神のみぞ知る ~ 天使な俺の逃走劇 ~
思い付いたので書きました。
要素は薄いですが一応性転換物です、苦手な方はご注意ください。
パチッ。
目を開けて最初に見たのは、俺の上に伸し掛かり顔を近づけて来るイケメンだった。
「うわあああぁぁぁぁ!」
「ぐほぉあぁぁ!!!」
勢い良くイケメンを蹴り飛ばすと違和感を感じた、自分の声が聞いた事も無い様な綺麗なソプラノだった。
「え? あれ? 声が何で?」
混乱しつつも自分の姿を確認しようと、寝かされて居たベッドから起きあがると胸元に豊かな膨らみがあった。
なんぞこれ? と思い触って見ると、ふにょんと凄く柔らかい感触が手に伝わり。その膨らみも自分の身体を触ったと言う感触があった。
「うえ? 何これ胸?」
慌ててベッドから立ち上がると、背中にも違和感を感じ後ろを振り向くと三対六枚の濃いミルクを溶かし込んだ様な純白の翼が生えて居た、髪も腰まである透き通るような藍緑色でアクアマリンの様な鮮やかさの物だった。
「ええぇ? もしかして下もか?」
そう思い、股間に手を持って行くも。当たって欲しく無かった予想が的中した。
「マジかよ……無いし……」
「ふふふ! 起きて早々に股間に手をやるとは……いやらしいね!」
先程、蹴り飛ばしたイケメンが話しかけて来た。それにしてもイケメンだな、身長は185cm位で髪は新雪の様な白銀で、目鼻はスッキリとした西洋風の顔立ち、着て居る服はゆったりとしたローブの様な物だ。ちなみに俺が着て居るのは薄い水色のマキシワンピで背中が大きく開いて居る。
「アンタはさっき俺に伸し掛かってた人か」
「いやー、我慢出来ずに襲う所だったよ」
「俺に何をした? 一体ここは何処だ? アンタは誰だ? 答えろ変態!」
「ふふふ、ちゃんと説明してあげるよ。先ずは僕の紹介から行こうか、僕は君が居た宇宙や様々な宇宙を作った創造神さ! そして、ここは次元の狭間にある神様達の住む場所の僕の家だよ」
「頭は大丈夫か?」
思わず、そう言って神様を睨む。
「良いね、ゾクゾクするよ! 興奮するね!」
「黙れ変態!」
「ふふふ、取り敢えず僕は神様って事さ、それでね君を創ったのも僕だよ」
「俺を創った? どう言う事だ? 俺は日本の奈良県在住のしがない一般人だぞ?」
「じゃあ、自分の名前とかは思い出せるかい?」
「当たり前だろ……あれ……ちょっと待て、直ぐに思い出すから……なんでだ!?」
「思い出せないだろ? まあ記憶はあると思うよ。名前だけは僕がこれから付けるから思い出せない様にしたけどね」
「何でそんな事をした?」
「僕の理想の女の子を創ろうと思ってね」
「理想?」
「うん、男から女になった子だね! 所謂、TSや性転換って奴だね! そこで性差に戸惑う子が好みなんだよ!」
へ、変態過ぎる。なんて特殊な趣味を持つ神様なんだ、てかそんな変態が創ったのかよ俺が居た宇宙は、聖職者が聞いたら自殺しそうな真実だな。
「身体は僕の理想通り創ったからね、次は魂を創ろうと思ったんだけどね。なかなか元男で性差に戸惑う魂なんか創るの面倒でね、だから手っ取り早く男の魂を引っ張って来たんだ。ちなみに選考は男の名前をピックアップした一覧表にダーツを投げて決めました!」
ダー○の旅かよ! アホか! 人の人生狂わせやがって!
「死ね!」
「げふぉふぅ!」
取り敢えず股間に蹴りをお見舞いし黙らせた、自分の状況を確認する為にも部屋に置いてあった姿見の前に移動する。
「これは……」
藍緑色の髪と純白で三対六枚の翼を持つ天使が映って居た、肌は美しく澄んだシミ一つ無い美白で、顔は少しタレ目だがこれ以上は無いと思える程の美貌だった。身長は150cm位と低いが胸は身長に見合わず大きいD位は在りそうだ。見た目的に14歳位に見えるアイツ(神様)はロリコンかよ!
