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異世界機巧都市  作者: switch
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一章 第五話 「出会い」

さて、タイトルから察する通りいよいよアレが出ます。

そうです、皆さんの大好きなアレです。

「さっさと宿を見つけなきゃな......」


『そうね、もう大分暗くなってきたわよ』


「野宿だけは避けなければ」


『私も野宿はごめんだわ』


「そうだな......おっ、あれって宿じゃないか?」


『看板に[INN]って書いてあるしそうじゃないかしら』


「良かった......案外すぐ見つかったなぁ。早く入ろう」


 小走りで中に入ると受付をするべくおっちゃんに話しかける。


「すいません、部屋って空いてますか?」


「ん、冒険者か? 良かったな、あと一部屋空いてるぞ」


「おお、ギリギリセーフ」


「一泊五十ユールだが泊まっていくかい?」


「もちろん」


「じゃ、これが二階の一番奥の部屋の鍵だ。あとは好きに使えよ」


「ありがとう、おっちゃん」


 おっちゃんから鍵を受け取り、階段を駆け上がる。

 今日は色々あったせいか凄い疲れてしまった。そのせいで眠い。


「ここだな」


 鍵を使ってドアを開けると、こじんまりとしているが綺麗な部屋だった。


「これで一泊五十ユールか」


『良い宿を見つけたわね』


「しばらくはここを拠点にさせてもらおうかな...」


『それもいいかもしれないわね』


 こんなに安くて良い部屋だったら何回も使いたくなる。


「そういえばお前はどこで寝るんだ?」


『少し布でもあれば布団になるわ』


「あ、じゃあこのハンカチを......」


 家でポケットから出すのを忘れたままこの世界へ持ってきてしまった物だ。


『丁度良い大きさね。ありがたく使わせてもらうわ』


「よし、もう寝よう......眠い」


 剣を机の上に置いて、ベッドへ寝転がる。

 そこから眠るのに時間はかからなかった。



 ぐっすりと眠り、気がついたら朝になっていた。


「ふあぁ......」


 大きく欠伸をして、ベッドから出る。

 今は何時くらいだろうか?


「えっと時計は......これか。どうやら9時みたいだな」


 普通の社会人なら大遅刻だが、ここは異世界。

 のんびりと寝ることも出来る。


「異世界で暮らすのも良いかもな......」


 ぼそりと呟き、外に出る準備をする。

 あ、そういえば昨日風呂とか入ったかな......?


「やべぇ、不潔になるのだけは絶対に嫌だぞ」


 今日から絶対に風呂に入ると誓った俺だった。


『ん......おはよう』


「おう、おはよう。よく眠れたか?」


『熟睡してたわよ』


「それなら良かった」


 二人とも朝の準備を整えて、部屋から出る。

 階段を下りると、急にお腹が減ってきた。


「う、腹減ったな」


『私も少しお腹が減ったわ』


「どっか食うところ探すか」


 そんな会話をしていると、おっちゃんから声がかかった。


「お前ら腹減ってんのか? だったらこの大通りを抜けた先にある酒場がおすすめだぞ。見たところパーティーはお前ら二人だろ? 冒険者が集まるからそこに行けば良い仲間にも出会うだろうさ」


「お、良い情報ありがとなおっちゃん」


「いいってことよ。また宿を使ってくれよな」


「おう。また来るよ」


 おっちゃんに教えてもらった通りに大通りを抜けて、少し狭い道へと入ると、[酒場]の看板が見つかった。


「ここか」


『う、少しお酒の匂いが強いわね......まあ入ってみましょう』


「そうだな。入ってみるか」


 扉を開けると、カウンターに木製のテーブルといったいかにもRPG感が満載の酒場だった。

 ちらほら剣や弓を持った、冒険者らしき人達がいる。


「うわ、腹減ってきた。注文注文」


 ウエイトレスのような格好をしたお姉さんに注文をする。

 メニューはテーブルに置いてあり、レストランのようだ。


「えーっとじゃあ......このステーキを一つお願いします」


『じゃあ私はオレンジジュースで』


「あれ? お前は食わないのか?」


『人間サイズの食べ物なんて大きすぎて食べられないわよ。ジュースでお腹いっぱいだわ』


「まあ小さいしな」


「ご注文は以上でよろしいでしょうか?」


「あ、はい」


「では、少々お待ちください」


 と言ってお姉さんはカウンターの奥へと消えていった。


「うーん。良い仲間いないかなぁ」


 ボソッと呟くきながらボーッとしていると隣の席から話し声が聞こえてきた。


「おい、あいつまだ仲間が見つかると思ってるみたいだぜ」


「これで何日目だ?」


 最初は自分のことを言っているのかと思ったが、話の内容で自分ではないと確信した。

 気になったので席を立ち、話しかけてみる。


「さっきから誰のことを話しているんだ?」


「お前新入りか? あいつだよあいつ。あの席に座ってるだろ?」


 男が指差した先にはローブを被った十六歳ぐらいの一人の少女が座っていた。

 そして、もう一人の男が言う。


「あいつの家系はよぉ、弓の腕がとてつもなく上手いって言われているんだぜ。だけど、あいつだけは上手くなれずに、一族の恥だって言われて家を追い出されちまってさ」


「それは可哀想だな」


「ちょくちょくここに来ては飯を食べて、仲間を探しているんだが、なかなか見つからないみたいでな。よかったら新入りもらってやったらどうだ?」


 はっはっはっ、と男達の笑い声が酒場中に響く。


「......ふむ」


 そう言いながら少女に近づく。


「お、おい新入り? さっき言ったのは冗談だぞ? まさか本当に」


 男が全て言う前に少女に話しかける。


「君、仲間を探しているんだって?」


「......うん」


「もしよかったら俺とパーティーを組んでくれないかい?」


「......えっ?」


「聞こえなかった? 俺とパーティーを組んでくれないかな?」


「わ、私でいいなら......でも、足手まといになると思います」


「そんなの練習すればいいんだよ。馬鹿にする奴等なんてほっとけばいいのさ」


「じゃ、じゃあ......その、是非お願いします」


「うん。ありがとう」


「こ、こちらこそ」


「じゃあ君の名前を教えてくれるかな?」


「アクアス・ミリア。十六歳です」


「えっと何て呼べばいいかな?」


「ミリアでいいです。家名はもうあってないようなものなので」


「じゃあよろしくねミリアちゃん」


「はい、えっと......」


「ああ、ごめん。俺はトウジョウ・アキト。アキトでいいよ」


「よろしくお願いします。アキトさん」


「うん。これからよろしくね」


 周りの男共は皆呆れた顔でこっちを見ていたが、俺には分かる。何となくだけど、分かる。

 この子には才能があると、一目見て確信した。


「じゃあ、早速クエストにでもいって実戦経験を積んだ方がいい。今からでも行けるかな?」


「は、はい!!」


「よし、良い返事だ。それじゃあ行こうか」



 これが、俺が異世界で作った最初の出会いだった。

はい、いよいよヒロイン登場です(東條だけに

え? フィリアちゃんはどうしたのかって?

フィリアについては準ヒロインみたいな感じですね。

正規ヒロイン一人目はミリアちゃんです。


次回の投稿は、火曜か水曜の予定です。

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