ゼクスの叫び
勝った、魔法を放ったミリアルドはそう思った。
ユリウスはまだ展開途中だ。
威力を最低限に抑え、展開速度を重視したミリアルドの魔法の方がユリウスの魔法より速かったのだ。
雷魔法はユリウス目掛け飛んでいく
そしてユリウスを襲う、ミリアルドからしたら大した威力を持たないスピード重視の魔法だが、Sクラス以外の者からしたら高威力の魔法が。
一撃必殺に相応しい技だ。
しかし、勝利への確信は刹那に打ち砕かれる。
自分の放った魔法がユリウスに当たらなかったのだ。
いや、正確にはユリウスに魔法自体は届いている。
しかしユリウスによってミリアルドの魔法は相殺させられたのだ。
ミリアルドが魔法を放った瞬間にユリウスは戦法を変えた。
魔法を放つのではなく自らの掌に発生させ、ミリアルドの魔法と相殺させたのだ。
二人の決闘魔法の相殺により一瞬の爆発が発生し周囲を煙が包む。ほんの一瞬の出来事。
ミリアルドは動揺する気持ちを瞬時に切り替え、すぐさま二発目の魔法を展開させる。
周囲の煙が消えユリウスに魔法を放つミリアルド
しかし、その魔法を空を切った。
そこにいるはずのユリウスがいないのだ。
そして自分の後ろには魔法を展開させ今にでも放つことのできるユリウスがだっていた。
まるで、動くなとでも言わんばかりに。
魔法の相殺による爆発の瞬間にユリウスはミリアルドの後方に回り込む。
"神速"である。アルスタインの御家芸とも言える神速は文字通り人間の領域を超えた速度で身体を動かす超高速移動だ。
神速による刹那の移動を終えてミリアルドに回り込むユリウス。
その眼前ではミリアルドが魔法を放つ。
先ほどまで自分がいた場所に。
こうなれば、勝利はユリウスのものだ。
ミリアルドの真後ろに立ち「僕の勝ちだね!」
「あぁ、俺の負けだ。」なぜかミリアルドは笑顔で言う。
何かから解放されたかのように。
ユリウスとミリアルドの決闘はユリウスの勝利で終わった。
時間にして10秒弱、ごく短い時間でのこの決闘は学園内の伝説となり、奇跡の世代の伝説と共に後の時代まで語り継がれる名話となるのはまた別の話だ。
「ユリウスさん!怪我はありませんか?」
「ん?大丈夫だよ?カミーノさん」
ルナがユリウスの元へ駆け寄る。
「でも魔法を手で受け止めてたじゃないですか」
「俺も魔法を纏っていたから大丈夫だよ」
「魔法を纏う?」
「こんな感じかな」と言ってユリウスは雷魔法を放つ自分に向けて。
「ユリウスさん!」
「えっ、ユリウス君」
「ユリウス様っ!」
「ユ、ユリウス!」
ルナ、フミ、ランスロット、ゼクスがそれぞれに反応する。
ユリウスの身体を雷が包みこむ。
そして、ユリウスは全身に雷を纏っていた。
「さっきはこれを掌だけに展開させてミリアルドの魔法を相殺させたんだ」
「ユリウスさん凄いです…」何故か恍惚とした表情のルナ
「ルナ、あんた分かり安すぎ(笑)」フミが言う
「さすがは、ユリウス様ですね!」ランスロットはアルスタインの本家は違うと言わんばかり
しかし、ゼクスだけは「ユリウス!貴様は何度言えば分かるのだ!」怒っていた。凄く怒っていた。
やべー、ゼクス怒らせちゃったよ…
めんどくさいなぁ…
「ご、ごめんゼクス…」
「貴様の常識外れの魔法を安易に使うなと何度言わせれば分かるのだ!」
「だからごめんて…」
「貴様の常識外れのせいで私がどれだけの苦労をしているか分かっているのか!」
これは久々にゼクスの本気の怒りだ。
激おこプンプン丸だ…
「ゼクス殿下、そう怒りを露にしないで下さい。ほら」とミリアルドが言うと彼も自分に向け雷なり魔法を放った。
「魔法を纏えるのはユリウスだけではありません、私もできます。ユリウスに比べ密度は低いですが。」
ミリアルドも魔法を纏えるなら問題ないじゃないか、怒られ損だ!
ゼクスには王族としてもう少し寛大になってもらいたいものだ。
あれ?なんか、ゼクスが震えてる…
「アルスタインとラインハルトの常識は世界の非常識だと何故分からんかーっ!」
ゼクスは叫んだ。ゼクスの叫びだ(笑)
後にゼクスのこの叫びは"王子の怒り"という学園の伝説となる。