「あ、ありえん……」
「ふふふ、どうだい! 凄いだろう僕の最高傑作さ!」
チッ、復活しやがった。
「この姿は天使か?」
「そうだよ、天使の中でも特別強いと言うか潜在能力は女神級だね。天使なんて枠を飛び出す性能の身体だよ! なんせ僕の子供を産むんだからね! 僕の伴侶に相応しい性能になってるよ。まだLvが低いからそこまでの力は無いけどね」
「ん? 今何か聞き流せ無いワードが在ったぞ!?」
「なんだい?」
「子供を産むとか何とか」
「そうだね! 僕の子供を産んで貰おうと思ってね!」
「はあぁぁぁ!? 意味が分からん!」
「いやー、僕もねそろそろ自分の子供とか欲しくなったんだけど。僕の好みの子が居なくてねぇ」
「居る訳無いだろ!」
「うん、だから創った」
駄目だ、変態に能力を与えた結果がこれだよ……。
「ち、ちなみに聞くけど。子供を作る方法は人間と一緒だったりするのか?」
「そうだよ」
「死ね! 変態!」
股間に蹴りを放つが、避けられた。
「ふふふ、そう何度も大事な所を蹴られると大変だからね!」
「クソッ! ムカつく!」
「と言う訳で、子作りしようか!」
どんだけ子作りしたいんだよ! 頭の中が年中ピンクのウサギかよ!
「待て待て待て! 名前そう俺の名前は!」
時間を稼ぐんだ、何か打開策が思いつくまで時間を稼ぐんだ俺!
「おっとそうだね! 君の名前はクルールだ。どうだい中々可愛い名前だろう?」
名前を付けられた瞬間、身体が発光して何か目の前のコイツ(神様)との繋がりの様な物を感じる様になった。
「何これ?」
「ふふふ、これで僕と君は親子と言う繋がりが出来た。大体だけどお互いの居る場所が分かる様になるよ!」
「はぁ? てか親子ってアンタは娘と子供作るつもりかよ!?」
「君の世界での神話でも良く在る事じゃないか、それに娘となんて・・・興奮するね! いやらしいね!」
駄目だ時間を稼ごうにも、神様が変態過ぎて思考が乱れる。
「さあ、名前も付け終わったし早速しようか?」
とても良い笑顔で、回避する間も無くお姫様抱っこされてしまう。そしてベッドに下ろされ伸し掛かられた。
「うわ、ちょっまっ」
「ふふふ、良いねそそるね! 興奮するね!」
ヤバイヤバイヤバイ! どうする? どうやって逃げる?
逃げる方法・・・逃げる方法・・・、何処か遠くに逃げる方法!
なんか無いか! 遠くに! 何処か遠くに! 今すぐ! なう!
混乱する頭で、必死に何処か遠くに逃げたいと思い続ける。すると、頭の中で世界転移しますか? YES/NOと選択肢が出て来た。
思わず、何も考えずに頭の中でYESと答えると。身体が発光し意識が途絶えた。
「む、今のはスキル世界転移か・・・まさか天使に成り立ての子が発動できるとは思わなかったなぁ。流石は僕が創った最高の肉体を持つ天使だね! でも探すの面倒そうだなぁ、本来なら行った事がある世界にしか飛べないのに。無理矢理スキル発動したかな? 探すのが大変だ。まったくいけない子だね、これは見つけたらお仕置きだね! 興奮するね!」
そう言いながら、クルールを探す為に部屋から出て行くのだった。
「う……ここは……何処だ?」
あの惨劇から逃れる為に、頭の中に出た選択肢にYESと答えた後、気を失ったのは覚えて居たので状況を確認しようと周りを見渡すと。
簡素な部屋のベッドに寝かされて居た、どうやら無事? 逃げ出せて誰かの家に居る様だと思った。
「さて、それじゃ誰か居ないか部屋から出てみますかね」
そう言ってベッドから起き上がり、部屋から出てると2階建ての家の2階部分の部屋に居た様で、階下に素続く階段が近くに在った。
その階段を下ると、カウンターの様な所に40代位のおばちゃんが居た。
「これは、天使様。もう起き上がっても平気なのですか?」
「大丈夫です、それで此処はどこでしょう?」
あの神様と違い普通の人には丁寧な対応が出来る位には大人なクルール。
「ここは、エクシール帝国の端の方にある。サンチェル村です。天使様は村の外に倒れて居たのを、村の外に狩りに出ていた男連中が見つけて運んで来たのです」
どうしよう、まったく知らない所だ。と言うかベッドで起きてから薄々気が付いてたけど異世界ぽい。
「そうですか、助けて頂きありがとうございます」
「いえ、そんな家の様な安宿で申し訳ありません」
「助けて頂いたのです、文句などあろう筈もありません」
「そう言って頂けると光栄です」
「少し俺は村を見て来ますね」
「はい(俺? 男の言葉を使う天使様なのかしら?)」
そう言って、宿屋とおばちゃんが言った家? から出て行く。
さてさて、俺の姿を見てもそこまで慌てないと言う事は、恐らく身近と言う程ではないが天使と言うのは存在するのだろう。
そう仮説を立てながら村を歩く、村の人はクルールを見るなり手を合わせて拝んだり深く頭を下げたりしている。
「そう畏まらずに、普通にして下さって結構です」
その言葉を聞いた村人は、頭を下げるのは止めたものの拝む人が増えた。
天使だし仕方ないかと思いつつ村の散策に戻る、歩き回って居ると何やら畑の方が少し騒がしい。ちょっと気になったので行ってみる事にした。近づいてみると、何やら畑の周りに人が集まって居た。
「どうかしたのですか?」
そう声を掛けると、振り返った村人達は頭を下げた後に語り出した。
その話しを纏めると、どうやら村の畑に魔物が入り込み。農作物を食い荒らして行ったらしい。
これでは、今年の冬を越すのは難しくなるかもしれないそうだ。そう説明した後、俺に向かって一人の村人が話しかけて来た。
「天使様のお力で、この荒らされた畑を元に戻す事は出来ないでしょうか?」
ふむ、そう言われても天使に成ってまだ一日も経って無い俺にどうしろと?
