大賢者の孫
カイル・グレモリーとの模擬戦のあと
カイルはハイネに「みたかハイネ、ユリウスはやはり騎士に相応しいようだ」ニンマリ顔で言う
「そうやってすぐに物事を決めつけるのはお前の昔からの悪い癖だな」
まだ、ユリウスの魔法を見ていないのにこれからはユリウスは騎士としての訓練に重きを置くべきだと言うのは早すぎるとハイネは思った。
実際は可愛い孫に自分の血統を強く継いでいて欲しいという想いもある。
それは、カイルとて同じだろう。
全模擬戦は滞りなく終了した
次は魔法の実技試験だ。
すべての者が魔力を有しているからといって
魔法を得意としている訳ではない、騎士の家系は武器を用いて戦うのを得意とする、先程のグレモリー家などが良い例であろう。
あの家の一族は槍術の実力では他を圧倒するが、魔法に関しては一般レベルの実力である。
しかし、このアラムス学園では騎士だから魔法の実力が低くても良いなどの考えは通用しない
また、大国アラムスの次代を担う家の子供たちにもそのような考えはない。
彼らの常識では自分たちは騎士としても魔導師としても優秀でなければいけない、その中でどちらが得意なのかくらいだ。
もちろんこんな常識はこの学園の関係者だけでの話しである。
なぜなら、騎士を目指す者は騎士養成学園に
魔導師を目指す者は魔法学園に行けば良いのだ
しかし、王立アラムス王都学園では総合的に優れた人材を育成するのだ。
~魔法実技試験~
この試験は会場内に不規則に並べられた10個の的に魔法をいかに精確に命中させられるかだ
"現時点"では魔法の威力は問わない、的に当てられれば良いのだ
魔法発動までのスピードと発動後の魔法を精確に制御できるかをみるための試験なのだろう。
先程の俺の模擬戦をみた観覧席では、ユリウス・アルスタインは"大賢者"ハイネ・ラインハルトの血も受け継いでいるのだから魔法もさぞ凄いのだろうと話題だ。
はぁ、なんか、緊張するな…
自分の血筋が恐いよ…
まぁでも、魔法の制御に関しては母上からも
「ユーリちゃんは天才っ!」とお墨付きを貰っているんだから、自信自信を持とう!
そして俺の番がやってきた、集中のあまり、他の受験生の魔法を見るのを忘れていた
しかし、俺のやるべきことはひとつだ
始めの合図と同時に俺は魔法を放つ
構築された魔法を制御し10個の的に当てる!
全ての的は粉々に砕け散った、全弾命中だ
…あれ?会場が静まりかえってるぞ?
俺、なんかやらかしたのか?
失格とかになるのか?
「マリア!」ハイネが怒鳴る
「なんですのお父様?びっくりするじゃないですか」母上はさすが私のユーリちゃんと俺に手を振っていた。
その横では父上とカイルお祖父様が目を見開いていた。
冷静沈着な"大賢者"ハイネ・ラインハルトは
自分の孫を見つめ唖然としていた。
ユリウスの魔法に期待していた、カイルにユリウスは魔導師としての才能も優れていると自慢したくてしょうがなかった。
冷静な男が孫の魔法に期待をしていたのだ
しかし、いまユリウスの放った魔法は論外だ!
ハイネはアラムス国、いや世界 最強の魔導師と言っても過言ではない、そして娘のマリアも自分には及ばないが天才魔導師と呼ぶには十分な実力だ。
そんな血を継いでいるユリウスならば将来魔導師団に入り修練を怠らなければあるいは自分を越えてくれるのではないかと甘い期待をしていたのだ。
そして学園での入学試験で初めて孫の魔法を見る機会が訪れた。
期待を抱いていた孫のユリウスが放った魔法は
8歳の子供の放つ魔法には遠く及ばないかった
ユリウスは現時点で既に魔導師団でも十分戦力と見なして良いレベルの高度な魔法をいとも簡単に放ったのだ…
しかも無詠唱でだ、確かに、無詠唱で魔法を放てるものはいる。
しかしそれは、大国アラムスの魔導師団の
トップクラスであればの話だ。
8歳の子供が魔法を無詠唱で使用することなど
常識はずれの実力を持つ自分を持ってしても
異常なのだ、ユリウスは間違いなく天才だしかし
「マリアお前やり過ぎだ…」ラインが呟いた
ハイネが言おうとした言葉を




