一章 第四話 「冒険者登録」
すいません!!
先週は作者がインフルエンザを発症してしまい、投稿が出来ませんでした!!
そのお詫びとしては何ですが、2日連続更新となっており、明日は番外編が投稿されます。
これからもこの作品をよろしくお願いします!!
「あっ......」
やばい。すっかり忘れてた。
「ごめん......」
『すっごい暇だったわよ。おかげさまで』
「うぐっ......」
『まあいいわ。武器も手に入れたんでしょう? さっさと冒険者登録しちゃいましょう』
「は、はーい」
まだ顔を少しひきつらせている妖精に連れられて、目の前にある大きな建物を目指す。
「あれ? そういえばお前の名前って聞いたっけ?」
『そういえば言ってなかったわね』
ずっとお前とかで呼んでたから気づかなかったな。
『私の名前はピシル・フィリア。フィリアでいいわよ』
「おう。よろしくな、フィリア」
『こちらこそ、改めてよろしく』
会話しているうちに[冒険者ギルド]と書かれた看板が掛かっている建物に着いた。
「あ、ギルドで登録するんだな」
『まあ冒険者の中心となる所だしね』
「それもそうか」
気にせずギルドの扉を開ける。
中はかなり広くて、建物の風貌通りだった。
椅子とテーブルが並べられて、そこに男女問わず沢山の人々が座って酒を飲み交わしていた。
「昼間っから騒がしいところだなぁ......」
『あ、あそこ。カウンターって書いてあるわよ』
「お、本当だ。あそこで登録するっぽいな」
すぐにその場まで走っていき、カウンターのお姉さんに話しかける。
「あのーすいません。冒険者登録って出来ますかね?」
「あ、はい。新規登録の方ですね? 少々お待ちください」
そう言うとお姉さんは奥の方へ入っていき、一枚の紙を持ってきた。
「この書類に必要事項を書き込んでください」
「分かりました」
言われた通りに年齢などの項目を埋めていく。
全ての項目を埋めて、提出する。
「はい、ありがとうございます。念のために犯罪歴が無いかなどをチェックさせていただきます。そこで静止していてくださいね」
「は、はい」
何をするんだろうか。
「<<分析>> 起動」
受付のお姉さんが丸いボールのようなものを持ちながらそう言うと、ブオーンと機械的な音が鳴り俺の体を水色の光が包み込んだ。
「うおっ...」
「制止。チェック完了です。犯罪歴、書類の内容、共に問題ありませんでした。では、簡単な試験を出させていただきます」
そう言うとお姉さんはクエスト用紙を目の前に出す。
「これが、今回のクエストとなります。クエストの条件をクリアしたら、私の元へ持ってきてください。冒険者として、登録が完了します」
流れるようなお姉さんの説明に聞き入りながら、クエスト用紙を眺める。
「クエストには種類があって、収集と討伐が主なクエストとなっております。たまに緊急クエストなどもありますがよほどの事でもない限り出ることはありません。今回のクエストは収集となっております。この都市の周辺に出るガビィと言う魔物が落とす牙を5つ、集めてきてください」
「ガビィは口がとても大きく、牙が発達しています。噛みつかれないように注意してくださいね。それでは、いってらっしゃいませ」
「よし、頑張るぞ!」
『おー!』
お姉さんのいってらっしゃいコールと共に意気揚々とギルドを飛び出していく。
まだ武器しかないのが少し心配だ。
「最初のクエストだから難易度は低めみたいだな」
『そりゃそうでしょうよ。いきなり巨大なボスを倒してこいって言われても困るでしょ?』
「それもそうだな」
通りを抜け、何時間か前に出てきたゲートをもう一回潜って外へと出る。
「さて、周辺に出るって言ってたな......」
『あっ、あいつじゃない?』
フィリアが指した所に、狼を小さくして、口だけ巨大化させたようなモンスターがいた。
「え......可愛くね?」
『うん......何か拍子抜けよね』
気づかれないようにそっと近づいていく。
「怖くないよー怖くないよー」
