクスっ!(殿下っ!)」
「本当だ、ハモってるし(笑)」
森に入る前に俺たちはこうして一息ついていた。
「よしっ!森に入ればいつ魔獣が襲いかかってくるかわからん、気を引き締めてくぞ」
「「「「「おーっ!」」」」」
こうして俺たちは森に入って行った。
ランドルフさんからリズベットの森はガリアにいくつかある森の中でも魔獣が多く、中心部へ近づくほどに強力な魔獣が出現するから初心者が討伐を行うなら浅い部分でも十分だと聞いていた。
ランドルフさんの言っていた通り、森に入って
5分しないうちに魔獣が現れた。
魔獣は3匹、ゴブリンだ。
シュンッ
ゴブリン×3は絶命した…
「弱っ!」
現れたゴブリンにすぐさま弓を引いたフミの感想だ。
俺たちの初の魔獣討伐はフミの弓により舜殺に
終わった。
実に呆気ない討伐だった。
その後も魔獣が何度か出現するが、その都度、
誰かが舜殺してしまうため、討伐というより
狩りになってしまった…
「考えても見れば、俺たちが魔獣を舜殺するのって不思議な事じゃないよな…」
「確かにユーリの言うとおりかもしれんな…」
「アタシたち魔人を普通に倒したしね(笑)」
「手応えがないな…」
「なんか思っていた程、緊張感がないですね」
そう、俺たちは魔獣討伐に緊張感を持ち過ぎていた。
個々で魔人を多数相手にしても圧倒した俺たちが
魔人の格下たる魔獣に対して魔人との集団戦以上の気持ちで挑んでいたのだ。
気を引き締めるのは大切だけど、過度は良くない
身体の動きを固くし、判断力も鈍らせる。
「これじゃあ修行にならないな」
「一方的に狩ってるだけだしね」
「ミリアルド、ユーリ、一応は実戦だ。まったく無意味ではないだろ…」
「でもいくらなんでも出てきた魔獣相手にするだけじゃって感じですよね」
「ルナですらこの発言するくらいどうしようもない状況だよね(笑)」
「よし、ではこれからは効率を意識した戦いをしよう。」
ゼクスの言葉で方針が決まる。
作戦は簡単だ。まず俺が魔力を放出して魔獣を誘き寄せる。大量にだ。
魔獣が魔力の濃い場所にに集まる習性を利用する
次々とやって来る魔獣に対して各々が効率的な戦い方と連携を意識し戦う。
模擬戦などの擬似ではできないことをやるのだ。
魔法と武器の使い分け、仲間の状況確認等を中心に狩りを行う。
最初の内は皆、試行錯誤していた。
主に相手を倒す適度な威力調整に。
魔人を一撃で倒す俺たちの攻撃は基本的には
オーバーキルになる。
しかし、長期戦になれば常に全開で戦闘はできない。
相手を見極め適切な攻撃を最小の動きで行う。
模擬戦でやるのと実戦でやるのではまったく違った。
しかし、さすがはアラムス名家の血を継ぐ集団
驚異的なスピードで学習していき、すぐに連携を含め効率的に戦えるようになった。
結果、犬猿の仲ペア・バカップル・引率の王子様のわめきあいとなったのだ。




