一章 第九話 「新たな道」
すいません!! 一日遅れてしまいました!!
「うぅ......ん」
朝の光と共に目が覚め、重たい腰を上げる。
昨日は色々あったが結局グッスリ寝てしまったようだ。
隣ではミリアがまだ寝息をたてている。
「......早く起きすぎたか? 時間はまだあるから後で起こすか」
ささっと着替えて剣を取り、じっくりと見る。
「そういえば作ってもらってから研いでなかったな」
確か、と俺はポケットの中を探る。
ミソンに剣と一緒に渡された砥石があったはずだ。
「お、あったあった。これで研ぐんだな」
剣の根元から先に向かうように研いでいく。
しばらくして、研ぎ終える頃にはピカピカに輝いていた。
「うむ、実に綺麗だ。」
自己満足を終えたところで、ミリアが起きてきた。
「ふあぁ......あ、アキトさん。おはようございます」
「おう、おはよう。着替え終わったら、宿を出て服屋に行こうか」
「そうですね」
ミリアが着替え終わった後、おっちゃんに鍵を渡し、宿を出た。
さらに、親切に服屋の場所まで教えてくれた。
おっちゃん......優しすぎるぜ......
「お、ここかな?」
「どうやらそうみたいですね」
少し着飾ったような外見と目立つ照明ですぐにわかった。
随分派手な洋服屋だ。
中に入ると、色々な服が並んでいる。
「ぱっぱっと選んじゃおうか」
「あ、じゃああっち見てきますね」
別行動で服を選んでいく。
クエストである程度お金は稼いだし、金銭面は心配いらないと思う。
「出来るだけ動きやすい服がいいなぁ......」
一通り見ていって、動きやすい素材の服を選んでいく。
何着か選んだ後に会計を済ませて、ミリアを見に行く。
「ミリア、服選びどうだ?」
「あ、今ちょっと悩んでて......もう少しかかりそうなんで先に外で待っててもらえますか?」
「おう、わかった」
まあ昔から女の買い物は長いと決まっているからな。
少しぐらい遅くなっても......
三十分経過。
ミリアはまだ出てこない。
完全に侮っていた。女性というものを完全に侮っていた。
「あ、ごめんなさい。遅くなりました」
「い、いや。全然大丈夫だったよ」
「あ、そうですか? じゃあ早くギルドに行きましょう!」
「うん」
ほんの少し、休ませてほしいがそうはいかないみたいだ。
いつもと変わらない騒がしいギルド。
人混みを掻き分けて、カウンターに行く。
「すいませーん。今日もクエストいいですか?」
「はい、いつでもどうぞ」
慣れた手つきでクエスト用紙を広げてくれる受付嬢さん。
少し気になるクエストがあったのでミリアに見せてみる。
「これなんかどうだ?」
「ちょっと難しそうですね......でも頑張ります!」
ミリアも昨日今日で少し自信がついたようだ。
俺が見せたクエストは、キャプテンゴブリンというゴブリンの当主とその取り巻きの討伐だ。
「じゃあ、これを受けます」
「分かりました。気をつけていってらっしゃいませ」
都市をかなり離れ、森の手前に来た。
少し怪しい雰囲気で肝試しとかがお似合いな感じだ。
「......なあ、ミリア」
「はい?」
ミリアは小首を傾げて俺に視線を向ける。
「今日は弓じゃなくて、魔法で戦ってみてくれないか?」
「えっ、でも」
少し戸惑った後に、ミリアは顔を上げて答えた。
「......分かりました。どうなっても知りませんよ?」
「それってどういう......」
森の中を歩いていく。
すると、遠くから唸るような声が聞こえてきた。
「......ゴブリンか?」
「みたいですね。奥にいます」
よーく目を凝らして見てみると、ゴツゴツとした肌が見えた。
相変わらず気持ち悪い見た目をしている。
「ミリア、遠距離攻撃できる魔法って使えるか?」
「使えますけど......ここで使っていいんですか?」
「う、うん。何も問題は......」
「了解しました。詠唱するので少し待っててください」
お経のような言葉の羅列をミリアは淡々と読み上げていく。
「◼◼◼ <<闇球>>」
「よし、これで......うえっ?」
変なこえが出てしまったのには訳がある。
一つは予想以上に魔法が小さくて、威力を心配したから。
もう一つは命中したゴブリンを中心に、周辺を闇が飲み込んで、消し去ったからだ。
「んなっ......」
「はぁ、やっぱり......」
「み、ミリア。これは......」
「私、弓は本当に駄目なんですけど、魔法の才能だけは昔から異常なくらいにあって......家のものをうっかり壊してしまったりとかして怒られていたんです」
「は、はぁ......」
それにしても圧巻の威力である。
本来の目的であるキャプテンゴブリンまで消し去ってしまった。
「これからは魔法で活躍してもらうか......」
一人、森の中で呟く俺だった。
つよい(確信
次回の更新は少し遅くなってしまう予定です。
二週間後ぐらいになってしまいますが、お許しください。




