月夜様はおっかない
暖かな光に包まれた白い空間に俺はいた…
かつて似た場所に俺は来たことがある。
前世と転生前の魂の状態で、月夜様に召喚され。
ここは神の私室?
「さすがユーリ君、鋭いね」
その声、チャラ神か?
「そっか、ユーリ君とはこうして対面するのは初めてだったね」
あぁ、にしても見た目もチャラいんだね
「チャラさの神、チャラ神だからね」
神というより、ホストだな(笑)
「あ、それ気にしてるんだよね…」
ごめん。ところで、何故、俺はここにいるの?
魔神の魔法に呑み込まれたはずなのに…
「覚えているんだね、良かった。ユーリ君達は
転移魔法に呑み込まれてアラムスとは別の大陸に飛ばされたんだよ」
達ってまさか!
「Sクラスのランスロットを除く4人も一緒にね。ランスロットはアルスタインの分家として
本家の人間で一番近くにいたマリアを守ることを優先したみたい。」
ランスロット、母上を守ってくれたのか。
「質問の答えだけど、ユーリ君が僕の私室に
居るのはユーリ君の精神保護の為だよ。」
どういうこと?
「ユーリ君の精神は魔神に直接触れられたからね、自覚はなくても魔神メギドの因子に敏感に
なっていたんだ。そんな状態で奴の魔法に呑み込まれたら精神への負担に耐えられない。だから僕の私室にユーリ君の意識体を避難させたんだ。」
なるほど、ありがとう
でも、神が直接介入するのは掟に違反するんじゃないの。
「まぁ今回は例外ってことで。僕にとっては
掟よりも月夜様のがおっかないからね」
つっきーってそんなキャラ?
俺には女神に見えたけど…
「月夜様があんなデレるのはユーリ君だけだよ
月夜様の逆鱗に触れたらいっそ死んだ方が
マシだと思うくらいおっかない…」
マジかよ、つっきー…
あ、つっきー探すの忘れてた。
「それなら月夜様が動いてるからユーリ君は
今まで通りにしてれば大丈夫だと思うよ。」
え、そうなの?
「あの人が決めたことへの執念をなめちゃいけないよ(笑)」
そっか…
「おっと、そろそろユーリ君の身体が目覚めるみたいだね。」
チャラ神がそう言うと俺の意識は次第に朦朧とし薄れゆく。
最後にみたのはチャラ神の笑顔でのピースサインであった。
チャラい。最初から最後までチャラい。
「…リ君、ユーリ君っ!」
「ルナ?」
「良かった!ユーリ君、ずっと意識を取り戻さないから。」
俺を起こしたのは、ルナの呼び掛ける声だった。
「俺はどれくらい気を失ってた?」
「半日、といったところだな。」
ルナの横にいたミリアルドが答える。
俺が気を失っている間、二人が守っていてくれたのか…
ゼクスとフミが見当たらない…
「ゼクスとフミは!?」
「ユーリ君、安心してください。殿下とフミは偵察に行っているだけです。二人ともピンピンしてますよ」
良かった…
しばらくし、ゼクスとフミが戻ってきた。
「目が覚めたかユーリ」
ゼクスが言う。その表情からするに俺が気を
失っていたままだったのが心配だったのだろう。
「ゼクス、周囲の様子はどうだった?」
ミリアルドがたずねる。
最近、ミリアルドは殿下からゼクスに呼び方を
変えた。王族としてではなく友としてゼクスを
支えると決めたようだ。
「どうやらガリア大陸に転移させられたようだ」
「ガリア大陸か、厄介な場所に飛ばされたな…」
ミリアルドが厄介と言ったのにはいくつか理由がある。
ガリア大陸、アラムス王国のあるアラムス大陸に最も近い大陸で帝国制度をとり入れている大陸。
家柄、歴史などに関係なく、実力のみが評価される国柄だ。
帝都ガリアを中心に弱き者は支配され、強き者が統べる世界が広がっている。
力のない者には権利すら与えられない場所。
だが、実力主義なのはこの状況では俺たちには
有利だろう。
実力だけなら俺たちは世界でも通じるはずだ…
しかし、実力が知られれば狙われる。
強者を倒すことが一番簡単な実力開示だからな。
ミリアルドが危惧したのはもう一つの理由だろう
ここにいる5人がアラムス王国の名家の人間であること、ゼクスに至っては王族だ。
アラムスとガリアは敵対している、最近でこそ
大きな争いはないが隙を見せれば攻め込まれる
万が一、ガリア帝国に捕まった場合、俺たちは
アラムスに対しての交渉材料にされるだろう。
アラムスからしてみればガリアが最強のカードを手にしたような気分だろうか。
ガリアに捕まらずにアラムスに帰れば何の問題もないんだが。
「今は今後の行動方針を皆で共有し目的をハッキリさせて、行き違いのないようにしよう。」
ゼクスが言いそうな事をミリアルドが言った。
あの、俺様主義のミリアルドがだ…