そう言いながら接近すると、今まで可愛かったはずの目の前のモンスターが豹変し、恐ろしく大きい口を開けて勢いよく噛みついてきた。
「うおぉっ!? あっぶねええぇぇ!!」
『やっぱり魔物は魔物だったわね!』
噛みつきを紙一重で避けて退く。とりあえず退く。
「よし、体勢を整えてっと......」
剣を抜いて構える。丁度いい重さで、振り回しそうだ。
作ってくれたミソンに感謝を込めて、最初の一振りを振るう。
「とりゃっ!!」
ザシュッ、という音が響きガビィが一旦仰け反る。
しかし、すぐ立て直して襲いかかってくる。
それに合わせて、俺も剣を振るう。
「ふっ!! はあっ!! せいやっ!!」
三連撃を叩き込んで、ようやくガビィが倒れる。
唸り声を上げて消滅した。
その後には、牙が残されていた。
「これはガビィの牙か」
『どうやらそうみたいね』
「これをあと四つかぁ......結構大変だな」
『冒険者ってのは楽な職業じゃないからね。ほら、ファイトファイト!』
「頑張りまーす......」
やる気のない声を口からこぼしつつも、次のガビィを探して戦う。
再び、同じような攻防を繰り返して、ガビィが倒れて牙を残した。
「何か一戦目より楽だった気がするな」
『たった一戦でも戦いに慣れたんじゃないの?』
「そうなのかな。よーし、どんどん倒して回収するぞ」
それからは簡単な作業のような感じだった。
ミソンの武器のおかげでもあるのか、ガビィは簡単に倒せた。
牙も楽に回収し、日が落ちる前には冒険者ギルドに戻ることが出来た。
「すいませーん。牙持ってきました」
「え、もうですか? 凄い早い......」
「ふっふっふっ」
少し得意気になりながらお姉さんに牙を差し出す。
「もう少し時間がかかると思っていたのですが、これは予想以上の早さですね。これなら冒険者としては文句無しです。報酬は500ユールとなります。では今から登録を済ませて来ますね。座席に座って少々お待ちください」
お姉さんは奥の方へ行ってしまったので、言われた通りに座席に座る。
他の座席ではまだ酒を飲み交わしている冒険者達がいた。
「冒険者ってのは酒呑みしかいないのかな?」
『そんなことないでしょ。きっとあの人達が酔いどれなだけよ』
よく見るとごつい人が多いな。ちらほら女性もいるが。
「俺はあんまり酒が飲めないからなぁ......」
『見た目からそんな感じよね』
「失礼だなぁ」
『なんか情けないオーラが出てるわよ?』
そう言われて、自分の顔をつねったりしてみる。
ギルドの中を眺めながらボーッとしていると、受付のお姉さんが出てきた。
「アキトさーん」
「あ、はーい」
受付のお姉さんに呼ばれて、すぐに駆けつける。
「登録が完了しましたので、これをどうぞ」
「これは......」
一枚のカードのような青色の物を差し出された。
そこには自分の情報が書かれていて、ICカードのようになっていた。
「これは何に使えるんですか?」
「それがあると、冒険者としての身分証明書となります。それ自体がデバイスともなっており、他の冒険者との連絡なども出来ます。その他に各都市のショップが安くなったりと沢山の特典がつきます。是非とも有効活用してくださいね」
「はい、ありがとうございます!!」
「ではこれからあなたは冒険者となります。冒険者の仕事は魔物を倒して大陸の平和に貢献することです。頑張ってください」
「了解です!」
「では、これにて正式な冒険者登録完了となります。お疲れ様でした」
今日の疲れがどっと出てきた。
さっさと宿で寝よう。
「さて、宿を探さなきゃな」
『そうね。私も話を聞いてばっかりで疲れたわ』
冒険者ギルドから出ると、もうすっかり暗くなっていて急いで宿を探すことにした。
これからの冒険者としての生活を考えながら人も少なくなった大通りを歩いていく。
「よーし、頑張るぞ!!」
自分にやる気をこめて、急いで宿を探し始めた俺だった。
さて、いよいよ冒険者となりました。
これから本格的な冒険が始まります。
そろそろヒロイン出さなきゃな......
次回の投稿は明日となります。




