一章 第十四話 「予兆」
二日連続更新です。
頑張りました。
「嘘だろ......?」
目の前の巨大な敵——ファフニールはまるで王者の様な風格でそこに君臨していた。
圧倒的と言わんばかりの強さ。
「どうする......」
「戦うしかありません」
ミリアが真剣な顔で言う。
「やっぱりそうなるか......でも勝てる気がしないんだが」
「それは私も同じです」
あまりにも戦力差がありすぎる。
それは二人にも分かっていた。
「よし、分かった。俺が先陣を切るからミリアは後方支援を頼む。出し惜しみは無しでいくぞ!!」
「分かりました!!」
「いくぞ!!」
俺は相棒の[閃光狼]を抜き、突撃する。
奴は悠々とした動きでこちらを向く。
そして唸るような咆哮をこちらに向けてくる。
「ヴォオオァアアアア!!!」
「くっ、何て咆哮だっ......」
「アキトさん、気をつけて!!」
ミリアに諭され、奴の方を見る。
すると、巨大な腕が俺の真上に押し寄せてきていた。
「うおおぉっ!!」
体を横転させて回避する。
腕の衝撃波だけでも結構強烈だ。
「マジで強いな......」
僅かな間でも分かる相手の強さに少し身震いする。
やっぱり本気でいくしかないか。
「うおらっ!!」
精一杯の力をこめて斬りつける。
が、びくともしない。
「ミリア!! 支援を!!」
「はい、▲◼◼......」
詠唱を続けるミリア。
「◼● <<轟雷>>」
轟音ともに無数の雷がファフニールを襲う。
しかし、奴は平気な様子でこちらに向き直る。
「グボルァアア!!」
「アキトさん、きます!!」
「えっ——」
気づいたときには遥か遠くまで吹き飛ばされていた。
体中が痛む。俺はここで死ぬんだろうか。
やはり挑んだのが間違いだったのか。
ああ、折角異世界にきて強くなろうと思ったのに。
平凡で退屈な人生を覆そうと思ったのに。
体から力が抜けていく。
すまないミリア。俺はここでギブアップさせてもらうよ。
『......か?』
お迎えの声が聞こえるようだ。
さらば現世よ。
『お前は友を助けたいか?』
何だ?
この声は誰の声だ?
『我は強さを司るもの。もう一度聞こう。お前は友を助けたいか?』
「ああ、助けたいよ。助けられるもんならな」
『ならば我の力を取り込んでみよ。何者にも負けない絶対的な力を』
「ああ、取り込んでやるさ!! 俺は強くなってやるよ!!」
『良い覚悟だ。力を貸そう』
体に力が戻っていく。
まだ生きれるようだ。
待ってろミリア。絶対に助けてやる!!
さて、ついに......?
次回の更新は水曜日か木曜日です。




