鎌鼬との戦闘
おくれましたー!!
やっと書き終わりました。
切子との戦闘が始まる。妖怪と戦うのはこれで2回目だ。
切子は一切の迷い無く、猫柳に鎌鼬を繰り出す。
猫柳はそれを余裕でかわし、そのまま切子に向かって走り出す。
「こっち来んな!」
鎌鼬を繰り出し、猫柳を近づけまいとする。
一方、猫柳はその鎌鼬を紙一重でかわし、切子の距離を縮める。
「だからこっち来んな!」
「危なっ!?・・・近づかないとブっ飛ばせないからな」
「てやっ!」
至近距離で鎌鼬を繰り出すが全てかわしきる。
普通ならかわしきれず、鎌鼬でスッパリだが妖怪憑きの影響で肉体が強化されており、胴体視力も鋭くなっている。そのおかげで妖怪とも渡り合える。
「妖怪憑きってめんどくさ!」
「もらった!」
拳を強く握り締め、勢いよく突き出す。
「きかないよ!」
突き出した拳に手ごたえは無く、空をきった。
命中させるはずだった切子は空中へと飛び出した。
「飛んだ!?」
妖怪なので空を飛ぶくらい不思議ではない。今分かることは状況が不利になったくらいである。
「銀陽・・・飛べたりする?」
『私だけならば飛べるが・・・妖怪憑きの状態だと無理だ・・・たぶん』
「そうか・・・」
期待してみたが現実は甘くないようだ。
『そのうち飛べるようにはなるかもな』
(そのうちっていつだろう・・・)
飛べるか飛べないかを考えていると切子が空中で構えだす。
「鎌鼬 乱風刃」
鎌鼬が複数、複雑に襲い掛かる。猫柳は踵を返し、進行方向とは逆に走り出す。
「うおおおおお!?」
「あはははっはは!逃げろ逃げろ!・・・逃がさないけど」
「やばい!」
『銀一郎。前に教えた力を使ってみろ。ただ逃げてるだけじゃ負けちゃうぞ』
銀陽の言葉が軽口を叩くみたいに頭の中に響く。
猫柳は必死だが銀陽は余裕そうだ。
「でかいのいくよ!」
「げ!?」
切子が腕を上げ、妖力を上昇させる。
「鎌鼬 巨風刃」
巨大な鎌鼬が襲い掛かる。
『力を使え!』
銀陽の言葉が引き金となりカチリと覚悟が決まる。
銀陽から教えてもらった力。それは・・・
「うおおおおおおおお!!!」
巨大な鎌鼬が止まる。
「あれ?」
切子は不思議そうに巨大な鎌鼬を、猫柳を見る。
切子は驚くべきものを見た。
「銀陽から教えてもらった力は・・・掴む力だ!」
切子が見たものは巨大な鎌鼬を両手で掴み取っている猫柳の姿であった。
「うそでしょ・・・」
掴むとは手でしっかりと握り持ち、強くとらえて離すまいとすることだ。
この力は物質的なものだけでなく、エネルギー的なものまで掴める。
掴んだものは自分のものとすることができる。
「成功したぜ・・・さすがにビビッたけど」
「・・・人間の力じゃない。あの銀猫の力ね」
掴んだ巨大な鎌鼬を地面に叩き付ける。
その衝撃で土煙が巻き上がり、辺りが充満する。
(煙幕のつもり?)
