神速を超える神速
ラインは焦っていた。
自分の状況にではない。
王都に残した妻と息子の身を案じてだ。
報告では魔人が戦線を一部突破した、その先にあるのは王都だ…
ここでこいつらと遊んでいる暇はない!
"神速"を発動させ魔人を圧倒する。
周囲には死体の山ができている。
まさに一騎当千である。
時を同じくして正門前では
戦線を突破した魔人たちが狩られていた。
魔人たちが人間をではない。
人間が魔人を狩っていたのだ。
実際に狩りをしている訳ではない、列記とした戦闘である。
しかし、狩るという表現が相応しいほどに戦局は一方的だった。
魔人の一人は絶望していた。
王都が見えたと思ったら光に包まれ、同胞の半数が消えていた。
動揺する暇もなく灼熱の炎が包み込み、凌いだと思ったら音速の矢が飛来しその上に雷魔法の追い撃ちがあった。
初撃を放つ前からこちらは7割を失っていた。
接近すれば二人の剣士が同胞を圧倒し、小さな女が我らを蹂躙している。
あの槍使いにしても隙がない。
また、魔導師らしき小僧は信じられない速度で魔法を展開している。
そしてこの女はなんだ!
意味の分からないことを言ったと思えば
音速の魔法を無音で放つ。
同胞が次々と殺られる。
私は悪夢でも見ているのか…
「ルナ騎士様に守られる続けるのは嫌だな!
ルナを守る騎士は俺だからね!」
恥ずかしいセリフは言いながら俺はクラウドに魔力を纏わせる。
光の魔力をだ。
クラウドが普段より軽い、身体も同様に。
俺の前にいる魔人は15体、よし、行ける。
その光景を観たものは何が起こったか理解できなかった。
いや、見えてはいた。
ユリウスが剣を抜き魔人へ向かってただ歩いて行く、ユリウスは歩いているだけだ、しかし、
そこにいた魔人は全て斬り倒されていた。
神速に光魔法を加えた俺の必殺技
"閃光神速"を使った。
周囲には俺はただ、あるいはいるだけに見えるだろう。
今の俺には神速すらもゆっくり見えるだろう。
それほどの速度領域で俺は動いている。
この閃光神速に力はいらない。
光速を超える超高速での斬撃には力などなくても破壊力は十分なのだ。
超光速からの斬撃事態が圧倒的な破壊力を有している。
魔人を斬っても、素振りをしているように斬っている抵抗がない程に高速なのだ。
はぁ、この感覚は何度目だろうか。
アイツに出会ってからよく抱く感覚だ。
さっきのあの技のせいだろう。
恐らく、ユリウスは神速を上回る速度の技を
使ったのだろう。
私はユリウスが何かしても驚かない。
アイツの非常識には慣れたからだ。
それにアイツの非常識は天性の才能だけではなく
努力の結果ということも知っていからな。
ユリウスといると自分が王族であることを忘れてしまいそうだ。
きっと、ミリアルドあたりも同じ感覚を抱いているのだろうな。
そんな事を思いながら私は魔人を斬っていた。
魔人の数はもう50体ものこっていない、しかし油断はできない。
「くそっ!アイツだけでも殺ってやる!同胞達よアイツに狙いを定めろ」
絶望していた魔人は残りの魔族に指示をだした。
突破を諦め、せめて道連れをと覚悟したのだ。
標的はユリウスだ。
ユリウス目掛け残りの全ての魔人が襲いかかる
閃光神速で対応しようとユリウスが構えた直後、
「私のユーリちゃんに汚い手で触らないで!」
母上だ!
え?母上?えーっ!
何してるんですか!
マリアの放った魔法により、魔族は消滅した。
灰も残らない程に。
「破滅の魔女…」誰かが呟いた。




