俺様主義の変化
面白いこともあるものだ。
ミリアルドが自ら皆で協力しようと言った
あの、顔合わせそうそうにユーリに喧嘩を売ったミリアルドがだ。
あの日のユーリとの決闘以来、ミリアルドが
変わったのはSクラスの人間なら誰もが感じていただろう。
それまでのミリアルドといえば、孤高の存在、
いや、孤立していたと言った方が正しいだろう。
大賢者ハイネ・ラインハルトの孫
この肩書きがミリアルドを苦しめていたように
思う。
ミリアルドは天才だ、疑いようもない天才だ。
しかし、圧倒的な天才ではなかった。
神聖騎士カイル・アルスタイン
大賢者ハイネ・ラインハルト
神速騎士ライン・アルスタイン
神童ユリウス・アルスタイン
彼らと比べるとどうしても一歩劣っていた。
アラムスの三大英雄と呼ばれる三人に劣るのは
仕方がないとミリアルドも納得していた。
しかし、ユリウスの存在が彼を善くも悪くも
変えていった。
ミリアルドはまずは悪い方向へ変わっていく。
ユリウスを敵視し憎み、蔑んだ。
ユリウスに非はなかった、しかし、世間の評価がそうさせたのだ。
大賢者ハイネ・ラインハルトの孫と言えば
ミリアルド・ラインハルト
ただ彼は世間からそう言われたかったのだ。
しかし、その気持ちに反して世間では、
ハイネの孫はユリウス・アルスタイン
という認識が広まる。
自分がどれだけ努力しても評価は変わらなかっ
た。
なぜ、アルスタインの名を受け継ぐユリウスが
ラインハルトの名をいいように使っているのか
そうミリアルドは思っていたのだろう。
そして二人は出会い決闘をしミリアルドは負けた
決闘の後、ユリウスはミリアルドに言った
「アルスタインもラインハルトも関係ない、
名前はただの飾りだよ。僕は僕だし君は君だ。
カイルお祖父様やハイネお祖父様を目指すのではなく、僕らは僕らの道を歩もうよ」
まったくユリウスは大した奴だ。
王家に次ぐ名家であるアルスタインと
ラインハルトの性など関係ないと言ったのだ。
自分はユリウスだと、それ以上でも以下でもないと言い放った。
この言葉がミリアルドを善い方向へ変えた。
ミリアルドだけではない、Sクラスの面々を
変えたのだ。
それからのミリアルドは相変わらず俺様主義ではあったが、以前と違い孤立するようなことは無くなった。
特にクロスロードとはよく喧嘩をするが、
集団戦訓練などでは、しっかりと連携をとる。
口は悪いが仲間を信頼するようになった。
自分からは歩みよらないが相手が歩みよってくれば拒まなくなった。
しかし今、ミリアルドは自分から歩みよって来たのだ。
人は変わるものだな。
いや、ユリウスが変えたのか。
王族であり、第一王子である俺を初めてただの
ゼクスとして接したユリウスが。
周囲の人間が常に俺の顔色を伺い、機嫌をとっていた。仕方がないと分かってはいたが、正直鬱陶しかった。
しかし、ユリウスだけは常に俺をただの
ゼクスとして扱っていた。
常に対等な立場の友でいてくれた。
今ではミリアルドもそうだ。
ユリウス・アルスタインは本当に面白い奴だ。