猫柳は充満する土煙を掴み取り、ハンマー投げの要領でグルグルと勢いよく回る。
そして掴み取った土煙を切子み向けて投げ飛ばす。
「な!?」
投げ飛ばされた土煙が切子の周りを覆う尽くす。
目の前が土煙のせいで視界が悪くなる。
「どこ行った・・・ガッ!?」
切子の背中に重い衝撃が走り、そのまま地面に落ちる。
猫柳は飛ぶことはできないが、跳躍はできる。肉体が強化されているから高い所まで跳べる。
「うぐぐ・・・」
「さっきのお返しだ」
「うう・・・鼻血でた・・・」
猫柳の眼つきと雰囲気が変わる。
身体の所有権が銀陽に代わる。
『鎌鼬、襲ってきた理由はぶちのめしてからゆっっくり聞くとしよう』
「フンッ!油断したけど次からはそうはいかないよ!」
両手を十字にはらい、十字型の鎌鼬が襲いかかる。
猫柳は十字の鎌鼬を片手で掴む。
(煙、鎌鼬まで何でも掴めるの!?でも掴むというだけで他の部位に当れば切れることは変わりはないはず)
切子が体勢を立て直す。
切子は手刀を構え、おもいっきり突く。
「鎌鼬 槍風」
「!!」
猫柳は元々掴んでいた十字の鎌鼬を投げる。
鎌鼬の斬撃と鎌鼬の槍がぶつかり合う。
しかし一点集中の槍が十字の鎌鼬を貫く。
「でりゃ!!」
風の槍を真剣白刃取りのように掴む。
そして掴んだ風の槍を投げ返すが切子はそれをふわりと躱す。
「自分の技に当るわけにはいかないわ。」
切子がまた構える。
あの構え方はさっき苦戦を強いられた技を繰り出す動作だ。
「鎌鼬 乱風刃」
無数の鎌鼬が猫柳に向かって襲いかかる。
「そらそらそらそらそら!!」
『右に躱せ!!』
銀陽の言葉を頼りに無数の鎌鼬を躱す。
その中で鎌鼬を掴む。
「でりゃああ!!」
「鎌鼬 風刃手 」
切子は手刀を作り、風の刃を纏う。
風の刃ぶつかり合う。
「だっらああああああああああああ!!!」
「やああああああああああああああ!!!」
風の刃が何度もぶつかり合う。
両者共に切り傷が体中に出る。
切子が足に風を纏い、蹴り上げる。
「鎌鼬 風刃昇脚」
「危ねえ!!」
猫柳はすごい勢いで後方へと下がる。
今の蹴りは男してとんでもなく危険を察知した。
「てめえ!!今のはビビったぞ!!」
なぜ猫柳がビビったのかというと切子の蹴りがちょうど股の中心に狙われたからである。
蹴られたら悶絶確実コースである。
「そんなの知ったこっちゃないね」
「ちくしょう!!」
掴んでいた風の刃をぶん投げる
さっきから攻防一体。
むしろこのまま続けばジリ貧だ。
相手は手から足からも鎌鼬を繰り出す。
そのうち尻尾からも出すんじゃないかと思ってしまう。
『銀一郎、変わろうか?』
「・・・いやまだ大丈夫だ」
空気を強く掴み取り、一直線に走り出す。
鎌鼬という斬撃を掴んだのだ空気を掴むことだってできる。
猫柳は掴んだ空気をおもいっきり引っ張る。
「そろそろ終わらせる!」
無数の鎌鼬が飛んでくる。
当れば身体はズタズタだ。
だから猫柳は掴んだ空気を自分の正面に広げた。目の前には空気の壁が出来上がる。
飛んでくる鎌鼬を完全に防ぐのは難しいが逸らすことはできる。
空気の壁を作りながら鎌鼬を逸らしつつ突っ込む。
「当たらない!?」
「もう終わりだ!!」
拳を強く握りしめ、切子をぶち抜く。
「全力で全てをぶっ壊す!! 全力全壊!!!」
ボっ!! 相手の鳩尾に猫柳の拳がめり込む。
「おぎゅっ・・・!!」
そのまま地面に叩きつける。
「ゴホッゴホッ!!」
「そのまま寝てろ」
切子が作り上げた妖怪空間が消える。
今度こそ入るべき妖怪空間の風切通りに戻った。
本当の風切怪奇の解決する前に余計な戦いをしてしまった。
「お疲れだな銀一郎」
「ああ。でもこれからが本番だ」
「こいつのせいで余計な時間をとってしまったからな」
銀陽の下敷きになっている切子を見る。
切子は銀陽が持ってきた妖怪の力を抑えるロープでぐるぐる巻きにされている。
「このロープ外してよーお」
「外したらまた襲ってくるだろ」
「もう無理よ。アタシの頭に乗っている銀猫が目を光らせているからね。もし変な動きでもしたら噛み砕かれそうだし」
「よく分かっているじゃないか」
銀陽が口を開く。
切子が余計な動きをしないように見張っている。
これなら安心だと猫柳は思う。しかし、猫柳は不安に思うことがある。それは蛇津のことだ。
切子のせいではぐれてしまい、どうなっているか分からないからだ。
友達の安否を思いながら今度こそ風切り通りの妖怪空間に踏み込む。
読んでくれてありがとうございます。