取り敢えず天使らしく、畑の真ん中まで行き祈って見た。
(この畑を元に戻したい、この村を魔物に襲われない様にしたい)
そう強く願うと、頭の中に時間逆行を発動しますか? YES/NOと言う選択肢が出たのでYESを選んで見る。
その瞬間、畑全体が光り輝き、光が収まった時には畑全体に農作物が実って居た。
「おおおぉぉ……流石は天使様……ありがたやありがたや」
村人達が一斉に膝を着き、俺に手を合わせ拝んで来た。良い事したと! 気分が良くなり調子に乗って、やった事は無かったがぶっつけ本番で背中の翼を動かし空を飛び地上から10m程の位置で滞空し祈って見た。
(この村を魔物に襲われない様にしたい!)
先程より強く願うと、また頭に神域・守護結界(永続)を発動させますか? YES/NOと出たのでYESを選ぶと。
村を中心に半径500m程の円を描いて光が降り注いだ、そして光が収まると。先程まで光が降り注いで居た範囲を囲う様に薄い光のドームが出来あがって居た。
神域・守護結界(永続)って何だよと、改めて考えると目の前に説明文がポップした。
神域・守護結界(永続):指定した範囲を光の結界で多い、結界内に居る者やある物に敵意や害意を持つ者の侵入を防ぐ。また結界内で怪我や病気に成っても、治りが劇的に良くなる。
「チートじゃん……すげぇな……」
そう呟いた後、下で光のドームに困惑している村人の元に説明する為に空中から下りる。
光のドームについて説明すると、村人達から泣きながらお礼を言われ、今日は村で歓迎の宴を開くので是非、宴に出て欲しいと言われた。
お金も無いし、行く場所も無いので、ありがたくお世話になる事にしたクルール。
そして、その宴が終わり最初に寝かされて居た宿屋にまた泊らせて頂く事に成った。
宿屋のベッドで寝ころびながら、これからどうしようかと考えるも。流石に今日は色々あって疲れたので寝る事にした。
まどろんでいると、何やら身体にもぞもどと誰かの手が這って居るのを感じ目を覚ました。
「やぁ、探したよ」
目の前には神様が居た。
「っ!」
また、蹴りを入れ様とするも。足で挟まれ蹴る事が出来ない様にされた。
「ふふふ、いけない子だね。僕から逃げ様だなんて、興奮するじゃないか!」
「くっ! 黙れ変態! どうやって此処を見つけた!」
「君、力を使ったでしょ? 流石にランダムに世界転移されると探すのに苦労するけど。力を使われれば感知するのは簡単だよ。それにね君に名前を付けた時に言ったでしょ、親子としての繋がりが出来たってね。その繋がりも君を探すのには役に立つのさ! お互いの場所が分かるって……興奮するね!」
「アンタは年中興奮しとるだろうが! この変態! 死ね!」
どうやら、昼間の畑を直したり、結界張ったりでバレたらしい。クソッ油断した!
「ふふふ、得意の蹴りも封じたし。それじゃお仕置きしようかな・・・いやらしいね!」
「いやらしいのはお前だ! 確かに蹴りは封じられたが。俺にはまだ手がある!」
そう言って、まずは右手で擦る様に眼潰しをし、怯んだ所に左手で鼻にグーパンチをかまし、ベッドから呻いて立ち上がった所に股間に跳び蹴りをかました。
「ぐぅふぐあぁオウ!」
最後の股間に跳び蹴りが決まった瞬間、オットセイの様な声が聞こえた。
「ふぅ……よし逃げよう」
一度逃げた時にコツを掴んだのか、今回は割とあっさり世界転移しますか? YES/NOと出たので転移する事にした。
「ま……まさか、また世界転移だなんて……力を与えすぎちゃったかな? 普通は無理なんだけどなぁ世界転移でランダムに世界を渡るとか……でも追う楽しみが出来たね! 興奮するね!」
「ふふふ、逃げれば逃げる程。お仕置きし甲斐が出て来るね! まったく……興奮するね! 何時か捕まえてあげるよ!」
この後も、逃げる途中の世界で困って居る人を見捨てられず力を使って助け。その度にクルールは神様に捕捉されるも何とか逃げ出し転移すると言うのを繰り返す事になる。
さてさて、何時かクルールは捕まる事に成るのか。それとも逃げ切る事が出来るのか。
それこそ本当に『神のみぞ知る』と言う事なのだろう。
読んで頂いてありがとうございました。