一章 第十二話 「Dランク」
執筆ペースがきつくなってきたので、もしかしたらゆっくり更新になるかもしれません。こちらの事情もありますので何卒よろしくお願いいたします。
ガビュラスのクエストを終えた翌日。
いつものように朝を迎え、ミリアと一緒にギルドに行く。
すると受付嬢さんがこんなことを言ってきた。
「アキトさん。冒険者組合の方からDランク昇格試験の受注が許可されましたよ」
「おっ、つまりそれは......」
「はい、クエストをクリアすればDランクになることが出来ます」
わりと早くに知らせが来たな。
まあミリアの実力を見れば仕方の無いことか。
「もし受けるならお気をつけください。昇格試験の課題はかなり厳しくなっておりますので」
「そうですか......」
少し心配だが、大丈夫だろう。
もし何かあったら逃げることも考えておかなければ。
「受けましょう、アキトさん。Dランクになれば受けられるクエストの量や難しいクエストが増えるんですよ!」
ミリアが嬉々とした表情で迫ってくる。
確かにクエストの量や難しさには物足りなさを感じていた。
よし、ミリアも言っているし受けてみるか。
「Dランク昇格試験、受けます」
「承りました。目的はドラゴン一体の討伐です。かなり遠い旅となりますので準備が出来ましたら、都市の出入口付近に馬車を手配しておきます。馬車の扱いについては自動操縦になっておりますのでご安心ください。もし何かがあった時は、冒険者デバイスでご連絡ください。それでは気をつけていってらっしゃいませ」
自動操縦か、凄いな。流石はハイテク都市だ。
「じゃあ行こうか」
「そうですね」
二人とも特に準備がないのでそのまま都市の出入口へと向かう。
相変わらず混雑している通りを抜け、都市から出ようとしたところで馬車が見えた。
「手配はえぇ......」
ついさっきクエストを受けたはずなのだがもういる。
馬車は人間が乗るべきところに機械が置いてあり、後ろに乗るところがついているような簡易的な馬車だ。
二人ともおずおずと乗ると、機械音声が鳴った。
『アキト様とミリア様ですね。冒険者デバイスをかざしてください』
「こ、こうか?」
言われた通りにデバイスを画面にかざす。
すると機械的な音が鳴った。
『アキト様、ユーザーチェック完了。続いてミリア様、デバイスをかざしてください』
「は、はい」
ミリアも俺と同じようにデバイスをかざす。
『ミリア様、ユーザーチェック完了。お二人のユーザーチェックが完了しました。これより自動操縦を始めます』
「うおっ!?」
いきなり馬車がガチャガチャと音を発しながら動き出す。
少し速めで風が顔に当たる感覚はとても心地がよかった。
「まるで観光してるみたいだな」
「もう、目的はドラゴンですよ」
「分かってるって、クエストクリア出来るように頑張ろうな」
「はい!」
ミリアも気合い十分のようだ。
クエストの地まではまだまだある。
「変ですね......」
「ん?」
しばらく馬車に揺すられていると、突然ミリアが険しい顔をした。
「何が変なんだ?」
「馬車が安全に運行できているのは何よりなんですけど......モンスターの姿が一向に見つからないんですよね」
「そういう時間帯なんじゃないか?」
「......そうなんでしょうか」
少し不安げな表情を残しながらミリアは顔を伏せた。
まるで何か良くないことが起こるような顔をしながら——。
モンスターが出ない......?
勘がいい人ならこの先の展開が読めてしまうかもしれませんね。
次回の更新は水曜日か木曜日です。




