一章 十八話 「憑依」
また期間が空いてしまいました。
申し訳ございません。
「...というわけなんです」
ミリアが話してくれたのは、代々伝わってきたというおとぎ話のようなものだ。
しかし、これは実際にあったことらしく、空想ではない。
「その物語と俺の能力、何の関係があるんだ?」
「あくまで可能性の話ですけど...アキトさんの能力は恐らく <憑依> というものです」
「な、まさか...」
「そのまさかです。アキトさんの能力はこの物語の勇者様、それ自体なんです」
「嘘だろ...」
「アキトさんは...勇者の末裔という位置付けになるのでしょうか...」
最初にこの世界に来たとき、確かに言われた。
あと少しでこの世界は危ない、と。
「なあミリア...誰にも話さないと約束できるか?」
「はい、このことが公に出てしまったら...アキトさんが迷惑でしょうし」
「俺のことを全て話すよ」
それから俺は、こっちの世界にどうやって来たか、など詳しく話した。
ミリアは真剣な表情で俺の話を聞いてくれた。
「なるほど...そういうことだったんですね」
「ああ、だから人前で戦うのは避けた方が良いかもしれない...」
「そうですね。万が一、気づかれたら困りますし」
「くそ...世界を救う存在か...」
「大丈夫です。アキトさんなら出来ますよ」
「ぬぐぐ...」
そんな会話を繰り返しているうちに俺の体から痛みは抜けていった。
気がつくと、二時間以上も話してしまっていた。
「さて、とりあえず冒険者ギルド行くか...」
「そうですね。色々伝えないと...」
決断してからの行動は早く、俺たちはすぐに冒険者ギルドへ向かった。
「あ、アキトさん。無事だったのですか!?」
「あ、はい。何とかですけど...」
「あのファフニールを討伐したうえ、無事だったとは...」
驚きを隠せない表情で受付嬢さんが言う。
やはり相当強いモンスターだったのだろう、周りにも聞こえていたようでざわめいている。
「上の人に伝えてくるので少しだけ待っていただけるでしょうか?」
「はい、よろしくお願いします」
受付嬢さんは奥に引っ込み、上司らしき人と話している。
驚いた顔をしていた。少し得意気になってしまう。
「アキトさん...大丈夫でしょうか」
「え、何が?」
「今回の事で冒険者を辞めさせられるとか...ありそうで...」
「大丈夫だよ。むしろ良いことがありそうな気がする」
「そうであればいいんですけど...」
そんな会話をしているうちに受付嬢さんが帰ってきた。
「アキトさん。ミリアさん。少し奥によろしいでしょうか?」
「あ、はい。行こうか、ミリア」
「はい...」
不安と希望を胸に秘めながら、俺たちは冒険者ギルドの奥へと歩いていった。
<<憑依>> が覚醒しました
ゲームのピコーンみたいな音とともにこんなログが流れたようなイメージがありますw
ということでアキトの能力が判明しました。
さあ、これからどうなるかな?




