一章 第二話 「第二四都市カリバル」
第二話です。
RPG要素がもりもりです。
「うわぁっ......」
まるで少年のような、無邪気な感嘆の声をあげてしまう。
それもそのはず、目の前に広がる景色はまさにハイテクと言わんばかりの機器ばかりだ。
『ここが第二四都市カリバルよ』
「二四!? こんなのがもっとあるってことか!?」
かがくのちからってすげー。
心底そう思う俺だった。
「いやぁ......異世界パネェ......」
『まあ言ってもこんだけ発達しているのは人間族だけなのよねぇ』
「え? そうなの?」
『だって五種族の中でも唯一魔法を使えないのが人間族だもの』
「それはまた不憫な......」
『他の種族は自らの力で魔法を使えるんだけどねー。人間族だけは何故か使えないのよね』
神よ。それは差別じゃないだろうか?
『しかし、人間族は他の種族に劣らないために道具を作った』
「道具?」
『この世界の魔法の原理は、そこらに漂っているマナと呼ばれる特殊なものを自らの体内に取り込んで使うという方法だったわ』
「ほうほう。でも人間族にはそれが出来なかった、と」
『そう。だから機械にマナを取り込んで人工的な魔法を起こせる装置を開発した』
「それは凄いな」
『でも欠点はいくつかある。マナの燃費が悪いのと、何回も使っていると老朽化が進む。マナがその場から無くなっても魔法は使えなくなってしまうからね。ただのガラクタになるわ』
「確かに、戦闘中に使えなくなりましたとか洒落にならないもんな」
『まあこれはただ一時的な魔法を起こせる装置ってだけで使う人はあんまりいないわね。それだったら他種族を仲間にした方が楽なんだもの』
「それもそうだな」
『まあ他にも色々な武器があったりするんだけど、とりあえずそれは置いといて都市を回りながら説明するわ』
「おう。よろしく頼む」
何かいよいよゲームらしくなってきたぞ!!
正直胸のワクワクが止まらない。
「ていうかこれで小規模なら首都とかどうなるんだろ」
『中央都市の広さは......迷いこんだら出られないって聞いてるわね。実際には、私も見たことがないんだけどね』
「まさに迷路じゃねぇか...」
とにかく恐ろしい広さってことはわかった。
『まあ地図でも持ってけば早々には迷わないだろうけどね』
「まあそうだな」
発達した文明に感謝するのみだ。
大通りを歩きながら周りを見ていたら、様々な店があった。
屋台のようなものや、なんだか怪しい店。
むこうでもこんな光景があった気がする。
『あったわ。あの店が鍛冶屋ね』
「確かに職人とか住んでそうだな」
木造の少しボロいなんだか趣のある店だ。
表の看板に、鍛冶屋ヴィネルと書いてある。
『じゃあこの鍛冶屋さんで少し武器を見ていきましょうか』
「武器は普通に携帯していいんだな......っと」
少しガタがきているドアを開けると、中には数々の武器と防具が広がっていた。
「うわすげぇ、ちゃんと剣とかあるよ」
『そりゃ鍛冶屋なんだからね』
「まあそうだけどさ、ちょっと感動」
色んな種類の武器を見ていると奥から大柄のおっちゃんが出てきた。
「らっしゃい!! 鍛冶屋ヴィネルへようこそ!!」
「お、おお?」
おっちゃんから発せられる気迫に少し押されてしまった。
ていうかかなりゴツイ。結構怖い。
「俺は店主のヴィネル・ミソンだ。よろしくな!!」
そう言って差し出された腕を握る。
「なあ俺って何て名乗ればいいんだ?」
『家名の後に名前ね』
家名って事は名字か。
「俺はトウジョウ・アキト。こちらこそよろしく」
「ああ!! 俺の事は気軽にミソンって呼んでくれよな!!」
良かった、友好的なタイプだった。
「何が欲しくてこの鍛冶屋に来たんだ? 見たところ冒険者には見えないが」
「冒険者? 何だそれ?」
「お前冒険者も知らずに鍛冶屋に来たのか!? 世間知らず過ぎるだろ」
「い、いや。少し田舎の出身でね。そんなことを気にせずにゆったり生きてきたからさ」
少し声が動揺してしまっただろうか。下手な嘘がバレないといいが。
「そうか、田舎者か!! なら仕方がないな!! 一から説明してやろう!!」
いや仕方がないのかよ!!
ともかくバレないで良かった。
「冒険者という職業になるにはまあ少しの実力は必要だな。それと勇気」
「ふむふむ」
「そしたら冒険者組合に行って冒険者登録を済ますんだけどな、何種類かの条件が出されるんだ。冒険者としての実力チェックだな」
「うわぁー、めんどくさいな」
「まあそう言うなって、それで合格したら冒険者と認められてフリーになるかギルドに入るかを決めるんだ。これは個人の自由だ。大多数はギルドに入るらしいがな」
「うーん、やっぱりどっちにもメリットとデメリットはあるんだろ?」
「ああ。フリーだと集団行動があまりないから報酬の分配で揉めることはあまりないな。だけど仲間がいないってことはそれだけ魔物にやられる危険性も増える。冒険者は体が命だからな。治らない怪我や部位欠損は廃業するしかなくなってしまうんだ」
「世知辛いな......」
「仕方がない事だ。だがその分報酬はいいぞ」
「それはありがたいこったな」
「まあ冒険者じゃなくても武器の携帯は許されているがな。護身用の短剣ぐらい持つ人は結構いるぞ」
「まあ俺は冒険者になるとするよ」
「よしきた、さて何の武器が欲しい?」
「近接武器にしとこうかなぁ。どんな種類があるんだ?」
「近接武器なら、片手剣・両手剣・曲刀・棍棒がうちの店にはあるな」
「そうか、なら......」
店の中を見渡して、俺は言った。
「こいつがいいな」
俺が指差したのは片手剣だった。
いよいよ武器を選んで冒険者の道を歩むことを決めた主人公。
冒険者としての彼の実力は如何に!?
是非続けて見ていただけるとありがたいです。
次回更新は火曜日・水曜日を予定しております。